「天然コケッコー」   くらもちふさこ | MARIA MANIATICA

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ASI ES LA VIDA.

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やはり漫画ですかね~。
昔みたいに月刊誌買っていないので、雑誌で読んでから
単行本になったものをまた買うという形ではなく、
店頭で見かけたときにはすでに完結していた・・・
なんてことが多いので。

「ガラスの仮面」のように、実に30年以上にわたり、
まだかまだかと次の単行本の発売を待つのも楽しみ。
だけどせっかちな私は大人買いをした作品を
夜中までかかって一気に読むのがとても好きです。
ワタクシの至福の時だね。

くらもちセンセーのこの作品は、久しぶりに全巻を
一気に揃えた作品となりました。

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初めて病院の待合室にあった週刊誌で見たときは、
久々のくらもち作品の絵の変化に改めてびっくり。
何度も書いてきましたが、ざくっとした強い線に
かなり違和感覚えました。
たまたま読んだ一話では前後関係も把握できず
小中学生が方言で戯れている様子に(一体何を
始めるつもりなのだろう)と思ったものでした。

でも、あのくらもち様の作品なら・・・と
全巻セットがたまたまお手頃価格で販売されて
いたので買ってみたのでした。
もう買ってから何年にもなりますが、
読めば読むほどいい作品だな~と思います。

くらもちセンセーがよく描いていた芸能界とか
美大とか、そういう華やかさは一切なく、
東京からの転校生の大沢君が唯一の派手なもの
・・・という感じ。
くらもち作品の男の子は、いつもかっこいいけど
どこか一癖あって何を考えているのか、そして
いい人なのか悪い人なのかも最初はよくわからない。
大沢君もご多分に漏れず、そんな感じ。

いつもの作品と違うのは、舞台が過疎の村であることや
登場するのが、方言バリバリに話す素朴な人たちであること
それからこの感覚はなんとなく知っているぞ感・・・
みたいなところかなと思います。

たまたま昨日「一乗谷(ソフトバンクのCMの舞台)」を
知らしめるプロジェクトのドキュメンタリーを見る機会が
あったのですが、あの映像のような感じで、
そこに行ったことも体験したこともあるわけじゃないのに
なぜか感じてしまう、懐かしさとかデ・ジャブー感・・・
みたいなものといえばよいでしょうか。

舞台となった木村の情景もそうだし、登場する村人たち、
子供たち、のちに通う高校のちょっとだけ都会(?)の
同級生たちの言動など、多くの方が「あ~、わかるこれ!」
と共感できるものだと思います。

大沢君とそよちゃんの、かわいい・・・けどやっぱり
イマドキが入った初恋もそうですが、漫画家志す
あっちゃんなんて大変なリアリティで、彼女に感情移入
してしまう人はたくさんいるんじゃないかなあ。

最終の14巻、そよちゃんの涙、図太そうな猫の一日に
突然入り込んできた人、大沢君の都会の虫の声の話と
庭を見る後ろ姿、あっさりしていてドラマチックではないのに
描かれなかった部分が容易に目に浮かぶラストにじ~ん。
もう見事としか言いようがありません。
過剰に言葉で説明することなく、感情を表現する方
なのですよね・・・しみじみいいなあ・・・。
夏の終わりに読んだら感激もひとしおだったかも
しれないな・・・来年の夏、もう一度読もう。

そういえば私の最近のお気に入り、吉田秋生の
「海街 DIARY」シリーズもこんな印象でした。
どちらも淡々と描いているからこそ際立つうまさ、
という気がします。
結局のところ、人の本質をいかに描けるか
ということなのでしょうね。

映画化もされていて、そちらもかなり評判いいんですよね。
見てみたいな~。
俳優陣の原作そっくりな役作りぶりにも感激。
原作を承知の上で、この動画見るとウルッとくる。





私が読んだのはこちらですが、文庫版9巻には
書き下ろしの番外編が収録されているそう。
読まねば・・・。

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