鈴木明子「真央が選んだ道を見守りたい」 | 浅田真央さん&浅田舞さん 応援ブログ

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鈴木明子「真央が選んだ道を見守りたい」
特別な絆で結ばれた仲間たちへの思い
(2015年2月27日 12:13)

 ソチ五輪が行われた昨シーズンは、これまで日本のフィギュアスケート界を支えてきた選手にとって1つの区切りとなった。2013年12月の全日本選手権終了後に織田信成、安藤美姫が引退。浅田真央(中京大)は今季を休養に充て、来季以降の去就は未定のままだ。高橋大輔も昨年10月に競技生活に別れを告げた。

 フィギュアスケートの選手たちは、男女問わず非常に仲が良い。五輪や世界選手権などの出場権が懸かっていてもライバルを応援し、演技について共に喜び、悔しがる。そこには幼いころから切磋琢磨し、お互いを高めてきたからこそ生まれた特別な絆が存在するのだろう。「『一緒にこの時代にスケートができて良かったな。こんなに良い仲間たちとスケートができてなんて幸せなんだろう』といつも思います」。14年3月の世界選手権を最後に現役を退いた鈴木明子もそう言って仲間への感謝を隠そうとしない。自身も新たな道を進んでいる鈴木に、戦友たち、そして長年指導を受けた長久保裕コーチへの思いなどを語ってもらった。

「織田くんの対応力はハンパない」
――共に戦ってきた高橋さん、織田さんが引退し、浅田選手は現在休養中と皆さんそれぞれ新しい道に進んでいますね。彼らにはどのような思いを持っていますか?


「一緒にこの時代にスケートができて良かったな。こんなに良い仲間たちとスケートができてなんて幸せなんだろう」といつも思います。これからもずっと、みんながおじいちゃんやおばあちゃんになっても「昔のね、あのときの試合がさ」という話ができたらいいなというような仲間ですね。

――テレビに一緒に出たりして気恥ずかしかったりしませんか?

 それはもうないですね。あらためて「お手紙を書いて読んでください」などは恥ずかしいんですけど、せっかくこうやって自分たちが頑張って、スケートが注目を集める時代になったので、それをお仕事にできるなんてそんな素晴らしいことはないなと私は思っています。みんながみんなスケートが好きで、後輩たちがまた活躍できるようにと、そういう思いを持っていますしね。

――今まで彼らと共演したテレビ番組で印象に残っているものはありますか?

 一緒に出ているのは織田くんくらいなので(笑)。あとは本田(武史)先生や宮本(賢二)先生ですし。ただ何に出てても、織田くんはすごいなと思いますね。「この人の対応力はハンパないな」と思いながらやっています(笑)。そういえば真央と(村上)佳菜子(中京大)と一緒にテレビの企画でご飯を食べたときは、あんまり普段話さないことを番組から振られました。今後どうしていくかというような話はなかなかしないので、すごい面白かったですね。

――普段は3人で何の話をしているのですか?

 だいたい食べ物の話をしています(笑)。「ここがおいしかったから今度行こう」とか。佳菜子が現役なのでシーズン中は行けないですけど、終わったらお疲れさま会をしようねと話しています。ずっとみんなで連絡は取り合っています。LINEのグループがあるので。

――村上選手が試合に出るときも試合の朝などに連絡をしていますよね。

 そうですね。空気は読んで、今は言わない方がいいかなというときは状況を見ていますけどね。

佳菜子にとって今が変わるとき
――その村上選手は女子フィギュア界のけん引役を期待されて、精神的に大変そうですが?


 全日本選手権(村上は5位)のときからちょっと私も不安だったんですけど、今はもう前向きにやっています。ただ、ちょっと無理をしているんじゃないかなと思うときもあるんですよね。

――自分が引っ張っていかなければいけないと?

 そうなんです。オフに会ったとき「自分が」ってすごく奮い立たせている感じがして、「無理しないといいけどな、背負わないでやってくれたらいいな」と思っていました。あれだけ下の世代から突き上げが来たらつらいですよ。誰しもそういう状況になったらつらいと思うので、ちょっとでも和らいでもらえたらと思っています。

――今までは鈴木さんや浅田選手らお姉さんのような存在がいましたからね。

 佳菜子自身も末っ子気質というか、誰かに付いて行くという感じが大きかったんですね。でも前々から私はずっと佳菜子に「人間って絶対にいつかは上の立場になっていく。それはスケートだけじゃなくてどの社会にいてもそうなっていくから、佳菜子がずっと一番下ということはないんだよ。だからそれを自覚しなくちゃいけないし、変わるときが来るんだからね」と言っていました。今はそういう時なので、彼女にとってはつらい時期だと思いますけど、この経験が必ず彼女を大きくすると思っています。そしてそれがスケートにも生きてくるので、見守っていきたいですね。

――浅田選手の進退についても話したりするのですか?

