
前回ご紹介した、南アフリカから来たレイラの解説のもと、WomenWeaveでのカディ作りを、糸を紡ぐところから、織り、染色、仕上げまでの全工程を見学させてもらいました。
一つ一つの工程が、WomenWeaveで働く人たちの手により丁寧に、そして和やかな環境で進められていました。

マハトマ・ガンディーとカディのシンボルでもあるCharkhaと呼ばれる糸巻き機で糸を紡ぐところから、手織りの作業に入り、少しずつ織っては撚りを直す作業を繰り返し、一人が一日に織り上げる長さはおよそ30cmと言われています。


今では機械がなんでもあっという間に、同じ物を大量に作り上げてしまう世の中。大昔は日本でも、世界中の多くの国でも行われていた、すべてが人間の手によって行われる本当の“手仕事“、こんな世の中だからこそ、カディのような工芸品の価値は尊く、そして後世に受け継がれるべく“人間の技“だと思います。
WomenWeaveのカディがすべてオーガニックなわけではありませんが、オーガニックのもの意外に使用する染料は全てアゾ不使用の環境と人体に無害なもの。両方完成品を見させてもらいましたが、オーガニックではないカディのほうが、パターンや色が素敵だな、というのが実際の感想でした。

しかし、どれを手にしても個々に独自の風合いを持っていて、どれを購入するか選ぶのが一苦労でした。
散々迷って、絞り抜いて選んだのが、8枚。
もっと欲しかったけれど、とりあえず今回は控えめに。
午前中に見学を終えて、レイラと彼女のおすすめの街の菜食ターリー食堂でお昼を食べ、カディを選び終わった頃にはすっかり夕方。
せっかくここまできたのだから少しは観光も、と思い立ち、インド映画のロケ地として使われ有名になった、川沿いにあるお城と、その敷地内にある手織り製布所を駆け足で訪れました。


賞味1時間足らずの観光の後は、またバスで宿に戻り、行水の後宿の下にあるローカル食堂で簡単に夕食を済ませ、出発の用意。
朝に降り立った長距離バスの停車場まで、道端でオートを捕まえて行こうと思っていたのに、全く見つからず。「まあ、歩くか」と諦めて歩き出し、途中で確認のため通りすがりの家具屋さんで道のりを確認すると、「歩いていくのか??」と聞かれ、「そのつもりです。」と答え、その場をあとにしようとしたら、「ちょっと待て。歩くには遠すぎる。」と呼び止められました。「でも、オートも見つからないし、歩けるから大丈夫。」と答えると、そこにいた1人のインド人のおじさんから「バイクで送っておくってあげるから。」との申し出。
毎回怪しむということを知らない、(というか直感でわかる)運の良い私。お言葉に甘えてバイクで送ってもらいました。確かに思ったよりも長く、しかも道中歩くには暗過ぎて物騒なところもあり、「だから言ったでしょ、歩くのは無理だって。」と、送ってくれたおじさんに言われました。
はい、仰るとおり。
そんな優しいおじさんを見送ったあと、バスまで時間がまだあったので、ちょっとしたパーキングエリア(レストラン一件だけ)を彷徨いて、ベンチがあって人がいるバス停らしきところでバスを待っていましたが、時間になってもバスが現れる気配無し。定刻にバスや電車が来るなんてことはほとんど皆無なインド。まあ、そのうち来るだろう、と思って構えていましたが、自分が待っている場所がプネから来た方向の道路沿いにあることに気が付き、急に不安に襲われました。長距離バスの停車場がはっきりと示されることがない、インドのバス旅行事情。初めての土地で、暗がりの中、予定時刻になってもバスが来ない事態に軽くパニックになり、近くにいたインド人に、「プネ行のバスは何処に停まるの??」と聞くと、「あそこにいたら来るよ。」と、待っていた場所の反対側を指さされました。
「危なかったなー」と思いながら、道を渡り、人が何人か待っている場所でバスを待ちました。(なんの目印もない、真っ暗な道端)
予定時刻30分を過ぎ、なんのお知らせメール(旅行会社を通して長距離バスを予約すると、予約したバスの運行、遅延情報を送ってくれます。)もないことにさらに不安はつのり、旅行会社に電話をかけました。電話がつながったものの、相手は英語が通じず、またコネクションも悪く、なんども中断され、イライラと不安は募る一方。やっと英語が通じる相手と繋がると、「バスは30分出発が遅れた。もうすぐそこにつくから待っていろ。」といわれ、なんとか安堵感を取り戻しました。
それから15分後くらいにやっとバスが来ました。
最後まで身体も心も休まることのない日帰り旅行でしたが、収穫したものはそれ以上で、疲労と努力の甲斐がある、第1回目のカディを巡る旅でした。
