風景の音楽

風景の音楽

“のすたるジジイ”が30~50年代を中心にいいかげんなタワゴトを書いております。ノスタルジ万歳、好き勝手道を邁進します。


令和6年10月2日(水)
Mam'selle Gisele / Gisele MaCkenzie(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャケット(★★★☆☆)
ジャンル:Pop Vocal

Side 1
1.C'est Si Bon    2:49
2.Autumn Leaves    3:30
3.La Vie En Rose    2:30
4.September In The Rain    3:48
5.The River Seine    2:31
6.Under Paris Skies    3:00

Side 2
1.Passing By    3:21
2.Tell Me That You Love Me    2:58
3.Dinner For One Please, James    2:23
4.Comme Ci, Comme Ca    2:30
5.Hands Across The Table    3:04
6.Cherry Pink And Apple Blossom White    2:35

Gisele MaCkenzie(vo), George Siravo, Neal Hefti, Sid Bass(cond)

Recorded Dec. 10, 11, 13, 1956 at Webster Hall
Released by Vik – LX 1075(mono) / BMGファンハウス – BVJJ-34009(mono) 

昨日の日の入りは17時41分だった。
今朝の日の出は5時52分だ。
朝夕がずいぶん涼しくなってきたので朝の散歩を再開した。
陸橋の上から日の出の陽刻がまぶしく射していた。

ジゼル・マッケンジイの56年ライブ録音。
オリジナルはVik、これはファンハウス2000年の復刻盤。
RCAのヴォーカル・コレクション・シリーズの一枚である。
モノーラルで充実したカッティングである。

“C'est Si Bon”から始まる。
透明感のある素晴らしい歌唱だ。
アタシゃ仏語はさっぱり判らんが、シャンソンを聴くのは大好きだ。
“Autumn Leaves”のしっとりした歌唱はシャンソンらしくなくて新鮮に聞こえる。

シャンソン歌手には個性的な人が多く、
中にはおもいきりぶっ飛んだ勝手無法な歌唱もある。
そういうのは苦手だ。
話すように歌われるのも苦手だ。

ジゼルのシャンソンは素直で朗らかで滑らかでまことに心地よい。
十月に聴くシャンソンにはぴったりだね。
まだ枯葉の季節ではないが、パリの街は秋の訪れが早いから
十月に聴いてもいいのだ。

昔、アタシがパリを訪れたのは
十一月の半ばごろだった。
澄み渡る青空の下、モンマルトルで買った焼き栗は
ずいぶん小さくて、丹波栗を見せてやりたくなったものだ。
天津甘栗とは違う素朴な風味がした。

“The River Seine”は“La Seine”が原題である。
ジゼルのシャンソンを聴いていると
かつてのパリの思い出が走馬燈のように蘇る。
もう一度、秋のパリを訪れたいものだ。


 


令和6年10月1日(火)
十月はブラッドベリ

いよいよ十月がやってきた。
雲底の高い朝、大気が清涼に澄み渡っている。
夜には秋虫の集く声も聞こえるようになった。
一年の内でもっとも豊穣で特別な月がやってきたのだ。

十月になると毎年アタシが開くのはブラッドベリだ。
中学生になってSFに目覚めたアタシ。

中でも夢中になったのはブラッドベリの短編集だった。
創元推理文庫から“十月はたそがれの国”が発売されたのは中二の晩秋だった。

ジョー・ムニャイニの表紙画や挿絵に魅せられてアタシは夢見心地だった。
ハヤカワ・ポケット・シリーズからも多くの短編集が発売された。
ハヤカワの新書版のシリーズは創元文庫より百円以上高くて
中学生の小遣いではなかなか手を出せなかったものだ。

ブラッドベリがウィアード・テイルズ誌に発表した短編をまとめた
“Dark Carnival”を上梓したのは1947年のことだった。
このうち半数以上の短編が“The October Country(十月はたそがれの国)”に再掲されている。
ブラッドベリは矢継ぎ早に短編集を出した。

50年に“The Martian Chronicles(火星年代記)”が出された。
これは元々社から56年に齋藤静枝の翻訳で“火星人記録”という邦題で出版された。
県立図書館にこの元々社版があるのを同級生の春木が発見して
アタシ達は狂喜したものだ。

