リスボンから帰ってきて束の間、今度は一人でヘルシンキにやってきました。

長い長い産休・育休を経て、ようやく来年フィンランドの仕事に復帰予定の私。なにせ産休・育休を太陽を求めて太陽マヨルカ島で過ごしてしまっているものだから、仕事に戻るにしても、戻るアパートさえない。

フィンランドに戻る前に、保育園も見たいし、社会保険庁(Kela)にも児童手当や保育園手当について確認したい。アパートも賃貸物件の相場を見ておきたいな、でもできたら購入も検討したいから銀行にローンについて聞いてみたいし、外国人ママとして育児に奮闘している友だちから色々な情報も聞きたい。…と、まぁ盛りだくさんの宿題を抱えてフィンランドにやってきたのです。

マヨルカのこの日の気温、20度、晴れ。



本当に私、こんな美しいお天気を振り切って、2歳児を置き去りにして(主人とベビーシッター、友人などに見てもらっているものの、数時間以上子どもと離れるのは、産後初めて!)、仕事に戻る準備をしに行くの?と出発ギリギリまで自問自答。主人の車で一緒に空港まで来た2歳児・小熊に「ママ、飛行機に乗ってお出かけするからね。バイバイ。」と言うと、笑顔で「バイバイ赤ちゃん」といともあっさりびっくり

感傷的になりかけていた私は、なんだか気が楽になり搭乗口へ。いやー、ひとり旅はラクチンだ。保安検査所でのバギーの折りたたみや離乳食の開封などもなく、搭乗前に子どものオムツを替えておかなくちゃとトイレを探す必要もなし。と、搭乗口に向かったら厳しいスタッフに当たってしまい「パスポートでなくEUの滞在許可証を見せてください。」と。


3週間前にまたもお財布をすられた私、お財布の中にはスペインの滞在許可証も入れていた宇宙人くん スペインの警察に届け出た報告書と、滞在許可証のコピー(フィンランドに行かずして様々な手続きができるかと、数ヶ月前にマヨルカのフィンランド領事館に行った際、フィンランド領事が私のスペインの滞在許可証のコピーをとったのを思い出し、コピーのコピーをもらいに行った…)しかありませんもやもや

「コピーではダメです。搭乗させられるかどうか、上司に確認するから待ってください。」とまさかの搭乗さしどめガーン 待たされている間は気が気でなかったけれど、なんとかクリアして飛行機へ。久々に機内でコーヒーを飲みながらKindleで読書なんかして、なんて快適な飛行機の旅でしょうコーヒー

さて、フィンランド到着時の気温は5度、雨傘 機長アナウンスで現地の天気について言及があった時のフィンランド人の乗客たちの反応、みんな心からがっかりしているのがわかりやすすぎて、笑ってしまいました。ごめんなさい。でも、私も明るい太陽の国からここに戻る予定の、みなさんの仲間なんですよ宇宙人くん


小熊と同い年の子どものいるロシア人友人宅に5日間も滞在させてもらうことになった今回。奥さんとは以前ヘルシンキのロシア文化協会主催の絵画教室で出会い(なんでそんなところに入っちゃったんだ、私?)、同時期に子どもが生まれたことがきっかけで仲良くなり。ご主人もおしゃべりで気さく。夕食だけは毎晩作らせて、とお願いして、なんとか2人の負担を軽くしたいのに、私が食事作りをしている最中もなんだかんだ周りに集まっておしゃべりに来てくれて、夜は私の日中の情報収集整理や対策を親身になって考えてくれる。本当に温かい人たちなのですクローバーラブラブ

そぼ降る雨の中、銀行、社会保険庁、保育園見学に奔走しながら、考えていたこと。

「フィンランド人にとってもつらいこのお天気の中で育つことが、両親ともにフィンランド人でない小熊にとって幸せだろうか。」
「すでに家庭で3ヶ国語(ギリシャ語、英語、日本語)に触れている小熊にとって、4ヶ国語(フィンランド語)目が加わることは混乱を招くのではないだろうか。」
「父親の国でも母親の国でもない国で育つことは、小熊のアイデンティティにどう影響するんだろうか。」
「本屋さんに行っても私のフィンランド語レベルでは一緒に本を選んで買って読んであげることはできない。」

主に子どもの言語やアイデンティティに関わることでした。フィンランドの公用語であるフィンランド語やスウェーデン語ではなく、英語の保育園に入れるつもりの私たち。今回3つの園を見学させてもらうことになりました。

さっそく見学させてもらった1つ目の園。両親ともがフィンランド人の子どももいれば、両親がドイツ人+フランス人の子どももいれば、ベトナム人+フィリピン人の子どももいたり、本当にさまざま。でもみんなが園では英語を使って、家に帰って違う言葉で話している。それも私たち夫婦のように両親が英語でなくそれぞれ違う言語を話しているケースも稀ではなく、先生たちもそうしたマルチリンガルな家庭環境を全く特別視していなくて。

マルチリンガルな子どもたちと毎日接している先生たちと話しながら、こんな環境で育つ子どもは幸せなのかもしれない、とポジティブに捉えることができたのです。モノリンガルの国で育ってきた私自身も、幼稚園だけは外国にいて、英語の幼稚園で過ごしていました。私の幼少期のたった3年半、私自身はほとんど覚えていないけれど、その後の人格形成に影響を与えたと感じることが多い今日この頃。

今日出会った先生たちが話してくださった、「フィンランド式に子どもの能力を信じ、自立した人間になる手助けをする」、というのも不安を一掃してくれて。もう少し小熊が大きくなって、言語やアイデンティティ形成に問題を感じるようになったら、その時また考えよう。多言語の中で育つことが特別でない環境にいられることを、プラスに考えていこう。

そう思えた滞在3日目。

小熊のことを考えてばかりいるわりに、さみしくなることが全くなく、それどころか銀行、社会保険庁などを駆け回るには、1人は便利だなぁと思っている私。主人からも小熊がママを恋しがっている様子は伝えられてこない爆笑 銀行2つ、保育園二ヶ所、会社の上司との面会に、残り2日を精一杯使いたいと思います!!

晴れたら寒くても美しい、ヘルシンキ。