【中野友加里のスケーターたちの素顔】 | 浅田真央さん&浅田舞さん 応援ブログ

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【中野友加里のスケーターたちの素顔】
「日本女子も負けてない」世界に発信
(2015.4.27 10:55)

 2012年の冬。フジテレビのスポーツニュース番組「すぽると!」の仕事で、初めて行ったインタビューの相手が全日本ジュニア選手権で連覇を飾った宮原知子選手でした。

 当初のイメージは「恥ずかしがり屋の知子ちゃん」。記者泣かせな選手と思っていましたが、実際にマイクを向けると、とてもしっかりとした口調でインタビューに応じてくれたことが印象的でした。当時のフリー曲「ロミオとジュリエット」について、彼女なりの表現へのこだわりが伝わり、クレバーな印象を持ちました。

 今年の世界選手権。そんな宮原さんが大仕事をやってのけました。

 全日本選手権では、弱冠16歳で初優勝を果たし、「全日本女王」の肩書を持って中国・上海の大舞台に乗り込み、初出場でいきなりの銀メダル。ロシア勢の台頭ばかりが注目された今季の女子フィギュア界にあって、「日本女子も負けてないぞ」という強烈なメッセージを世界に発信してくれました。

 私にとって、初めての世界選手権は06年。まだ予選もあった時代で、初めてのことだらけで緊張の連続でした。「フリーを最終組で滑れるように」と願って臨んだ大会でした。目標通りに最終組で演技をして5位。「世界中の人たちに少しはアピールができたかな」と、達成感に満ちた思い出があります。初出場で堂々の2位に入った宮原さんには、心から大きな拍手を送りたいです。

宮原選手 自信の笑顔

 宮原さんは身長147センチと、体はきゃしゃですが、演技を見ていて、とても体力があることに驚かされます。

 たとえば、フリーの演技構成では、後半にダブルアクセル(2回転半ジャンプ)からの3回転の連続ジャンプを2度も組み入れています。後半のジャンプは得点が1.1倍になるメリットがあります。難しい構成ですが、練習で養った体力を武器にしっかりと得点を稼ぐ賢い構成です。

 今季の宮原さんには、はっきりとした変化を感じました。それは、表情からにじみ出る自信です。昨季までの彼女はリンクの上でも、少し恥ずかしさが出ていたという印象がありました。しかし、今季はまず雰囲気全体が明るくなり、顔を上に向けるようになりました。ジャッジや観客たちにアピールする力がにじみ出ています。

 ショートプログラム(SP)から笑顔を見せるなど、表情にも工夫を凝らしていることが伝わってきます。笑顔は、本番だけつくれるものではありません。練習から本番のつもりで表情にまで神経を研ぎ澄ませて滑ってきたのでしょう。シャイな宮原さんゆえに、とても鍛錬を積んだのだと想像ができます。

トリプルアクセル必須?

 「SATOKO MIYAHARA」。持ち味である回転軸が整ったジャンプをしっかりと決め、彼女の名前はジャッジの脳裏にしっかりと刻み込まれたでしょう。

 一方で、世界のレベルは着実に進化しています。世界選手権で頂点に立ったのは、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ選手でした。彼女はSPで史上6人目となる公式戦でのトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させました。

 トリプルアクセルは男子でも、成功が難しいとされる大技です。ほかの5種類のジャンプと違って、半回転多く、唯一前向きに踏み切って跳びます。長い滞空時間をキープするために、タイミングだけでなく、筋力のバランスも問われます。

 トリプルアクセルを跳んだ選手は、私や浅田真央選手がそうであるように、幼少時からアクセルジャンプを得意としてきた選手が多かったように思います。私自身の経験からも、体形が女の子から女性に変わる前に跳んでおくことができれば、大人になってからも感覚をうまくつかむことができます。

 トゥクタミシェワ選手も以前から練習していたのを映像で見たことがあります。プレッシャーを感じながらも、大舞台であっさりと成功させたのは素晴らしかったです。

 ソチ五輪翌シーズンの世界女王がトリプルアクセルを跳んだという事実は、平昌五輪に少なからず影響を及ぼす可能性があります。金メダルを取るためには、トリプルアクセルは不可欠なジャンプになる-。そんな可能性すら感じさせる結果とも言えるでしょう。(元フィギュアスケート選手、フジテレビ職員 中野友加里

 ■なかの・ゆかり 1985年、愛知県江南(こうなん)市生まれ。史上3人目のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に成功し、2006年~08年まで3年連続で世界選手権日本代表。10年に現役引退し、フジテレビに入社。早大大学院修了。著書「トップスケーターの流儀~中野友加里が聞く9人のリアルストーリー」(双葉社)が発売中。
http://www.sankeibiz.jp/express/news/150427/exe1504271055002-n1.htm