<<<記事要約>>>
・首都圏マンションの工期は延びている
・主な要因は人手不足
・東京地区の建築費指数も過去最高を更新
・人手不足→工期が延びる→総人件費&建築費が上昇→販売価格に反映、という循環
・今後2〜3年以内に販売される都心新築マンションは、ほぼ確実に値上がる
※天災や有事、大きな政策変更がない限り
<<<長期化と要因>>>
【長期化】
首都圏新築マンションの完成までの期間が長期化しております。その工期期間は平均約2年半で、ここ10年で3割ほど延びています。下記グラフをみると、工期期間が延びるほど、マンションの平均販売価格が上昇していることが分かります。
【要因】
主な要因は人手不足です。建設業の就業者数は2023年時点で483万人と20年間で約2割減っております。加えて、建設業界は2024年4月から時間外労働規制に対応するために、働き方改革を実施しており、その成果として総労働時間は1ヶ月あたり4%短くなっております。
加えて、エレベーターなどの設置に必要な電気設備の作業員も不足していることも判明しています。
<<<建築費指数>>>
建設物価調査会が毎月、発表している東京地区の建築費指数について共有します。
マンション分野は前月比で0.5%上昇しており、過去最高を更新しております。(2015年=100とした場合)
オフィスビルも前月比で0.5%上昇、工場は0.6%上昇、住宅(木造)は0.2%上昇している状態です。
(建物物価調査会HPより引用)
特にマンション建設時に使用される生コンクリート価格が上昇しており、足元で約5%高くなっています。その背景としては生コンクリートメーカー側が原材料価格や運搬費、人件費の上昇を理由に値上げを要請しており、それをゼネコン側が受け入れた形です。
また、セメント大手は2025年4月からのセメント販売価格について、値上げを表明しており、今後も上昇していくことが予想されます。
(日本経済新聞より引用)
<<<今後>>>
結論=今後2〜3年、都心をはじめとする新築マンション価格は、ほぼ間違いなく値上がりします。
人手不足による値上がりは、是非とも解消して欲しいところですが、インフレによる値上がりは「問題」とは捉えておりません。ゼネコンの方やデベロッパーの方にも生活があるわけですし、自社製品がインフレに負けないように値上がりするのは妥当な流れです。
ネット上で不動産バブルは崩壊する、などの文言をよく目にしますが意見として実態が伴っていないように感じます。ここまで人件費や建設費などが数字として上昇しているわけですから、今後の不動産価格を予想するなら、そこを無視してはいけません。
一方で、値下がりする要因もきちんと把握しておくべきだと思います。それは、天災や有事、大幅な金利上昇があげられます。これらのリスクについて考え方は人それぞれだと思いますが、両者を天秤にかけた上で不動産を購入するのか、しないのか、判断していただけると幸いです。