私がまだ幼いころ、街には野良犬が普通に歩き回っていました。

ある日、幼馴染と一緒に公園のベンチでおやつを食べていたときのこと。

ふいに、お腹を空かせた野良犬が、おやつを目がけて飛びかかってきたのです。

それ以来、私は「犬」、とくに野良犬に対して恐怖心のようなものを抱くようになってしまいました。

そんな私が、大人になってから犬と暮らす日が来るなんて――あの頃の私はきっと、想像すらしていなかったでしょう。

きっかけは、娘でした。

小さなころから動物が大好きで、もちろん人間のお友達もいますが、犬、猫、小鳥、虫にいたるまで、すべての生きものが彼女にとっての「友達」でした。

「わんちゃんを家族に迎えたい」と、ある日娘が真っ直ぐな目で伝えてきました。

その気持ちの深さに心を動かされ、ついに我が家にも犬を迎えることになったのです。

とはいえ、私にはまだ苦手意識があり、最初はおっかなびっくり。

正直、戸惑いや面倒だなと思う気持ちもありました。

でも、不思議ですね。

家族として共に暮らし、日々少しずつ関わっていくうちに、その存在がどんどん愛おしく感じられるようになっていきました。

目が合い、しっぽを振って駆け寄ってくるその姿に、思わず笑みがこぼれるようになっていたのです。

ふと立ち止まって振り返ると、私はこれまで「苦手だから」と避けてきたことが、意外と多かったような気がします。

でも、少しだけ関心を持ち、向き合ってみると、その先に思いがけない優しさや温かさが待っているのかもしれません。

ちょうどそんなことを考えていたとき、ふとマヤ暦の「白い犬」の紋章のことを思い出しました。

白い犬のキーワードは、「家族」。

どんなことも、家族を思うように大切に接してみると、不思議と愛情があふれてくる――そんなメッセージを感じさせてくれる紋章です。

そう考えると、私と犬との暮らしも、まさにその通りだったのかもしれませんね。

昨日、ふと思ったことを、こうして少しだけ綴ってみました。