 本当に悩んでいるのだろうなというのは分かります。でも私は「じっくり考えていいんじゃない」と思っています。焦ることもないし、今まであれだけ頑張ってきたので、今後のことは、本当に彼女自身がやりたい気持ちなのか、それとももうこれでいいと思うのか、じっくり考えてほしいなと。彼女は自分自身以外の部分でもきっといろいろとあるからこそ大変なんだと思います。私みたいに「はい、辞めます!」とはならない。周りからたぶんどんどん言われる。でもゆっくり決めればいいし、真央が決めたことに対して私はどういう結論を出しても応援します。これからもみんな仲が良いし、何があっても関係は一緒だからねとは言っていて、私は真央の選んだ道をただただ応援するというか、見守りたいという気持ちです。

私も先生も折れないから大変だった
――長久保コーチとは引退後もよく会っていらっしゃるんですか?


 そうですね。今朝も会いました。普段レッスンするときも必ずいるので。

――現役時代はけんかもよくしていたそうですが、さすがに今はないですか?

 もうしていないですね(笑)。現役時代はけんかというか言い合いは多かったと思いますけど。

――そういうときはどちらが先に折れるのですか?

 どっちもあまり折れないから大変でした(笑)。まあ生徒ですし、私が最終的には「すみません」みたいな。でも謝るだけじゃなくて、自分はこのときこういうふうに思っていたんだということを言わないと、先生も勘違いしたままになっちゃうので。人間の言い争いってほぼほぼ勘違いが原因じゃないですか。だから「私は先生のこういうところが嫌だったから、私も次からは直すけど、先生もこういうときにここを直してほしい」って直してほしいところを言います。そうじゃないと同じことの繰り返しになってしまいますしね。私はこういったところが嫌だったんですとか、先生のその言い方が嫌だったんですとか。だからこういったときにもうちょっと一呼吸置いて、分かってほしいかななどと言っていました。

――何でも言い合える良い師弟関係ですね。

 私も良い関係だなと思っています(笑)。

焦らずに自分のペースで歩いていけたら
――現在はプロとしてアイスショーなどで活躍されていますが、プロとして滑るのは楽しいですか?


 楽しいと思っていたんです。ただ実際は、楽しいというより厳しい世界だなと思います。

――どういった点ですか?

お金を払って見に来てもらっているので、失敗すると「プロとしてダメだな」と思うことがあって……。プロは表現の中にジャンプが溶け込んでいるイメージなんです。「ジャンプを跳びます」じゃなくて、演技1つの中にジャンプがあるというだけで。競技だとジャンプがあって、スピンがあり、それで表現をするという感じじゃないですか。でもプロは表現があって、その中にジャンプがあるという感じなので、そこがすごく難しい部分かなと思いながらやっています。

「プロフィギュアスケーターはこれ」というふうにならなければいけないわけではないと私は思っていて、これからやっていくうちにどういう方向性になるか決まってくると思うんです。でも焦らずに「こうじゃないといけないんだ」ではなく、可能性をどんどん広げていって、根本にあるのは本当にフィギュアスケートを好きな人が増えてほしいという思いと、後輩たちがどんどん活躍する場で注目してもらえたらいいなというその気持ちでお仕事できればと思っています。最初は焦る気持ちがありました。「こんなのじゃプロとしてだめだ」というのもあり、すごく自己嫌悪に陥ったり、本番が怖くなったりということがあったんです。でもそうじゃなくて自分自身のペースをつかめるようにしようと思い、今はゆったり構えるようにして、「人生はまだ長い」と思ってやるようにしています。

――今後、挑戦したいことはありますか?

 今は自分が手いっぱいなのであまり考えていません。ただ子どもたちに音を動きで表現する部分のお教室ではないですが、セミナーみたいなものを開けたらいいなと。練習というよりは、みんなでこういう表現をしようというものを、ステップを入れたりしながら、同じステップを「楽しそうに」とか「悲しそうに」などと個々にやってみたり。この音をどう表現するかとか、ここで動物を表現しようといったことをクラスでやっても楽しいのではという、ザックリしたイメージがあります。

――競技生活の経験を今後の人生にどうつなげていきたいと思っていますか?

 フィギュアスケートを通して1つのことを諦めないでコツコツと続けていったのが、今の鈴木明子というスケーターだと思うので、これからものんびりだと思うし、焦らずに自分のペースで好奇心を持って、歩いていけたらいいなと思っています。人生は生き急ぐことはないと思っていて、でも挑戦しないとチャンスも何もつかめないと思っているし、だから自分の足で勇気を持って一歩踏み出そうというのはすごく意識しています。

(取材・文:大橋護良/スポーツナビ)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/sports/figureskate/all/1415/columndtl/201502270001-spnavi?page=1