連続テレビ小説 オードリー 再放送 ⑭
昭和４６年 松竹映画「男はつらいよ」上映中
（ナレーション）
日本映画の斜陽化は進み、雀蓮の予言の通り、市川雷蔵の急逝によっ
て痛手を受けた大映が倒産。日活も路線をロマンポルノに変更、昭和
４４年から始まった松竹の寅さんシリーズだけが、日本映画を支えて
いた。そして中村錦之助、三船敏郎などの大物映画スターが次々とテ
レビに進出。
残っているのは勝新太郎と幸太郎と、裕次郎か。
社長、裕次郎も近々テレビで刑事ものをやるようです。
何～～！
木枯紋次郎のテレビ画像
（ナレーション）
昭和４７年１月から始まった巨匠・市川崑監督による木枯紋次郎は
一世を風靡。
昭和４７年 雲は～～
いつまでテレビ見てるの。来年受験でしょう。
アッシにはかかわりのねぇことでござんす。
ママは、相変わらず椿屋を手伝っていた。
梓も、相変わらずの反抗期。
札幌冬季オリンピックをテレビ観戦して大喜びの滝乃や美月たち。
「オードリー、オリンピックの何が素晴らしいんや。」
パパは相変わらず浮いていた。
東京オリンピックから８年、ベトナム戦争は相変わらず続いており、
パパの心は泥沼やった。
お母ちゃまは、相変わらず椿屋一筋、
私も、相変わらず写真に凝っていた。
君ちゃんの実家
半年前に、私は山鹿へ行った。君ちゃんの家は、もうなくなっていた。
君ちゃんと別れてから６年間、私は撮影所にだけは行かなかった。
お前はいい女優になるで。
才能があるということですか？
ある。けど今はやめとき。普通の小学生、
中学生をやって感性磨いておく方が大切や。
才能、、、。
東都映画芸能学院入学志願書を取り寄せている美月
美月が卒業生代表として答辞を読むことになった。
お母ちゃまは訪問着、ママはスーツ、一番お似合いの格好で来て。
パパは来させないで。
（美月＆ママ＆滝乃の共同戦線）
八ミリカメラはやめてもらう。オードリーとも呼ばせない。勝手に
拍手や発言もさせない。立ち上がらせない、蝶ネクタイもやめさせる。
二人に完全に自由を奪われて座っているパパ。
（美月の答辞）
第２次世界大戦が終わって２６年を経て、横井庄一さんがグァム島
から帰還しました。日本がまだ戦後を引きずっていることに、私は
衝撃を受けました。 小学校5年生の時の東京オリンピック、今年の
札幌冬期オリンピックと私たちはずっと平和を謳歌してきました。
その間、ベトナムではずっと戦争が続いています。
それを思うと、私たちはこれから男性であるとか、女性であるとか
ではなく、人間としてどう生きるべきなのか、何を選択していくべ
きなのか、自分の頭で考え、自分の意志で生きる道を選択していか
なければいけないと痛感しました。
卒業式が終わった帰り道で
パパもママも滝乃も、みんな美月の答辞に感動。ただ、８ミリカメラ
での撮影ができなかったことに、パパはちょっぴり不満顔、、。
「大学卒業の時は撮ってもいいかもね。」とママが次のチャンスの
ことを言うと、
「私は大学には行かない。女優になる。卒業式はこれで終わり。ほ
んまの映画を撮るんや。」と美月が宣言した。
突然ではなく、自分の道は自分で選び取ると言って以来、６年間ず
っと考えていたことだ、と。
（ﾊﾟﾊﾟ・・・オードリー、ちゃんと言え）
撮影所を自分で封印してたんや。中学・高校で勉強しながら、自分
の行く道を探してたんや。もし撮影所を忘れられたら、別の道を行
こうと思うてた。けど、今日答辞読んで思うたんや。自分の道はや
っぱり映画やて。
美月 オードリー あかん。女優なんてあかん。
私の意志は変わらない。あの答辞はそういう意味だったのだと、
美月はそのまま撮影所の門をくぐった。
撮影所へ入る美月
大京映画役員会議 檄を飛ばす黒田社長
大映は倒れてしもたわ。我が大京映画は、幸太郎の葉隠シリーズで
何とか生き抜いとる。けどもや、さすがにこのシリーズも陰りが見
え始めた。
幸太郎の元にも、テレビ局から諸企画が来とる。御大の時みたいに、
後手に回ったらあかんのや。今すぐ、幸太郎の企画を出してくれ。
大映なきあと、東映も任侠路線から実録ものへと路線を変更するみた
いや。
いよいよや。 時代劇映画は、我が大京の(?)となる。
ええか～。わが大京が銀幕の世界を捨てたら、太秦の灯は消える。
危機感を持て。幸太郎を守れ。 テレビで駆逐されるな。
「御意」
撮影所にて
杉本さん、出世している。～～～見えてるぞ～～もっとバック、バック
大部屋女優に囲まれている幸太郎の出番
シーン４５、カット１５、本番 用意 スタート！
ジョ－こと、錠島尚也（長嶋一茂さん）の登場
舞い上がるつむじ風
成松、籠の中のお人は、お世継ぎ吉松君とお見受け申す。
錠島と幸太郎の立ち回り
お世継ぎを秘かに亡き者にし、家老の娘の生んだ兼松を世継ぎに直そう
という陰謀、誰の指図だ。この不動正宗が許さぬという。
名を、名を名乗れ。 葉隠仙鋭
斬り合いの後、錠島がドサリと倒れた。
周りに人を寄せ付けようとしない錠島 気がかりな美月
卒業しました。なんや、お前。
Here’s looking at you, ｋｉｄ！ 君の瞳に乾杯！
お～、Diving Micky か～。 卒業おめでとう。
やっぱり美月か～。 消しゴム、今日はないけど、、、。
アホ、スカートで来るな言うたやろ。
杉本さん 幸太郎の近くに来る。
（杉本さん） 幹先生、次、シーン３６の１から行きます。
(晋八) 流れ橋の吹替。ワイの付き人。
（杉本さん） あ～、前に会ったよね、何度か椿屋で。
(晋八) 冷たいヤツじゃな～、家近いのに。
（美月） 晋八君に会うたら、ここへ来たくなるから、我慢しててん。
（幸太郎） オレと約束したんやな。
それで、俺と共演する気になったんか？
はい。
見慣れん子やな～？ 椿屋？ 幸様と共演？
約束？ 流れ橋？ 吹替？ 付き人？
新しい人生の幕開けやった。