『アンナチュラル』、『99.9 -刑事専門弁護士-season2』のワンツー。
『もみ消して冬』『ホリデイラブ』も楽しめた。
坂元裕二『anone』とは相性悪し。
吉岡里帆『きみが心に棲みついた』も疑問作。
『アンナチュラル』はよくできている。
石原さとみ主演。
野木亜紀子のオリジナル脚本。
基本的に1話完結の“法医学ミステリー”
“不自然な死(アンナチュラル・デス)”を解明するプロフェッショナル集団
「不自然死究明研究所(UDIラボ)」が舞台。
石原さとみは、今や、新垣結衣とならんで、連ドラ主演で“失敗しない女優”。
『5→9?私に恋したお坊さん?』(2015:フジ月9)、
『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』(2016:日テレ)に続いての主演。
いまや最難関枠の月9の恋愛ドラマで視聴率二桁キープし、
“ザテレビジョン”や“日刊スポーツ”でドラマ主演女優賞を獲得しているわけで、
職業ドラマや事件物ドラマは楽勝?とはいえ。
そして脚本の野木亜紀子は
『空飛ぶ広報室』(2013:TBS・新垣結衣主演)
『掟上今日子の備忘録』(2015:日テレ・新垣結衣主演)
『重版出来!』(2016:TBS・黒木華主演)
『逃げるは恥だが役に立つ』(2016:TBS・新垣結衣主演)と
原作モノで実績を積んでのオリジナル作品。
予定調和を超えた展開。
たとえば、第5話では、依頼人が真犯人に復讐するラストは
『BORDER』で体に時限爆弾を仕掛けられた人の救出を諦めた時以来の
予定調和にならない衝撃的ラストだった。
レギュラーキャスト、井浦新、窪田正孝、市川実日子、松重豊、飯尾和樹の配置も抜群。
最終回のラストメッセージが
”Their journy will continue.”
となっていたことも物議を醸す。
“journy”は“journey”のミスなのか、アンナチュラルなのか。
続編があるというメッセージ説が有力だが。
7月11日にDVDリリースもあり、続報を待ちたい。
『99.9 -刑事専門弁護士-season2』
単純に見やすく面白い弁護士ドラマ。
2016年に前シリーズが放送され
season2ではヒロインが榮倉奈々から木村文乃に。
松本潤演じる主人公が優秀ながら飄々としていて
まわりとのやり取りが面白い。
一方、元裁判官で弟の事件で退官していた木村文乃演じるヒロインのまじめな性格が、最初はとまどりつつも…。
検察や裁判所の構造的問題点もうまく描かれ、
面白くてよくできたドラマとなっている。
単純に続編を期待したい。
『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
結構めちゃくちゃな設定。
私立中学校の学園長の父役に中村梅雀。
そして東大を卒業したエリート三兄弟。
兄の天才肌の心臓外科医に小澤征悦。
姉の敏腕弁護士に波瑠。
そして主人公の弟で警視庁刑事部刑事総務課キャリアに山田涼介。
家庭内に発生する問題を家族会議の末、
ほぼ、弟がもみ消しに奔走する話。
後半では、驚愕の事実が判明。
かなり馬鹿げた展開だが、だんだん癖になる面白さ。
S感のある波瑠は特に良し。
男優では特にお気に入りの千葉雄大も出てるし。
『anone』は疑問作。
私との相性の問題なのかもしれないが、
最近の坂元裕二脚本作品はダメである。
具体的には『それでも、生きてゆく』が一番ダメで
『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』や
『カルテット』も。
確かに内容は万人受けを狙わないレベルの高いものなのかもしれない。
確かに、映画やスペシャルドラマや、BSや深夜枠なら評価したいものもある。
ただ、地上波プライムタイムの作品としては私は疑問だ。
この時間帯の視聴者はだれもが積極的に集中してテレビを観ているわけではない。
『それでも、生きてゆく』は少年犯罪者は再犯するということだけが印象に残りかねない。
そのことに逆に開き直ったのが橋田壽賀子だと思う。
橋田壽賀子ドラマは心情までセリフでしゃべる。
そこにリアリティがないと言えばそこまでだが、
逆にテレビを観ていなくてもセリフを聴いているだけで話が理解できるわけだ。
途中、台所で洗い物をしても大丈夫。
とても話がわかりやすい。
で『anone』なのだが、