元々社の“最新科学小説全集”という12巻のシリーズは
アタシがまだ5歳の時分に発売されたものだ。

白木正一の挿画が50年代の雰囲気を出していて何とも言えぬ。
すばらしく状態の良いものをヤフオクで手に入れ、アタシの宝物にしている。

アタシが生まれた51年には“The Illustratedo Man(刺青の男)”が出版された。
この中に収められた“ロケットマン”はアタシが大好きな短編だ。
53年には“the Golde Apples Of The Sun(太陽の金の林檎)”と
“fahrenheit 451(華氏451度)”が出版された。

59年には“A Medicine For The Melancholy(メランコリイの妙薬)”が出た。
これは早川書房から異色作家短編集としてハードカバーで出されている。
62年には“Simething Wicked This Way Comes(何かが道をやってくる)”が出版された。
これは創元推理文庫から64年に大久保康雄の翻訳で出されている。

司修のリトグラフの表紙がとても印象的な長編である。
この作品のプロローグはこんな文章で始まる。
“それは、子供たちにとってとりわけたのしい月、十月のことであった。”
ブラッドベリには“十月”は特別な月であり、アタシにとってもそうなのだ。

ブラッドベリのたくさんの文庫本には買い洩らしているものも数冊ある。
目を悪くしてから、文庫本の小さい文字を追うのが苦痛になった。
白内障の手術をしているので小さい文字は拡大鏡がないとダメだ。
拡大眼鏡を掛けても高倍率ではないから疲れる。

さて、晶文社から“ブラッドベリ、自作を語る”という四六版の本が出ている。
2012年に発売されたものだが、長いこと読まぬまま放置していた。
さあ、十月に入ったことだし、
今日から少しずつ読み進めることとしよう。

 


令和6年10月1日(火)
The Second Of Maye / Marilyn Maye(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★☆)
ジャケット(★★★☆☆)
ジャンル:Pop Vocal

Side 1 
1.The Sweetest Sounds    2:23
2.It Never Entered My Mind    3:36
3.Mr. Lucky    2:38
4.I'll Know    2:58
5.When Sunny Gets Blue    3:53
6.On The Street Where You Live    2:58

Side 2
1.Bill Bailey    2:59
2.My Ship    2:41
3.When I'm In Love    2:22
4.You Will Be Loved    3:06
5.Won't Someone Please Belong To Me    3:33
6.Everything's Made For Love    3:08

Marilyn Maye(vo), Sammy Tucker Quintet

Recorded Oct. 15, 17, 1965
Released by RCA Victor – LSP-3546(stereo) / BMGファンハウス – BVJJ-30046(stereo)

昨日の日の入りは17時42分だった。
今朝の日の出は5時51分だ。
今日から十月、一年の内で一番心の躍る月だ。
世は神無月となり、神々は出雲に集まる。

マリリン・メイの65年録音。
オリジナルはRCA Victor、これはファンハウス2000年の復刻盤。
針を下ろすと、マリリンのストレートな声が流れ出す。
ニューヨークのクラブ“リビング・ルーム”でのライブ録音だ。

歌伴はサミー・タッカー・クインテット。
サミーはバンド・リーダでピアニストである。
落ち着いた素晴らしい歌伴だ。
他のメンバの名前は書かれていない。

マリリンの歌唱は明るく素直で朗らかである。
中域の発声に艶があってとても心地よい。
こういう発声はアタシの好みだ。
どんなに巧い歌唱でも好みの発声と違えば聴く気になれぬ。

マリリンはカンザスのウイチタで24年生まれである。
このアルバムは彼女の41歳の録音だ。
41歳にしてはMCが若い娘さんという感じがしてまことにヨロシイ。
中年を過ぎると女性歌手は低音にドスがきいてきたりするが、彼女の発声は素直だ。

久々に心地よいJazz Vocalを聴いた、さすが十月のVINYLは違うねえ。
VINYL捜しの旅は、昨日のように当て外れもあるが
こうしていいものに出逢うと胸が弾む。
VINYL捜しの日々はやめられぬ。


 


令和6年9月30日(月)
My Name Is Anita / Anita Bryant(★★★☆☆)
ノスタルジ度(★★★☆☆)
ジャケット(★★★☆☆)
ジャンル:Pop Vocal

Side 1 
1.Fly Me To The Moon (In Other Words)
2.All Alone Am I
3.Laughing On The Outside
4.I Remember You
5.This Is All I Ask
6.My Coloring Book

Side 2
1.The End Of The World
2.World Without Love
3.Our Day Will Come
4.As Long As He Needs Me
5.I Wanna Be Around
6.What Kind Of Fool Am I?

