犬猫との
暮らしは
素晴らしい。

言葉にすれば
さも簡単で
犬猫達を迎えさえすれば
叶うような
気がするかもしれません。

でも、現実は違います。

小さいうちから
犬猫達と共に
暮らすことで
命の大切さを教えたいと
親御さんが思っていても
親御さん自身が
彼らに対して
適切で誠実な態度を
しっかりと示せなければ
子供達は
彼らに対してのみならず
すべての命に対して
不適切で
不誠実な態度を
学んでしまう
可能性があることを
忘れてはいけません。

子供達は
駆け足で成長し
自分の人生に
忙しくなっていきます。

子供や誰かのために
動物を迎えようと
すること自体が
ナンセンス。

子供の情操教育に
大切なことは
動物を選ばせ
責任を持たせる
ことではありません。

自分の好きな
動物を選んで
迎えるのは
大人になってからの
お楽しみでいいのです。

子供達は
小さな命と
自分の存在とを
無意識のうちに
重ね合わせています。

動物を迎えた
家庭の中で
親がその命に対して
自分達と
よくも悪くも
分け隔てなく
適切に接する姿を見て
親に対する信頼と
その命に対する愛着を
自らの心に育むように
なるのです。

情操教育とは
言って聞かせられるような
教育ではありません。

他方、
小さな命を迎えてから
しばらくすると
誰それの
犬だから
猫だからと
家族のなかで
彼らのお世話を
押し付け合うような
やり取りを聞くことが
ありますが
そんなことを
言うくらいなら
はじめから
飼わない方が
みんなのためです。

子供が欲しいと
言ったから…
子供の教育に
良いと思ったから…

そうした
一見当たり前な
考え方から発せられる
何気ない物言いが
子供達に
命に対しての非礼を
学ばせていることも
あるのです。

犬猫達は
机やおもちゃとは
違います。

遊ぶ時間が終わって
箱に戻すのは
おもちゃで
犬をケージに
仕舞うことではありません。

子供に
お家の犬を
紹介して下さい。と
お願いしたとして…
どんな風に犬を
紹介してくれるでしょうか?

この犬はね
50万だったんだよ!

この犬はね
血統書がついているんだよ!

この犬はね
捨てられて
可哀想な犬だったんだよ!

この犬はね
家族みんなの宝物なんだよ!

この犬はね…

その言葉の先に
どんな言葉を
紡がせることが出来るかは
親御さんの命に対する
心持ちや
その姿勢
そのものであると
感じています。

犬猫達は
基本的に
何もしてはくれません。

ただ
そこに
生きて
人々の心の
ありのままを
鏡のように
映し出して
いるだけです。

それを
どう受け止め
家族と
どんな風に
共有していくか。

他者に対する
思いやりの礎は
そうした
暮らしの中にこそ
育まれます。