現代の日本で偽札を印刷する話がまず疑問。
いくら広瀬すずが主演でも。
この話でワンクールは私はついていけない。
第1話はそれでも見れた。
碓井玲菜と北村優衣も出てたし。
やはり、2時間くらいのスペシャルドラマにまとめてもらいたい内容。
『きみが心に棲みついた』も誰が得したのだろうかと思う作品。
最近、最もブレイクした若手女優の吉岡里帆連続ドラマ初主演作。
構図的にはわかりやすいのだが、
まず、向井理演じる星名がとんでもないヤツで。
そいつに学生時代に人前で裸になるように強制されるなどとんでもない目に遭わされているのに、
精神的に呪縛というか、支配されていて、
マフラーを不思議なネクタイのように巻いている主人公も理解できない。
つまり、吉岡里帆も向井理も、好きな役者なのに観ていられない、
拷問のようなドラマであった。
マンガでは面白くても実写ドラマのキャスティングは安易にしてはいけない。
吉岡里帆は勢いを感じるし、『ゆとりですがなにか』や『カルテット』は良かったが、
ヒロインだった『ごめん、愛してる』も疑問な役だったし。
出演作品は冷静に選んでもらいたい。
一方、とんでもない不倫ドラマであった『ホリデイラブ』は
とにかく松本まりかの悪魔的演技が素晴らしい。
その夫役の中村倫也も敵に回って欲しくない恐さだった。
こっちは苦悩する、仲里依紗と塚本高史の窮地が楽しみになるほど。
やはりキャスティングは大事である。
もう一つ、困った作品が『海月姫』。
主人公の芳根京子や女装の瀬戸康史はともかく
松井玲奈と内田理央が、どっちを演じているのかわからない自分が情けなくなる問題作。
松井玲奈はずっとファンなのに…
◯追記
『特命刑事 カクホの女』
名取裕子と麻生祐未による女性二人のバディもの刑事ドラマ。
一応、同枠で放送された『マルホの女~保険犯罪調査員~』の流れをくむ。
キャリアながら定年前になぜか現場にやってきた頭脳担当の警部の名取裕子。
現場叩き上げのアクション担当の麻生祐未。
なかなかメリハリの効いた設定で事件を解決していって楽しめた。
ただ、作品の肝となる名取裕子の婚約者が死んだ事件が、警察内部のみならず、
首相まで関係する壮大な話で、ちょっとついていけない印象なのが惜しい。
『BG~身辺警護人~』
木村拓哉の主演が悪いわけでもないし、
警察のSPとの関係の描き方も悪いわけでもない。
石田ゆり子が大臣なのもギリセーフ?
実際、もっととんでもな女性大臣もいたしW
菜々緒も斎藤工も江口洋介もよくキャスティングした印象。
上川隆也の唐突な死がちょっとひっかかったが。その後の展開の都合?
個人的な最大の不満は木村拓哉と山口智子の子供がなぜ女子じゃないのかです。
『隣の家族は青く見える』
深田恭子と松山ケンイチが夫婦設定で主演。
妊活夫婦、子供不要夫婦など、現代のホームドラマらしいというか、
ゲイカップルなど、いろいろ配慮された設定。
深田恭子の妹役で伊藤沙莉が頑張っていた。
眞島秀和とゲイカップル役の北村匠海が妙に好印象だった。
■2018年冬期
●作品賞
①『アンナチュラル』
②『99.9 -刑事専門弁護士-season2』
③『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
④『ホリデイラブ』
⑤『BG』
⑥『特命刑事~カクホの女~』
●主演女優賞
①石原さとみ『アンナチュラル』
②浜辺美波 『賭ケグルイ』
③葵わかな 『わろてんか』
④深田恭子 『隣の家族は青く見える』
⑤名取裕子 『特命刑事 カクホの女』
●主演男優賞
①松本潤 『99.9 -刑事専門弁護士-season2』
②山田涼介『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
③木村拓哉『BG』
④大杉漣 『バイプレイヤーズ』
⑤伊藤淳史『オー・マイ・ジャンプ』
●助演女優賞
①波瑠 『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』
②木村文乃 『99.9 -刑事専門弁護士-season2』
③松本まりか『ホリデイラブ』
④市川実日子『アンナチュラル』
⑤木南晴夏 『越路吹雪物語』
●助演男優賞
①井浦新 『アンナチュラル』
②高橋一生『わろてんか』
③中村倫也『ホリデイラブ』
④高杉真宙『賭ケグルイ』
⑤北村匠海『隣の家族は青く見える』