外来での一通りの検査を終え、病棟へ上がる。
脳神経外科の大部屋。
お年寄りが多い。
病衣に着替え、同意書へのサイン。
バタバタと事が進む。
事務の人などもみえ、高額医療費の認定証の説明を受ける。
こんなこと、こんなときに思いたくはないが、いったい、治療費はいくらになるんだろう…
処置をするので出てくださいと、ベッド周りのカーテンが閉められる。
そのすきに、保育園や主人の会社の健康保険の窓口に電話。
病室へ戻ると主人の辛そうなうめき声と荒い息づかい。
私の心拍数が一気に上がる。
尿管の管が、なかなか入らなかったようで、病室では断念。
カテーテルの手術の時にやることになる。
また、辛い思いしなきゃいけない…
心が弱気になる。
これからは絶対安静のようで、ベッドのまま移動。
カテーテルの手術が始まる。
脳腫瘍は血流が豊富で、それを開頭手術で取るとなると、大出血の可能性がある。
それを避けるため、前日にカテーテルで、腫瘍への血管を塞ぐらしい。
正常な血管まで塞いでしまうと、脳梗塞を起こす。
もう、ここまで来たら、私は祈るしかなかった。
手足が動かなくなっても、どうか記憶は、頭は普通の今まで通りでいてほしい…
カテーテルの部屋に入る。
扉が閉まったとたん、涙が出てくる。
主人のうめき声も聞こえる。
看護師さんに「ビックリしましたよね…」と、声をかけられる。
何も返事が出来なかった。