やっとの思いで、イスは完成しました。
しょうじ機は、一心不乱で製作に力を注ぎ、最高の作品が出来たと自負していました。三人の弟子たちは、その作品を観て気づきました。今までの作品と違うことを。しかし、今のしょうじ機に対して、その違いを伝えることは、誰一人いませんでした。
作品のお披露目会の前日、なの知れた方の豪邸での前夜祭に招かれました。なの知れた方の友人、知人、それなりの人達が招かれ、明日のお披露目会を楽しみに会食を楽しんでいました。しょうじ機は、既になの知れた方の仲間入りと、勘違いしている様子だったのでした。こんな前夜祭を催すことが、勘違いに輪をかけさせたのかもしれません。
とあるお嬢様らしき方が、しょうじ機に話しかけてきました。そのお嬢様は、今迄香ったことのない、いい香り。気品や妖艶さを兼ね備えた身なり。吸い込まれそうな瞳。頭の先から、足先まで身に付けている全てのモノがその人に吸い寄せられる様にまとっていたヒトでした。
「しょうじ機様の作品は、随分前から拝見させていただいておりました。今回お招きいただき、たいへん光栄に思っております。今回どの様な想いで作品に打ち込まれたのかテーマをお聞かせください。」と。
しょうじ機は、お嬢様に見惚れるあまり。…ふと我に返り答えました。
「この作品のテーマは、『ウジェニーの品格』です。バロックを重きを置き、豪壮・華麗さを際出させた作品となっております。正しく、あのお方の作品といっても過言でないでしょう。持つべき方のみに与えられたモノです。」少し、鼻を荒げながら言った。
お嬢様は、難しいそうな表情をし、顔を曇らせた。
「そうですか。…そうだったんですね。」それ以上、言葉を発しなかった。
お嬢様の言葉の裏には、なにがあったのでしょうか?
その答えは、お披露目会にありました。