「判りました、
色々とありがとうございました。

孫娘にも、迷惑をかけたことを詫びていたと
伝えてください」

そういうと、お祖母さんは一歩を踏み出したそうです。

その手にはもう、石はなく
こわばった体をゆっくりと動かし
前へと進んで行ったそうです。


さいとーくんは、部屋に意識を戻しました。

「どうです?耳の具合は」

「まだ痛みますが、少し和らいだような・・・」

「一度ついた傷が急に良くなることは
ほぼないので、時間がかかるかと思いますが
ほどなく軽くなっていくと思います」

「ありがとうございます。

お祖母さまはどのようになるのでしょうか?」

「僕がお勤めの時に、お経や祝詞をあげていき
神仏の縁を得る様にと、御祈祷していきます」

「お祖父さまは?」

「お祖母さんに拒否られちゃいましたから

こちらはこちらで、仏様の元へと行くよう
御祈祷し、仏様に、お祖母さんと会えるように
お願してくださいと、いたします」

「なるほど、ありがとうございます。

よろしくお願いいたします」

そしてこの場は閉じられ、話は一区切りついたのでした。


数日後に、お客様から連絡があり
耳が聞こえるようになってきた、とのお話で
まずは解決できたのではないか、と思うのでありました。