妻のがんがわかってから初めての家族旅行。
予約が遅かったので、宿探しに苦労したことは先日のブログに書いたが、僕を含め、みんなで楽しみにしてきた。
朝7時に車を出して伊丹空港へ向かう。
幸いほとんど渋滞もなく、8時すぎには出発ロビーに着く。乗るのは9時20分発の大分行きのJAL。障害者は先に搭乗させてくれるので、早めに機内へ入る。こういう仕組みはとてもありがたい。
久しぶりの飛行機で、ちょっと緊張したが、滑走路をポンと蹴るように離陸した。
大分までは1時間。あっという間に着陸した。
空港のレンタカー窓口で名乗ると、スタッフに案内され、レンタカーの営業所まで車に乗せてもらう。
借りた車は日産キューブ。3人と荷物だけなので十分なサイズだ。
大分空港から湯布院へドライブ。景色も良く、とても気持ちがいい。
まずは妻が行きたがっているピザの店、櫟の丘へ。
平日の昼時だが、駐車場はほぼ満車。店へ入ると「テラス席なら空いてますが」
少し肌寒いがテラス席へ。この店はちょっとした高台にある。湯布院の町並みを眼下にして、とても良い眺望だ。

ピザとパスタとサラダをオーダー。ペロリと平らげて景色を見ながら休憩。
食後は金鱗湖へ。湖を一周歩き、カフェ ラ・リューシュへ。イチゴの入ったおいしいロールケーキを食べる。

その後はステンドグラス美術館に寄って、早めにホテルにチェックイン。
部屋は2階だ。予約時から心配していた2階への階段は16段。妻はうまく昇れるだろうか。
左下から妻の腰を支え、ゆっくり一段ずつ、何とか2階まで昇れた。
妻に「頑張ったね」と娘。
「だから大丈夫って言ったでしょう」と妻。
部屋は4ベッドあり、ソファーセットも。それと大きめの浴室。なかなか快適そうな部屋だ。
少しくつろいでから夕食。食事は別棟のレストランで。そこまでうまくたどりつけるか?
まずは階段を1階まで下りる。階段は昇るより下る方が難しい。重心が前に傾くと転落する危険があるからだ。
妻を支えながら慎重に一段ずつ下りてゆく。何とか大丈夫だ。
別棟レストランまでは、少しの段差とスロープで難なく通過でき、これでレストランへの往復も心配ない。
このホテルでの食事は全てフレンチだ。
妻は左手が使えない。ナイフが持てないのだ。
だから洋食はあまり好まないのだか、食べやすいように僕が切ってあげるから、という条件でこのホテルにした。
でも実際に切ってあげたのはメインのステーキだけで、あとはフォークだけで食べれる懐石風フレンチだった。
料理は見た目も良く、味もとてもおいしい。また客は多いと言えないくらい空いているので、サービスも良く満足できた。
妻もほぼ完食し、デザートもおいしいと言いながら食べた。

舌もお腹も喜んでいる。本当においしかった。
部屋へ戻り、少ししてから別棟の貸切風呂へ行く。露天風呂で楽しみにしていたが、なんと、脱衣場も半露天でとても寒い。
妻は寒いと訴えたが、僕は服を脱がせ湯船へ入る。あらかじめ湯温を確かめておけば良かったのだが、お湯もぬるくて寒過ぎる。
妻はとても不機嫌になり、僕は怒られてしまった。急いで服を着せて部屋へ戻り、部屋のお風呂で暖まり、ようやく機嫌が直る。
風呂上がりはビールとお菓子でくつろぎ、一日の疲れが出てきた。
湯布院への家族旅行は二度目。
前回は、昨年8月に訪れた。
でもその時は、妻のがんが判明する前だった。
以前から左半身のマヒや中枢性疼痛で悩んでいた。QOLには影響していたが、命を左右するものではなかった。
それが今や、ステージ4のがん患者。
半年間で大きすぎる変化。
この旅行が最後の旅行になりませんように。
僕は妻の寝顔を見ながら、神様にお願いした。