最初に読んだ時は、途中で閉じてしまったこの「オノマトペの謎」。
 もう、再び本を開くことはないかもしれないと思っていたのですがアセアセ、この本のことをブログに挙げた時に、「僕も読んでみようかな」というコメントを寄せてくださった方がおられました。
 そのように興味を持ってくださったことが、とても嬉しく有り難く、『こりゃあ私が読まんわけにはいかんやろー』と思い、再びページをめくることができました。
 2度目に読んでみると、これがなかなか面白く、結構一気に読めました照れ

 この本についてレビューを書きたいのですが、小説などと違って、サマリーをまとめるような本ではありません (あ、いつもサマリーなんて書いてないか笑) 笑い泣き
 どうしよう。。でも『面白いよラブ』ってことも伝えたいし。。
 
 ということで、私が一番好きだった章について書きたいと思います。
 ちなみにこの本は、序章を除いて8章に分かれており、異なる8人の言葉の専門家が、それぞれひとつの章を担当して書かれています。
 私が一番好きだった章は、奇しくもこの本の編者であられた窪薗晴夫さんが担当なさった章でした。

 まず章の最初に書かれていたのが、

 大人の言葉の基本構造は、オノマトペと赤ちゃん言葉によって作られている

 ということでした。
 オノマトペと赤ちゃん言葉が日本語の軸だなんてびっくり!掴みはバッチリです爆笑ルンルン
 ではでは、この章のまとめを。。


 日本語の基本的な音声単位は、2モーラ (モーラとは指折り数える際の長さの単位。「ん」や「っ」もひとつに数えられる) であり、ワンワンやブーブーなど、オノマトペでもあり赤ちゃん言葉でもあるが、このような言葉の多くは、2モーラの語基を繰り返す形をとっているということ。 
 これは、日本語だけの現象ではなく、英語でも、オノマトぺから派生したpeepee、poopoo(おしっこ・うんち)がある。
 そして、日本語の特徴としてオノマトペが多いと言われているけれども、赤ちゃん言葉が多いのもまた、日本語の特徴である。 
 大人の言葉では、「手」や「目」のように、1モーラの長さのものも珍しくないが、日本語は様々な方法で、1モーラの言葉を避けようとする
 例えば数字の発音では、「2」や「5」を「ニー」「ゴー」と、2モーラの長さにし、曜日の場合も「火」「土」を「カー」「ドー」と伸ばす (電話番号など読むときに、238-1357を、「ニサンハチのイチサンゴナナ」とは言わずに、「ニーサンハチのイチサンゴーナナ」と言いますよね) 。
 干支も、本来短いはずの「子」「卯」「巳」「亥」を、「ネー」「ウー」「ミー」「イー」と伸ばして発音する。これらは全て母音を伸ばすことにより 2モーラの言葉にしている。
 その他にも、おを付けたり (「酢」→「お酢」、「麩」→「お麩」など) 、別の要素を加えたりもする(「田」→「田んぼ」、「荷」→「荷物」)。

 短縮形の基本形も 2モーラであり、基本形は語頭の 2モーラ を取る

 この歴史はかなり古く、室町時代の女房言葉にまで遡るようである。短縮形に「お」がついた形がその始まりのようである。
 「鳴らし→おなら」「冷やし→おひや」「むつき→おむつ」「寝小便→おねしょ」など。
 
 現代における新動詞・新形容詞などでも、「コクる(告白する)」「サボる(サボタージュ)」・「ケバい(けばけばしい)」「エロい(エロチック)」 など、語頭の 2モーラを取るという同じ規則によって作られている。
 人の名前でも同じように「恵ちゃん」→「めぐちゃん」「雅司くん」→「まあくん」などとなる。

 また、語頭の 2モーラを取るという原則は、複合語表現の短縮形にも見られる。 
 「八百屋の長兵衛→八百長」「ポケットモンスター→ポケモン」「ユニーククロージング→ユニクロ」その他、エアコン、リモコン、マザコン、ダントツ、懐メロなどなど。。

 俳句や短歌に見られる五七五 (七七) というリズムも、実は 2モーラが基調となっていると言われている。五七五の五と七は、それぞれ休止 (ポーズ) まで含めると、6モーラ、8モーラとなり、2モーラがその基本単位となっている。

 モーラとは別に、音の長さを測る音節という単位も重要である。
 音節は母音を中心とした音の集まりのことである。「ん」や「っ」は、子音であるから、音節を作ることはない。なので、東京(トー・キョー)と京都(キョー・ト)は、共に 2音節の言葉である。
 赤ちゃん言葉においても、「バタリ」「バサリ」のような 3音節のものよりも、「バタン」や「バサッ」のように、2音節のものが大半である。

 そして、リズムにおいても規則性がみられる。 
 2音節 3モーラの場合には「うん・ち」「ばあ・ば」「ねん・ね」「だっ・こ」のように、【長短】の形をとり、2音節 4モーラの場合は「わんわん」「はいはい」など【長長】の形を取る。
 ここで面白いのは、2音節の組み合わせには【短長】の構造を持つものもあるが、赤ちゃん言葉においてはそれは全く見受けられないと言うことです。
 なので、赤ちゃん言葉において、「ば・ばあ」や「じ・じい」とは言わないのです爆笑おいで

 赤ちゃん言葉において【長短】の構造しかないのは、そのリズムが発音しやすいという特徴を持っているからと言うことである。なので、幼い子どもたちには「サチコ」より「サッちゃん」の方が好まれるのである。

 如何でしたか照れ!?
 ちょっとややこしいかもしれませんが、こんな風に日本語の構造を考えるの、面白くないですかラブ!?

 私はずっと、『どうして日本人は短縮形を4文字にしたがるのだろう』という疑問を持っていました。キムタクとかアメショーとか。
 でも、それは日本語を話す人間が、無意識のうちに発音しやすいリズムの規則性に従って、自然に作り出していたのだなぁと。

 ひとつ謎が解けてスッキリです\(^-^)/ルンルン