「冬を越す ことのできない花たちへ おゆかけている おゆ あたたかい」


笹井宏之




ほんのりと、胸がそのおゆに振れたような温かい気持ちになった。



春を迎えることのできない人たちが沢山いた。
失ったものを思い涙した人たちが沢山いた。


私はそのおゆは、涙なのではないかと。
優しさと愛に満ちた涙なのではないかと。
そう思った。



「おゆ あたたかい」


そうだ。
人はあたたかい。



ちょうど良い、ほっとため息が出るようなあたたかさ。



一緒に涙を流すときも、



転んだ誰かの手を取るときも、



いつもあたたかいのだ、



人は。



濁った冷たい涙を拭えるくらいのあたたかさを持っているのだ。



おゆ あたたかい