オナニーとティッシュと私
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オナコラ#1 Y氏 その1

 私がオナニーと聞いて真っ先に思い起こすのは、Y氏のこと。
 自他共に認める、オナニーの達人である。

 Y氏との出会いは高校1年生の時であった。
 放課後の教室、いつものように友人Tとエロビデオ(VHS)の交換会を行って
いたとき、Tが言った。
「そういえば今日はYもビデオを持ってくるって」
「Y!?……え? Y氏が!」
 そう、驚きである。Y氏といえば、真面目な男。どちらかといえば、暗い男。
自分はY氏と面識はあったが言葉を交わしたことはなかった。Y氏の見た目は、
メガネを掛けてヒョロッとした感じの堅物。水木マンガに出てくる感じの優男と
言ったらわかるだろうか。いや、逆に水木しげるはY氏をモデルにしたんじゃな
いかってくらい、あのメガネ男そっくりなのがY氏である。
 ハッキリ言ってしまえば、見た目はちょっと気持ち悪い。

 ガラッと教室のドアが開き、Y氏が入ってきた。手には段ボール箱。自分とT
が向かい合う間の机にドンとその箱を置き、「よぉ、持ってきたよ」と言うと、
フタをガバッと開けた。

 中にはタイトルと女優名がバッチリ書き込まれたエロビデオの束。数十本。

「もうさ、ウチの棚がいっぱいになっちゃって。いらないから全部あげるよ。
 交換しなくていいから、全部持っていっていいよ。半分くらい裏だし」
「あ、あ…うん」
「あ、ありがとう」

 うん。ありがたいけど、確かにありがたい話だけど、高校生が自宅に持って
帰るにははばかられる量だよ。山田君。
 タイトルも女優名もハッキリ書きすぎてて、誤魔化しようがない仕様になっ
てるのも問題だよ。山田君。
 しかも半分裏って。高校1年生で裏って。意外と敷居高いよ。山田君。

「でさ、今度の小林ひとみ、何時から並ぶ?」とY氏。

 そう、アラフォー世代ならご存じ、今や伝説のAV女優である小林ひとみが
近所のレンタルビデオ店に来店。握手会を行うということで、ウチの高校では
大いに盛り上がっていた。

「15時から握手会ってことは、そうだなぁ……まあ、6時に並べば一番だろ。
じゃあ、6時に店前集合ってことで。また」
「あ、あ…うん」
「ま、またね」

 えーと、AV女優の握手会に開店前から店の前で並ぶって、なかなかのもんだよ。
山田君。
 俺ら、見た目は完全に高校生だし、間違いなく18歳未満だし、それがAV女優
の握手会に行くってだけでもかなり勇気のある行動なのに、それを通行中の人や
車に見せつけるように店前で並ぶなんて、しかも15時からだって言ってるのに、
早朝6時から並ぶって、だいぶ気合いの入った羞恥プレイだと思うよ。ていうか、
普通に補導されると思うよ。山田君。ねぇ、山田君。

 でも、まあ、なんだか面白そうだったので、自分とTは別の場所で待ち合わせ
してから、6時ちょっと過ぎに到着するようにレンタルビデオ店へ向かった。
 すると、当然のようにY氏がいた。ひとりぽっちのY氏がいた。

「よっ。遅かったじゃん。まあ、でもこれで1、2、3フィニッシュだな」
「あ、あ…うん」
「そ、そうだね」

 笑顔のY氏と笑うしかない他2名。
 それから開店の10時まで2月の寒空の中、ひたすら並ぶ3人の高校生。
 開店後も客の邪魔になるからと、外で並ばせられる3人の高校生。
 AV女優の握手会に並ぶ、3人の高校生。

 その間、Y氏は笑顔で小林ひとみ作品について、永遠と話し続けていた。
 その間、ひとつ気になることがあった。ずーっと気になっていたが、聞けずに
いたことがあった。しかし、どうしても気になるので、並び始めてから6時間目
くらいに、意を決して聞いてみた。

「あのさ、その両手にした白い手袋、なんなの? 寒さしのぎにしてはちょっと
薄くない? なんで、それなの?」
「あ、これ? もちろん握手した手を保存するためだよ。だってAV女優との握
手会って、当然そういうことでしょ?」
「あ、あ…うん」
「そ、そうだよね」

 その手のぬくもりを保存して持ち帰り、オナニー。
 このとき確信したね。間違いなくあんたがオナニスト世界一だよ! 山田君!!

 結局、4番手が並んだのは握手会開始30分前。
 要するに1時間前に並べば1番になれたということ。8時間は無駄だったって
ことになるけど、Y氏のすごさを知れたので良かったと今は思ってる。

 そしていよいよ握手会開始。現物の小林ひとみに大興奮の自分とT!
 そんな中、Y氏だけは至って冷静に、伝説のAV女優に話しかけた。

「いつもありがとうございます。握手してください」
と右手の手袋を外して握手した後、今度は左手の手袋を取り、
「こちらでも握手してください」と。

 やっぱり、両手かーい! さすがはワールドレベルのオナニスト、山田!!

 小林ひとみやその関係者、ならびに後ろで並んでいるすべての人がドン引き
していようがお構いなく、両手でぬくもりゲットしたY氏。
 満足げに店を出た後、自分たちにこう言った。

「俺、明日はこれを持って登山なんだ。朝早いから先に帰るわ。じゃ」
「あ、あ…うん」
「じゃ、じゃあ」

 えーと、登山? なんで? 握手した手を持って登山? なんでなんで?
 ていうか、水木マンガのメガネの男そっくりな山田君が、ていうか、もはや
水木マンガに出てくる山田君が登山って。え? え? なに? なに?

 そう、Y氏は学校になかった登山部を立ち上げた人物なのである。
 それも、オナニーのために登山部を……。(つづく)

オナニーのことだけを語るブログを始めました。

オナホールやドールを使った感想とか、オナニーの思い出話なんかを語っていくつもりです。よろピクピク。