芸能生活55周年
舟木一夫コンサート2017
~ツアーファイナル~
中野サンプラザホール
2017.11.5(日) 15:00
11.6(月) 12:00 16:00
(2)
「竹久夢二の郷愁」という組曲があって、本をいっぱい
集めて、そこから詩や言葉を切り抜いて自分で繋げな
がら山路先生に曲をつけて頂いて組曲を作ってみまし
た。 若い頃、 30分くらいにしてステージでやったこと
があります。
初めて松山善三:作、 船村徹:音楽 で組曲を作った後、他の
レコード会社で企画は二度ほどあったということです。 でも、企
画倒れになってしまいました。 それほど組曲というのは難しい
ものなんですね。 だから、” 作詩(詞) ” ではないんです。
作: 松山 善三、 音楽:船村 徹 なんですね。
ステージに乗っけられる組曲というと、西條 八十:作、船村 徹:音楽の 「 日本の四季 」 が
あります。 40何年前の曲ですが、ちょいとお聴かせしようかと。
「 日本の四季 」
~春、夏、秋、冬~
詩 : 西條 八十
音楽: 船村 徹
小鳥のさえずり
日本の春は花から明ける(女性コーラス)
あゝ なぜなぜ花は
こんなにもいろいろな事を
思わせるんだろう
過ぎた日を あの人を
うしろ影を 涙を
~~~~
小鳥のさえずり 太鼓 鉦 の音
” ホーホーホータルコイ~ ”
砂をにぎれば さらさらと
こぼれて落ちる はかなさよ
女ごころも さらさらと
こぼれて落ちて夏は行く
~~~~
(舟木さん センターの階段を上り、
赤いライトの中でシルエットとなる)
木枯らし窓うつ秋の夜更け
皆 寝ちゃったサロンの椅子に
僕はひとりで何か思う
秋の夜更け
~~~~
蒸気を上げて走り去るSL列車
ヒューヒューという風の音
吹きまくる山風よ 舞い狂う吹雪よ
大きな山 底しれぬ谷
僕は登る ひとりで登る
帽子は風にとび
髪の毛は雪にまみれ
凍る手足に頂きはまだ遠い
日は暮れかかる オーイ!
~~~~
息たえだえの僕の耳に
甘い声がささやく
~~~~
大きなもの凄い山の雪崩
暗い山々谷々にこだまし
岩を飛ばし森をつぶし
走る うなる 続く 押し流す
それでもそれでも僕は登る
登る 登る
あっ・・・・見えた 峠の頂きが
~~~~
あゝ あらゆるものを乗りこえ
進む 日本の若人の歌を
これが一番短い組曲ですが、でも、17~18分あり
ます。 ラブストーリー風に進んでいくのはどれくらい
かなとか、あとは朗読風に進めていけますが、これ
は夏の浅草で43年ぶりに歌ったものです。 43年
というと、生れた子供が43になる。
レコーディングしたっきり、、ステージで初めて歌い
ました。
組曲と言うのは、こういう形のものもあると感じて貰
えればいいかと思います。時代を感じる歌詞ですが、
~ あゝ あらゆるものを乗りこえ
進む 日本の若人よ~
今どきそんなこと言えば張り倒されそうです。 比較
的聴いて頂きやすいもの、春、夏、秋、冬 の季節が
あって、それによって歌詞やメロディがはっきり分か
れてくる、、、。 お聴かせし易い曲といえるかも知れ
ません。
コンサートでは、お客様の耳にすっと流れていく歌が70%、お聴かせしたい歌が20%、
後の10%は、~ ♪ しあわせなら手をたたこう ~ ご一緒に楽しんで頂ける歌にな
っていけばいいかと。 二つ繋げていきます。 最近ちょっとお尻が重いでしょうから、歌
い手と一緒に手を叩きながら大あばれして頂ければと。
去年もやったんです。 はい、全員で片付け! と舟木さん
の号令でバンドの皆さんがステージに落ちたハート型のお
掃除。
ちょっと一休みします。
悔しいのはね、このサンプラザで今まで何年も頑張ったけど、2階へ届いたためしがない。
悔しい。 来年は、硬球でやってみようか。
何だかんだと言っても、11月が明けて8日から12月公演の準備で通し狂言「忠臣蔵」の
稽古に入ります。 僕なんかは正直に言ってがらじゃないし、やらして頂けるジャンルでは
ありません。 もっと言えば、大石内蔵助は自分でやっちゃいけないと思っていました。 3
年前からお話はあったのですが、、 2年前から僕の方でもちょっと気持ちが変わってきて。
前進のための縮小、、、72というこの年となると3年で終わるよりは、あと2年伸ばしてちゃ
んと5年、皆さんの前で歌いたい。 考えてみると、新作という意味では、あと何本できるか
というのがある。 5年で5本、それだけしかできない。 ならば、一つの区切りとしてやらせて