Anita Bryant(vo), Robert Mersey(arr, cond)

Recorded 1963 ~ 1964 
Released by 日本コロムビア株式会社 – YS-838^C(stereo)

昨日の日の入りは17時44分だった。
今朝の日の出は5時51分だ。
今日で九月も終わりだ。
長期予報でもまだ暑気は抜けないようだ、やれやれ。

アニタ・ブライアントの63年から64年にかけての録音。
オリジナルはコロムビア、これは2枚のアルバムから抽出した日本独自編集盤。
針を下ろすと“Fly Me To The Moon”から始まる。
べたっとした歌唱である。

続く“All Alone Am I”もアニタ姐さんは一生懸命歌っているんだが
その懸命さがちとハナにつく。
もう少しさらっと歌う方がいいとおもう。
オケ伴のアレンジは誰だか判らないがけっこういい味を出している。

アニタは8歳の頃からオクラホマのラジオ局で歌っていた。
それをスカウトされてあちこちのラジオやTV局に出るようになった。
決して下手ではないが、インパクトに欠ける歌唱だ。
アニタはミス・アメリカ三位に入賞し、人気が急上昇した。

美人は得だね。
だが、アタシの好みのお顔ではありません。
60年にはTV芸術アカデミーの最優秀賞を受賞している。
どうも米国人の好みとアタシの好むところはかなり違うようだ。

ポピュラー系の歌手は多すぎて知らない人ばかりなので
ま、こういうこともあります。
手にするまでは判らない。
これもVINYL捜しの楽しみとは言えるけどね。


 


令和6年9月29日(日)
Sinatra Sings...Of Love And Things / Frank Sinatra(★★★★★)
ノスタルジ度(★★★★★)
ジャケット(★★★★☆)
ジャンル:Swing, Jazz Vocal

Side 1 
1.The Nearness Of You 2:46
2.Hidden Persuasion 2:24
3.The Moon Was Yellow 2:58
4.I Love Paris 1:48
5.Monique - Song From "Kings Go Forth" 3:03
6.Chicago 2:10

Side 2
1.Love Looks So Well On You 2:37
2.Sentimental Baby 2:35
3.Mr. Success 2:31
4.They Came To Cordura 2:58
5.I Gotta Right To Sing The Blues 2:56
6.Something Wonderful Happens In Summer 3:12

Frank Sinatra(vo), Nelson Riddle, Skip Martin, Felix Slatkin(arr, cond)

Recorded 1962
Releasedby Capitol Records – W-1729(mono) / 東芝音楽工業株式会社 – CSP-1101(stereo)

昨日の日の入りは17時45分だった。
今朝の日の出は5時50分だ。
曇天で大気がしっとりしている。
広頃には少し雨が降るようだ。

フランク・シナトラの62年録音。
オリジナルはキャピトル、これは東芝の同時発売盤。
笑顔のジャケットはやや色褪せている。
東芝伝統の赤盤だ。

ステレオ録音なのが残念だが、ノイズレスで良い音だ。
シナトラがハリイ・ジェイムス楽団の専属歌手になったのは39年のことである。
ドーシー楽団を経て、42年に独立した。
50年代にはスランプで低迷したこともあったが見事に復活した。

キャピトルは凄腕のアレンジャと指揮者を抱えていたのが
他社と違うところだ。
このアルバムの指揮者はだれだか判らないが
ビリイ・メイのオケ伴によく似ている。

シナトラのアルバムはたいがい入手したけれど
ときどき買い洩らしていたアルバムがみつかる。
そのほとんどはUK盤やヨーロッパ盤で焼き直しものが多い。
このキャピトル/東芝盤はめったに出ない掘り出し物。やれ、嬉しや。