先の心配はせず、ゆったりした気持ちで休もうよ。と父に話しますが、父は焦っています。自分でもわからない自分の身体の事。これからの生活の事。時々感情的になり、大声でわたしを怒ったりしました。
なんでお前は余計な事をするんだ!
なんでわからないんだ!
と、怒鳴ります。

昨日届けたはずの書類をまた父が書いています。夜中までかかって書いたと。
お父さん、これ昨日もう出したよ…そう言うと、驚いた後にため息をつき、わたしに抱きついて、溢れるように泣いてしまいました。
そして、ごめんな、ごめんな、と謝るのです。
わたしも思わず涙が溢れてしまい、大丈夫だよ、お父さん。と言います。

なぜかわたしは、やっと父が自分の物になったという感覚に陥りました。もう、この人はどこにもいかない。わたしを頼っている。大好きな父が。

母は、父を気持ち悪いと言います。入院し解放されてからは、得意の自分だけが苦労、自分が一番辛いアピールをしています。

わたしだってすごく辛いよ…

しかしそれは、口に出したもの勝ちです。母が一番大変という事にしましょうか。わたしにとっては、そんなの誰だっていいですから。

入院中に、ガラケーだった父は、外出中に携帯ショップへ行き、スマホにしました。ネットで馬券を買わなければいけなかったそうです。
スマホを扱えない父のため、わたしはLINEアプリをインストールしてあげました。と、わたしの他に友達に追加されている人が出てきました。

愛人です。

まだ続いていたんだ…
十年前に愛人の存在を聞いたきり、一度も触れていない事でした。しらばっくれて聞きました。パートナーの人に色々相談してみたら?と。
彼女は忙しい人だから、いいんだ。本当にいい人だから、お前にも会わせたいよ、と言っていました。

なんだかそれは、そんな不純な関係じゃなく、やましい事はなく、オープンなものだと言わんばかりの口調でした。

三日間、滞在し、帰る日の四日目の朝も病院へ行き、こっそり担当の先生とお話して帰りました。
それが入院して六日目だったと思います。