昨日
高校時代の友人のところへ
お見舞いに行きました。

正直なところ
深刻な病状で
お見舞いに行くのを
ずっと躊躇っておりました。
でも、昨日思い立ち
お花だけ渡すつもりで
伺いました。

あの時
行っておけば・・・という後悔は
絶対にしたくなかったから
本人の体調がしんどいのを承知で
行かせてもらいました。

玄関先でチャイムを鳴らすと
すぐに本人のお母様が
出ていらっしゃり
名前を名乗り
お花だけ渡して
帰ろうとすると

「最後になるかもしれないから
会って行ってあげて」と言われ
会わせていただけました。

彼女は静かに微笑んで
私の来訪をとても喜んでくれました。

話し方や声は
昔とちっとも変らなくて
目を閉じていたら
昔のように笑ってずっと
話してしまいそうになるけれど

そこには
ほんとうに痩せてしまって
ひとまわりもふたまわりも
小さくなった彼女が
横たわっていました。

以前の彼女からは
想像もつかない…姿。

でも、その表情が
穏やかで
優しくて
明るい部屋の光の中に
溶けだしていってしまいそうなくらい
透き通って
きらきらとしていて…

気づくと
私はボロボロ涙をこぼしていました。

こらえきれませんでした。

私が泣いている場合ではないのに。
私よりもっともっと泣きたい人の前で
泣いてしまいました。

ある日、大きな波が来て
大好きな人が
大切な人が
さらわれてしまう。
止めようのない
あの大きなうねり…

彼女はその大きな波を
待っている
凛と姿勢を正して
覚悟を決めて
じっとその時を待っている

私にはそんな風に見えたのです。

彼女のうちに行く前に
お花を買いに
花屋に寄ると

珍しい「青いバラ」が売っていました。
お見舞いにバラはどうかなぁ
色もきついかなぁと思って見ていると
店員の人が
「ご病状は…」と聞かれました
花屋さんでそこまで
踏み込んだことを聞くのも珍しいなと思いながら
「ちょっとねぇ…」と言葉を濁すと
「この青いバラの花言葉は<奇跡>なんです」
「えっ・・・」
「もしとてもお悪いようなら
その花言葉を添えて差し上げたらいかがですか」
なんだか
とても温かい気持ちになって
そのバラの花束をお願いしました。

どうか奇跡が起きますように
どうか
どうか
どうか。

もう彼女は十二分に
頑張った。
あとは神様が
奇跡を起こす番です。

彼女はとても優しい人だから
そばに呼びたいのはわかるけれど
まだ早いです。

まだまだ全然
早すぎます。

花言葉は「奇跡」