娘と私が通うバレエ教室には、3人の先生がいらっしゃいます。一人は経営者のI先生。一人は娘と私のS先生。まだ30歳とお若い方です。S先生の姪ごさんもここの生徒です。そしてT先生。私より10歳年上ですが、娘と同い年の娘さんがいらっしゃいます。この娘さんも同じ教室でバレエを習っています。
 そしてこの3人の先生方とは別に、子ども達に特別レッスンをしてくださる先生が、もう一人いらっしゃいます。私たちのバレエ教室は、東京の井上バレエ団の後援を得ていますので、そちらの方から藤井直子さんとおっしゃる大変有名な先生がお見えになります。

 直子先生は、S先生をはじめ皆の憧れです。どこまでも細くしなやかな体つき、お人形さんのような面立ち、明るく楽しいお人柄です。通常3ヶ月に1度ほど、レッスンに見えられます。
 ですが、直子生は発表会の振り付けなどもしてくださいます。発表会が近くなると1ヶ月に1度ほどレッスンにお見えになります。直子先生の特別レッスンの時は、教室全体が緊張とワクワク感が入り混じったような雰囲気になります。 
  
 少し前のことですが、ある日、この特別レッスンを終えて帰ってきた娘がこう言ったのです。

 「ママはさ、どうしてこんな日も○○の髪をおだんごにしてくれないの?直子先生のレッスンの時は、みんなママにしてもらってるんだよ。T先生んとこのAちゃんだってT先生にしてもらってるよ。
 有名なんだから。○○のママは○○のおだんごしてくれないって」

 ちょっと吹き出しちゃいました。そんなことが有名なのか爆笑
 特別レッスンだから綺麗にしなきゃという思いがみんなの中にあるのでしょうね。

 でもこのバレエ教室では、常々おだんごは自分で
するようにと指導をされています。いつから、という決まりはありませんが、娘は小学校に上がるともう自分でポニーテールをし、2年生になると一人でおだんごを作るようになりました。
 ただ子どもの作るおだんごですから、そんなに綺麗なものではありません。遅れ毛も出ているし、形もいびつです。それでも週に2回、毎回おだんごを自分で作ることで、だんだんと上手になっていきます。

 私は娘にこう言いました。

 「じゃあさ、普段のS先生のお稽古の時はどう思ってるの?直子先生の時だけ綺麗にしたら、S先生の時は、それじゃあどうでもいいの?ってなるよ。そんなのおかしくない?どの先生であっても同じなはずだよ」

 先生たちの中で序列があるのは確かです。でもそれは、レッスンを受ける子どもには関係のない話です。先生によって態度を変えるようなことにはなってほしくありません。

 「あ、そうかびっくり!そうだよね。。」

 そうだよね、の後に余韻は感じましたが(笑)、とりあえず理屈では納得したようです照れ

 ごめんね○○。ママ本当は分かってるんだ。
 ○○自身、気づいてないのかもしれないけれど、あなたは特別レッスンだから、綺麗にしていきたいわけではないのよね。そんな口実を使ってでも、ママに髪を結って欲しいんだよね。みんながママに髪を結ってもらっていることが、羨ましかったんだよねアセアセ

 せめて娘の仲間が欲しくて、私はこの日のやり取りのことを、後日、S先生に話しました。
 S先生も確かに「そうですよねびっくり!」とおっしゃり、「私も今まで、特別レッスンの時は姪の髪を私が結ってました。でももうやめます。自分でさせます。私のこと大切に思ってくださって、ありがとうございます」と言われました。

 S先生、お若いのですが、本当に真面目で素直で、とってもいい先生なんです。私もこの先生と一緒に毎回レッスンができて、本当に幸せですおねがい
 S先生にとって、直子先生は小さいときからもう憧れで憧れで、直子先生のようなプリマになりたいとずっと思われていらっしゃった方で、それだけに、姪っこちゃんのおだんごを結うことが、おかしいとすらお気づきにならなかったようです。それくらい、直子先生は偉大なのですラブラブ

 次回の特別レッスンからは、髪を自分で結う子が少なくとも一人、増えることでしょう。ちょっといびつなおだんごも誇りだと思えるような、人の気持ちのわかる心の強い子になってほしいと、母は願います。

 ちょうど自分で髪を結い始めた頃。ちっちゃいな~ラブ