新橋演舞場 「花の生涯」
シアターコンサート・千秋楽
昼の部より ~ 2 ~
♪ 風信子(ひやしんす)だより
作詞: 吉岡 治
作曲: 服部 きよし
♪ 風信子の花がかおるむこうで
とりとめもない雨のおしゃべり
僕は僕でそんな窓辺の景色
あかず眺める此頃です
君と逢った夏から冬
ひとりすごす冬から春
そして明日は誰のために
季節は移ろい逝くのですか
♪ 君のことを想うばかりで
やりばのない日々のいらだち
なにをしても生きる意味さえなくて
そんな自分にあきれています
~ ~ ~ ~
~ ~ ~ ~
~ ~ ~ ~
~ ~ ~ ~
1976年1月発売のLP「花もよう」では、オリジナル曲もカバー曲も
含め、12種類の花に寄せて舟木さんの若い声が聴ける。(CD発売あり)
「風信子だより」は、若者の素直すぎるほどの歌詞に、少しはにかんだ、
31歳のどこまでも甘い舟木さんの声が乗っている。
最初は、私たちの若い頃によく歌っていた世界に、舟木さんが乗せている
その甘さが少々苦手で、何回もは聴けなかった。
今、不思議なことに、 ” 君のことを想うばかりの日々のいらだち ” を、
すっかり大人の声と色香を身につけた舟木さんが歌ってくれると、すん
なりと何のわだかまりもなく胸に入っていくのだった。
” そうそう、みんなそうだったよね~ ” と。
こんな選曲のコンサートを聴けるなんて、と、又しても次の曲への期待が
高まっていく。
♪ 風の香り
作詞: 喜多条 忠
作曲: 浜 圭介
♪ 君が出て行った部屋には
からっぽの心が残った
冷たい言葉を言ったのは
僕のほうだったけれど
今日も郵便ポストに
君からの手紙を探しに行く
窓辺に届く秋風は
君のとかした髪の香りさ
♪ ~ ~ ~
~ ~ トーストの香り
~ ~ 冷たいコーヒー
~ ~ 君のカップ
~ ~ うっすら赤い口紅
コスモス揺らす秋風は
君の残した紅の香りさ ♪
窓辺に届く秋風
コスモス揺らす秋風
君のとかした髪の香り
君の残した紅の香り
1977年、15周年記念盤LP 「 愛はまぼろし 」 収録のこの曲は、昨年
のNO.24ラブリーコンサート(2012.5.6 東京メルパルクホール)
でお聴きして以来だった。フォークっぽい曲を、、という紹介で歌われた
が、まさに ” ぼくらの季節 ” の世界である。
昭和50年代の初め、出会った頃の舟木さんとは遠く隔たった季節をい
くつも過ごし、舟木さんの世界はもう卒業したもの、と思っていた。
だから、LP「レマンのほとり」、「一葉舟」、「愛はまぼろし」、「限りない
青春の季節」など、再会して以来やっと集めたLPも、当時は何も知らな
かった。
知っていれば心ときめかせていたか、いや、今の舟木さんが歌って下さ
るからこそ、深く心に届き、胸に収まっていくのか、、、。
その辺は確信はないが、” 今だからこそ ” のような気がしている。
♪ 忘れものの街
♪ あなたが見たのは 虹の朝でしょうか
それとも小雨の白い街でしょうか
恋の終わりをブランコに乗り
枝をわたる風に あの人のゆくえ
そっと私が聞いてみました
ひとはこうして忘れた過去の
途切れた夢を探すのでしょうか
♪ 私が見たのは 愛の影でしょうか
それとも孤独な光る闇でしょうか
~ ~ ~ ~ ~
あの日に帰る雲の歌など
歌ってみました
ひとはどうして ~ ~ ~
大事な恋をなくすのでしょうか
『 忘れものの街 』 (昭和51年/アルバム収録)
について
「音源になってたかなぁ・・・・・俺の記憶では、
なんかのアルバムに入ってるはずなんだけど。
作詞・作曲は俺じゃないよ。忘れちゃった。
コンサートでたまに唄ってる『悲しみ何さ』とか
『白い部屋』も音源にはなってないんだよ(笑)
~密着写真集「瞬」P31~32より~
「忘れものの街」は、
2009コンサートの7曲
メドレーのうちの一つ
だった。
眠らない青春~忘れものの街~
遙かなる草原~明日に向かって
走れ~赤とんぼの歌は聞こえない
~麦笛~少年いろの空
中野サンプラザで行われた”2009コンサートファイナル” (2009.12.13)
で、オープニングの ” よみがえる夜明け ”とともに、この7曲メドレー
は大変に印象に残った。
舟木さんに引き込まれていく契機ともなった7曲メドレーであり、その後
これらの歌たちの音源を捜して、LPも集めていった。
しかし、舟木さんの歌声にうっとりしながら、メモもとらないでひたすら
舟木ワールドを気分良くたゆたっているいるだけなので、歌詞が再現
できない。歌の情景を私の中で勝手に想像しながら聴いている、という
とても贅沢な聴き方をしているから。
今回は、詳しい舟友さんの助力を得て歌詞を探すことができた。
朧に想像していた私だけの情景も、少しだけはっきりと探り当てることが
できた。
それぞれに、若い日々の忘れられない情景があって、そしてそれは明確
に説明もできず、そっと自分だけのものとして大切に心の奥底にしまって
いる、あるいは閉じ込めているものだが、、、。
♪ 風信子だより ♪ 風の香り ♪ 忘れものの街
は、閉じ込めていた思いを、なんだかそっと取り出して、ひとしきり
愛でてみたいような、そんな気にさせられる歌たちである。
かぐわしいコーヒーの香りとともに、次の曲「白い部屋」を思い出すに
いたっては、なおのことである。
~3~へ続く