頂いてもいいのかな、ということで決心しました。
「忠臣蔵」は通し狂言しかできないだろうし、どうしたって「松の廊下」は入れなければなら
ないだろう。 浅野内匠頭の切腹まで、、、皆さんよくご存知のエピソードを連ねていけば
ゆうに二日から3日ぐらいかかるものです。
お昼の部の最後は「祇園一力」の場、夜の部の頭は「東下り」で立花左近と垣見五郎兵衛
が、、、どうかお気が向きましたら、お運びを頂きたく思います。
こっから、一口に言うと日本のふるさとといったような歌だと思うんですね。♪ 初 恋 から。
(ブルーグレイのジャケットにお着替え)
♪ 初 恋
♪ あゝりんどうの花咲けど
♪ 夕笛
♪ 絶 唱
こういう曲を今改めて作れといっても、書き手がもういま
せんし、ま、僕らの世代が伝えていくしかないのかなと
思いますね。
組曲から入って ♪ 絶 唱 まで、バイオリンを演奏して
下さった向島ゆり子さんでした。
それから歌い手ですね。 流行歌というのはお風呂に入って鼻歌が出て、歌い手ですから
歌いますよ。 出し惜しみして歌い手は歌わないということはありません。
♪ 旅行けば~~~ 駿河の国に~~~
いっとき、わたしは ♪ わたしバカよね ~ おバカさんよね~ 半年ぐらい、これ
ばっかり歌っていました。
幼児体験と青春時代がその人の人格をつくる、と言われていますね。
まだ年寄りらしくなるのは早いですからね。あたしも、ここまで来ると60周年(拍手)、、、、
お大事に、どちらが欠けても成立しませんから。
青春のなかでスタートするもの、男の子は仕事でしょう。 女性は花嫁修行~ お茶、お花、
お琴 ~ 女になったことがないので判りませんが、、、そんな中で忘れられないのが初め
ての恋。 どうも良く判らないから壊れやすいですよ。 ちょっと味わい深く、ツーンと鼻にく
るような、温もりというか、そんなところを思い出しながら聴いて頂ければ、、。
♪ 花咲く乙女たち
♪ 東京は恋する
♪ 北国の街
♪ 哀愁の夜
♪ 高原のお嬢さん
(曲の途中でジャケットお着替え、黒タキシード
にされる)
粒揃いの作品が並んでいると思います。
作品との出会いのツキがあるかどうか、、、ある
と思いますね。 作品との出会い、イコール書き
手との出会いということですから、多少、つく、つ
かない、があります。 すれ違うことも。 あと一日
遅ければ出会えたのに、と言うことが出てきます。
僕みたいに出会い頭にコツンということも。 出会
い頭に鼻っぱしら強くやっていた時期もあります。
長く歌っていますと、30代なら30代の、50代な
ら50代の年齢に相応しい歌が欲しいと思うんで
すよね。 流行歌は、基本、ラブソング。 僕のデ
ビューはアレでしたから、欲しかったんです。
みんなそうだと思います。 30代に入ったとき、も
うちょっと男っぽい歌が欲しかった。 「君こそわが
命」、 「夜霧よ今夜もありがとう」 のような。 客席
の皆さんと触れて、包まれるような曲が欲しいと。
65を過ぎた辺りからポツリポツリと出てきた。 こ
れもツキの一つでしょう。 今の僕らの歌は、 この
辺の歌ではないかと思ってます。
最初の曲は、自分の思いをストレートに書いたもの。 2曲目は、松井五郎作詞、南こうせつ
作曲、二つ繋げていきます。 (蝶ネクタイ、シャツのボタンを外して)
♪ みんな旅人
♪ 春はまた君を彩る
いろいろな歌を歌ってお聴かせしてきましたが、本日はこれで失礼させて頂きます。
ちょうど季節の変わり目、 朝晩冷え込んできました。 体調にはどうぞお気をつけて。
本日のお越しに、改めてお礼申し上げます。 どうもありがとうございました。
アンコール
♪ 高校三年生
♪ 学園広場
舟木さんが客席にマイクを向けられて、2曲とも一番が大合唱になっていくのは、通常コン
サートと同じ。 虹色に煌くホールを見上げて、あの頃、舟木さんの歌にいっぱい夢を貰って
過ごしたんだな~と、改めて感謝の気持ちが湧いてくる。 55年経っても色褪せない ” 書き
手 ” と ” 歌い手 ” 、そして私たち世代が” 出会い頭 ” の 正面衝突をした歌たち。 その出
会いも歌も、限りなく純粋で健やかだった。
ホールの天井に、 舟木さんの大きな影が映り、頭上からの薄いヴェールが幾重にも重なり
交差して、 凛として佇む舟木さんに白いいくつもの帳(とばり) がかかる。 アバウトナインの
演奏はもとより、 ヴァイオリンの音色が舟木さん