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平穏な日々

平凡な主婦の平凡な日々の日記。


5年経ちました。


現実が現実にならないままで過ごした夜。

人が車道まで溢れている。信号が点いていない。煙が上がっている。地面が割れている。建物が崩れている。血が付いている。サイレンが鳴っている。雪が降り出す。公園へ行けという指示に従い公園へ行く。指示はそれまで。何をしたらいいのか分からない。

夜、外は真っ暗。
区役所に行ってみる。何をしたらいいのか分からない。
小学校の体育館に行ってみる。何をしたらいいのか分からない。
車のガソリンがエンプティ。結局家へ帰る。

家の中の惨状も暗くて見えない。
携帯の明かりでなんとか土足で踏み入る。寒い。暗い。水が出ない。携帯の充電がなくなる。ベッドでラジオをつけたまま横になる。眠れない。

入ってくる情報は現実味がない。
「震度7」「津波」「荒浜で200人の遺体」「町が壊滅」「港が燃えている」

最初にバイト先で体験した本震の時には「あ、これ世界終わるわ」と本気で思った。諦めた。
夜、何度も襲う余震。恐怖心も麻痺していた。

電気が通って、テレビが見れるようになったのは3日目の朝。
音で聞いて想像しか出来なかった世の中の惨状は、予想を超えていた。

ようやく、現実が現実になった朝。

死者数、行方不明者数が日に日に増えていく。
水が出ないので掃除が出来ない。家でも土足で過ごし続ける。アメリカか。

ガスが出ない。電気ケトルで沸かしたなぐさめ程度のお湯で手を温めながら髪を洗う。結局復旧する3月末まで一度しか髪を洗わなかった。体はパウダーシートで拭いた。

これでも全然マシだった。
生きてる。家族も友人も生きてる。怪我もしてない。家がある。並べば少量の食料が買える。毎朝スルメだけ食べる生活だって問題ない。だって生きてるから。


あれから5年。
私は今も生きている。今は東北に住んでいないけど、生まれた岩手県も、長く過ごして、あの日震災を経験した宮城県も、どちらも大好きです。