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マンションのリノベーション・リフォーム

マンションのリノベーション・リフォームの見積りほか

マンションのリフォームやマンションのリノベーションに触れられている裁判例を紹介します。
(5)控訴人は,本件の具体的な原状回復費用が定額補修分担金の額を上回るから,被控訴人は不利益を被っていない旨主張している。
 しかしながら,上記のとおり,消費者契約法10条前段該当性の判断の基準時は,本件賃貸借契約締結時であるから,具体的な原状回復費用が定額補修分担金の額を上回るか否かにより,同法10条前段の要件に該当するか否かが決せられるものではない。
 しかも,〔1〕証拠(甲1,乙10)及び弁論の全趣旨によれば,本件賃貸借契約書(甲1)5条1項が,「新装状態への回復費用の一部負担金として」定額補修分担金の支払を定めていることからすると,控訴人が主張している原状回復費用28万9381円中には,本来,被控訴人が負担すべき故意又は過失によって生じた賃借物件の汚損ないし損耗部分についての補修費用のみならず,通常損耗部分の原状回復費用も相当含むものと認められることや,〔2〕本件建物の原状回復費として28万9381円を要した旨の控訴人社員の陳述書(乙11,その多くが被控訴人の故意又は過失による損耗部分の原状回復費であるという。)に対しては,被控訴人が,その多数の項目について,被控訴人の息子の陳述書(甲8)を提出し,その中で具体的な根拠を述べて,被控訴人の故意又は過失により生じた損耗ではないとして否定していることに照らして,被控訴人の故意又は過失による本件建物の損耗部分の原状回復費用が,本件分担金の額(25万円)を上回るものとは到底認められない。
 したがって,控訴人の上記主張も採用できない。
3 消費者契約法10条後段該当性について
(1)本件定額補修分担金条項が消費者の利益を一方的に害して信義則違反と評価されるか否かを決するに当たっては,当該契約条項締結時を判断の基準時として,消費者契約法1条の趣旨に照らし,当該契約条項の内容のみならず,契約当事者の有する情報の質や量,交渉力の格差の程度等諸般の事情を総合的に考慮して,当該契約条項を有効とすることにより消費者が受ける不利益と当該契約条項を無効とすることにより事業者が受ける不利益との衡量によって判断すべきである。
(2)そこでまず,本件定額補修分担金条項を有効とすることにより消費者(すなわち被控訴人)が受ける不利益について検討する。
 上記条項の内容をみると,前記のとおり,被控訴人の軽過失による損耗の原状回復費用が本件分担金の額を超える場合には,被控訴人はその差額の支払を免除されるから,その額によっては被控訴人の利益になることもあり得るが,賃借人の軽過失による損耗の原状回復費用が,本件分担金の額に満たない場合には,被控訴人は本来負担しなくてもよい通常損耗の原状回復費用を負担することになる。
 証拠(甲10)及び弁論の全趣旨によれば,賃借人の負担すべき原状回復費用が月額賃料の2倍以上とされること自体稀であることが認められるから,これに照らすと,月額賃料の4倍を超える25万円という本件分担金の額は,一般的には,軽過失により生じる損耗の原状回復費用を超えたものであって,本来負担する義務のない通常損耗の原状回復費用を被控訴人の負担とする蓋然性がきわめて高いものであるということができる。 
 しかも,本件定額補修分担金条項は,入居期間の長短にかかわらず返還を求めることができないこととされているから,賃借人の入居期間がどんなに短期間であっても,一度支払った分担金は,一切返還されないことになり,入居期間が短期間であればあるほど,賃借人の被る不利益は大きいといえる。
 なお,控訴人は,本件の原状回復費用が本件分担金の額を上回るとも主張しているが,判断の基準時は,本件賃貸借締結時であって,具体的な原状回復費用の額いかんによって,消費者契約法10条後段要件に該当するか否かが異なってくるものではないし,前記2(5)で説示したとおり,控訴人が主張する原状回復費用のうち,被控訴人の過失による損耗の原状回復費用が25万円を超えるとは到底認められないのであるから,本件定額補修分担金条項が結果的に被控訴人の利益となったともいえない。マンションのリフォーム工事の見積り比較 のサイトも紹介します。