満利江のスイーツな話!

取材をした中で、特に印象に残るのは仰木彬監督。

お目にかかったのは2005年7月15日。

シーズンも折り返しにかかるオールスター前。

千葉ロッテマリーンズの試合の遠征で

千葉マリンスタジアムの近くのホテルの中国料理店

で週刊実話の取材は行われた。

かつて監督と選手という間柄の本西厚博さんがイン

タビュアとして中にはいってくれたので、取材が実現

したのだ。

「よう、ポン!」元気いい仰木監督の第一声だった。

本西さん曰く、なかなか監督さんと話をするのは手に

汗をにぎるのだそうで、選手時代もそうは話が出来な

かったという。


04年にオリックスと近鉄が統合。1リーグ制になるの、

ならないのなど、球界のすったもんだ起き、

新生、オリックスバッファローズ初代監督として就任

したのが、両方の球団に縁の深い、仰木監督だった。

しかし統合の際は選手選びについては全く蚊帳の外

だったと話していた。


仰木監督の猫の目打線といってレギュラーを固定し

ない監督の起用は話題になったが、・・・・


「好きでやっているわけではないのや。選手はみな

出してやりたいよ。選手の立場と監督の立場は全く

逆だからな・・・・」


それこそが

「仰木マジック」の一つだったといわれていたが、


仰木マジックとは、きっちりとしたデータに基づいて

人もきっちり観察し、選手側の人や性格も把握した

上、明確にプランをたてていたもので、球場には

一番に最初にグラウンドに来て、一番最後に帰って

いたのが監督だと。だからマジックという言葉では片づ

られない・・。選手も事前に使われる、使われない

がわかっていて、実はすごくやりやすかったんだよ

と本西さんや田口壮さんの話だ。


監督という職業、これは野球に限らず、カリスマ性と

いうものは必要だ。まさに仰木監督そのものだった。


05年より球界再編ので球界がどう共存するかという

意味で始まった交流戦は、新鮮でよかったといい、

当時はCS(プレイオフ)がパ・リーグだけだったので

セーリーグも取り入れるべきと言及していた。

(まさに今年はその意図とする日本一が千葉ロッテと

なったのだと思う)


仰木監督の特に印象に残った試合は、88年10月18日

近鉄リーグ逆転優勝を目指した、対ロッテオリオンズと

のダブルヘッター。

58年日本シリーズ西鉄対巨人の3連敗の後の日本一。

89年日本シリーズ近鉄対巨人の4連勝のとの逆転負け。

95年阪神大震災の年の日本シリーズでのオリックス巨人戦。


印象にのこる私生活の出来ごとは?と切り込むと

「昔は無茶をしたから、酒にまつわる失敗はよくあるんや。

色々ありすぎて困る!」と笑った。


選手時代は西鉄で名二塁手といわれ、ファンを魅了した。

これは知り合いの記者などにきいた話。

仰木監督ほど女性にモテた人はいない、と。

モテるということは、女性をくどいていたといたことにもなる。

それも、付き合った女性は、皆、口をそろえていうのが、

「仰木さんほど素敵な男性はいない!」・・・・というらしい。


「私も監督の大ファンで・・・監督みたいな方好きですね」

「う~ん。もう少し早くに言ってくれていたらナ・・(笑)」


そんな話もかわした。

印象に残る面白い言葉は


「僕の場合自然体すぎるんだよ。欲求と欲望のままに生きて

いる。そやから、門限などというのは自分が困るわな。自分

がやれんことを人に求めちゃいかんよ」


なにかここに、仰木監督のお人柄、そして野球観が出てい

るような一言だったと思う。

もちろん、実話という読者の層にあわせて話して下さったのも

わかる。とにかく無駄のない喋り。インテリジェンスとユーモア

をもった喋りでは、球界一だったと思う。



満利江のスイーツな話!
満利江のスイーツな話!

監督の夢は?と聞くと

「僕は野球そのものが夢なんかもしれない。

グラウンドで倒れれば本望ということかな」と。


あとから05年カージナルスに所属していた田口壮選手

の話によれば、8月末セントルイスの自宅に夜中電話がか

かってきて、「元気か?」といっていたが、奥さんにはかなり

疲れていた様子で「駄目だ」といってらしたとか・・・・・。

2年前に発症したがんが、この時も身体をむしばんでいた。

だからこそ、ゆかりのある本西さんとのインタビューも、

無理をしてでも受けて下さったのだと今更に思う。


そして奇縁ともいうべきか、仰木監督がお亡くなりになった

次の日に、田口選手と本西さんとの同じ雑誌の取材が行

われた。これは仕組んでやったものではない。本当に偶然。

これも印象に残った仰木監督にまつわる取材の1コマだ。


私のひょんなことから始まった、取材と執筆の人生10年。

女優業と伴走するかのように進んでいるが、

人との出会いは宝。

会いたいと思える人に会うことができ、その方からじかに

お話を聞けるというのは、本当に恵まれていると思う。

こうした機会を与えてくださっている方々に何より感謝。


仰木監督・・・・理想の男性像のようで、本当に素敵な方。

球歴49年、本当に見事な人生でした。