ボウイが逝ってしまった。
突然の訃報にショックを受け、本当に悲しい。
若かりし頃、特に初期の物語性のある、けれど難解な歌詞や独特な声、メロディの上に字余りのようにのっかっている歌声にすっかり魅了されてしまって以来、時にどっぷり、時に少し離れつつ。20年以上。
キラ星のごとき数々の名曲を産み出した70年代がボウイのクリエイティビティの最盛期だったのは疑う余地もない事であるけれど、金髪にカラースーツでスターしていた80年代もその後の低迷期も再び充実期に突入した90年代以降もすべての時代があってこそのボウイ。
私が唯一生のボウイを見る事が出来たのが2004年のrealityツアーの日本武道館であったけど、このツアーは作り込まれたショウというよりリラックスした雰囲気で、みんなこの曲が聞きたいんだろっていう曲を惜しみなく演ってくれたとても楽しく素晴らしいものでした。そして50代のボウイはタイトな衣装を着こなし、それはもうとてつもなくかっこ良かったのである。
思えばDavid JonesからDavid Bowieになって以降、宇宙人時代もアイドル時代も渋い長髪時代も、、結局最期まで半世紀ずーっとボウイはかっこ良かったという驚くべきこの事実。
ボウイがトニーヴィスコンティに癌を打ち明けた際、眉毛が抜け落ち、ウール帽の下には頭髪はなかったというMOJO誌のヴィスコンティのインタビューを読んだ時は胸が痛かった。
そんな状況でも自身の病気を公表せずリリースした最期のアルバム★。死を意識しながらも最期まで攻めきった。最期までデヴィッドボウイであり続けた。
お見事です。その精神力に恐れおののくほど。
文学や芸術への造詣の深さ。膨大な知識量。それを音楽へと昇華させる才能。ボウイの知性にはいつも本当に圧倒されていました。
短いようだけど、なんというぎゅーぎゅー濃密な69年なんでしょう。

いつも過剰な期待をかけてしまっていたけれど、みんなあなたが好きでした。
どうぞ安らかに。