この本、もう3年くらい前に<下>の途中まで読み進めておきながら、そこから何故か頓挫してしまい、ずっと本棚に眠っていたものです。
 もう一度読み直そうと思いつつも上巻をどこにしまったか忘れてしまって、長い間宙ぶらりんになっていました。

 この小説は、時代小説の類に入るのでしょうか。私はこのような類の小説が、実はなかなか好きです。藤沢周平さんとか、高田郁さんとか、 葉室麟さんとか。 
 武士の精神を描いたようなものはなんだかきりりとして、今の日本人が忘れてしまった『まっすぐな心』を見ることができるような気がします。

 この物語は立身出世物語です。身分の低い家柄に生まれた主人公が、自身の実力と努力により、時に厳しく時に苦しい人生の長い坂を登っていく物語です。
 主人公はとても気骨があり、ハングリー精神旺盛でいて、冷静であり用心深い。情に流されるタイプのようには描かれておりません。

 でもその中にあって、この主人公、時々唐突に一人で泣き出すシーンがあるのですびっくり。全体を通して4,5回といったところでしょうか。 

 物語は、主人公の心情が細やかに描かれていたり、そうでなくても情景描写などでその心情を比喩的に表現されているものが少なくありませんが、この本にあってはその主人公の心の内を代弁する情景描写や比喩的表現が、殆どないのです。
 主人公はとっても冷静沈着で、『よくそんなに情を排除して強く生きてられるなぁ』と思って眺めていると、突然に顔を覆って泣き出したりします。強いストレスからなのか、ちょっと過呼吸のような発作を起こす場面も見られます。
 その唐突感に、いつもびっくりさせられて笑い泣き
 『えっ、そうだったの!!そんなに本当は苦しんでたの!?ごめんね、気づいてやれんで😭』
 みたいになっちゃいますアセアセ

 でも実生活において、

 人が誰でも自分の気持ちをなんでもかんでも赤裸々に話すわけはありません。
 でもだからと言って、辛い思いをしていないわけでもないし、苦しんでいないわけでもない。

 大切にしたいと思う人の、ほんのちょっとのシグナルをいかにすくいあげて、心に寄り添っていけるか。そういう大事な教訓も、描き込まれていたような気がしましたおねがい

 昨日のお仕事ルンルン
 これで3種類買った矢羽根文様の生地を1つずつ作り終えましたニコニコ
 今日はマスク作りかな。

 あ。
 マスクといえば、私の親友のカルロが住んでいるイタリア、現在一日3万人が感染しているというかなり悪い状態です。カルロは、

 「3月4月と同じような状態に戻っちゃったよ。お店は18時には閉まるし、夜間の外出も禁止されてるよ」

 と言っています。
 フランスやスペイン、イギリスなども、今はちょっと状態が悪いですね。かなり心配です。