・・・前回の続き
私がそんな彼女と初めて出会ったのは8年前
彼女は当時まだ 娘とニューヨークで暮らしていて
ドイツへ里帰りした時は 昔住んでいたパリへも寄り道したりしていた
当時 わたしも年の半分はパリにいたから
お互いが偶然 居合わせた時に 夫に連れられて会ったのが最初の出会い
でも彼女の話はよく聞いていたし 写真でも見ていたからか
初めて会った気がしなくて 私達はすぐに打ち解けた
それに 彼女は私の好きなボーイッシュでサバサバした性格だった
団体行動が苦手で ひとりでどこにでも行ってしまえる人だ
当時12歳だった彼女の娘も同じタイプで
そこに少し野生動物のような雰囲気を付け加えたような子だった
クラシックバレエを習っているせいか小鹿のような軽やかさを持っていた
散歩中も読みかけの本を小脇に抱えピンク色の髪をなびかせる彼女には
思春期特有の不安定さがあって はにかむ笑顔も魅力的だった
それから あっという間に8年が経ち
彼女も いつのまにか お酒が飲める年齢になり
現在はロンドンのアートスクールに通いながら 一人暮らしをしている
娘のいなくなったニューヨーク
娘と共に20年も暮らした愛着のある街
色々と考えた挙句 彼女は この街を離れヨーロッパに戻る事に決めた
そして今 こうして私達は気軽に誘いあえる距離の中で
カマトトぶった飲み物 ”媚薬入り悪女ココア”なんかを飲んでいる
私達は会うと とにかくお喋りする
彼女はコーヒーを沢山飲み タバコも沢山吸って そして沢山喋る
私はコーヒーを1、2杯ほど飲み そして沢山喋る
彼女が家に来た時は 第一声で必ず「コーヒー飲む?」と聞く
この質問を投げかけるのは好き 必ず肯定してくれるから
そんな人のためにコーヒーを淹れるのは なんだか嬉しい
抽出されるまでの時間のお喋りも 目的地のない散歩のようで心地よい
砂糖を沢山 ミルク少々が 彼女のスタイル
私はブラック無糖派
こうやって 知らないうちにお互いの好みや性格を把握していて
いつのまにか 気の置けない友達になっていた
いつから って言われるとよくわからないけれど
友達ってそういうものなのかな 素敵
それと 私達には共通点がある
お互いに長い海外生活のおかげで
自分の居場所をどこにでも作れるし どこでも暮らせると思う
でも同時に 異国暮らしが長引くほどに 大好きな母国に対して
違和感を覚える事柄が増えたり 疎外感も強くなったりする
その結果 どこにでも住めるけど どこが自分の住処なのかわからない
根無し草のような 心細い感覚に陥ることがある
これは海外生活に限ったことではなく
例えば 引越しが多い人達も同じような気持ちを抱えているのだろうし
上京した人が実家に帰った時にも きっとそういう感覚はあると思う
もしかしたら生まれてからずっと同じ土地にいる人達も
感じることなのだろうか
これらは経験してない私にはわからなくて残念である
私達はこのようなことについて頻繁に話すわけではないけれど
でも お互いに同種の孤独感を無意識下で共有していて
それが信頼関係に繋がっているのかもしれないと
書き進めながら そんなことを思った
彼女のことを書くことは 彼女のことを考えること
そうしたら もっと仲良くなりたいな という
素敵な気持ちになった
いずれ お洒落な彼女のことについても書きたいな
眠いっ おやすみなさいませ
素敵な夢を見れますように
