最後の最後に向かって進んでいく
「ヒーローではないけれど」

その出来事が起きたある日のある時間、人生の最大の幸福と悲しみを味わったその日は、ギジュ(チャン・ギヨン)にとって、その後の人生の起点となる意味を持つ。 



資産家のポク家に財産目当てで入り込んできたのは結婚詐欺師のト・ダヘ(チョン・ウヒ)。全ては母と呼ぶサウナの女経営者の指示のもと、長男のギジュとの婚姻を目論む。 

そんな財産を狙われるポク家の人々には秘密があった。ギジュの母は予知夢を見ることができ、姉は飛行の能力、ギジュは過去に行くことができるというように、血を受け継ぐものは代々特殊な能力を受け継いでいて、ギジュの娘も何らかの能力を持っていた。 

消防隊員だったギジュは娘誕生の日、病院に駆けつけるため先輩に仕事を変わってもらうが、近くの女子校で起きた火災の消火活動中にその先輩が命を落としてしまう。
その日から、先輩を救おうと何度となくその日のその時間へと戻ることを繰り返すギジュ。しかし、戻った先では声も届かず、人に触れることさえできない。次第に罪悪感と無力感の中で、心を壊していく。
そんな中、妻も自動車事故で失ってしまい、現在は鬱病でアルコール中毒となって無気力な生活をし、また能力も消えてしまっていた。

 お話の流れは、ダヘに対して最初は怪しげに感じていたギジュが、ダヘの巧みな言動や行動により、次第に気になりはじめ、心を開いて行くようになり、詐欺師の術中に嵌まっていくというのが序盤で、ポク家の特殊能力に気がついたダヘが逃げ出そうとしたりもしますが(ギジュの娘の能力が凄い!)、その後二人は心を通わせるようになり、最後は本心からポク家の人間になろうと、サウナの母にも絶縁状をおくります。

また、ダヘがやって来たあたりから、失っていた皆の能力に回復の兆しが見えても来ます。そんなこともあり、ポク家の人達も次第にダヘを信頼するようになり、家族として迎え入れることに。 

家族とダヘ、また詐欺師一家の間のエピソードが良くできていると感じます。

家族とダヘ、とりわけギジュの娘との交流が秀逸です。人とのコミュニケーションをさけ、目すら合わそうとしない娘が、何故かダヘにだけは自分の気持ちを吐き出すことができ、その辺にも納得の理由がある。

 詐欺師一家は他では悪を成してきたんだけど、最終的にはダヘのために悪になりきれない人ばかりで、ギジュの娘のダンスコンテストにポク家と皆で応援に来たりして、応援の仕方も半端なく、愛すべき人たちです。 

その他、精神的に追い詰められて過食に走って肥満体質になってしまった元モデルの姉周辺の話もよくできていました。

 ラストはギジュが起点となったあの日のあの時間に戻り、あの女子校の火災に巻き込まれたダヘを救います。未来の二人の出会いや幸せな時間を存在させ、新しい始まりに意味をもたせるために。 

主演のチャン・ギヨンが魅力的です。無気力な前髪長めの廃人っぽい演技もいいけど、常人後の笑顔にやられました。ホントしあわせなんだー、と何度も感じさせていただきました。ハスキーなお声も。

過去、現在、予知夢など時間の使い方が効果的で、特にギジュが旅する様々な過去のエピソードが物語に厚みを加えていたと思う。ただ、戻れる過去の前提の壁が崩れた理由がよくわからんかった。現在における戻れる過去につながる相手との幸福の確認なのか。

登場人物たちも少なめでお話が分かりやすかった。

そして、最後に登場の人物が物語の最大の鍵となり、ギジュの行動に意味をもたせ、正にギジュが娘に残した「終わりではなくて、新たな始まり」(だったかな?)でした。

最後の最後に驚く結末、お話の根本がラストにつながっています。


とても良いドラマでした。


ではでは。