浩二は自分が既婚者だと一瞬でも隠そうと自然した自分に気づいた時、




『たまに会える時間が楽しくて、メールも嬉しいくて、少しずつまなみに惹かれていく自分に気づいた』



と言った。





それを聞いて、この恋は間違いじゃないって思った。




人を好きになることは、全然悪じゃない。




自分のものにしようとするから悪なんだ。




私は婚外恋愛や不倫に賛成でも反対でもなかったけど、




結婚しているとわかっていて何故好きになるのだろうと不思議だった。




でも、自分がそうなってみて初めて気づいた。





人を好きになるのに理由なんてない。





とても自然なこと。




だから、『好きになった人がたまたま既婚者だった』というのは正しいと思う。





ただし、その時点で引けばキレイな想い出になる。




そして誰にも批判はされない。




なのに、その先に進みたいと思ってしまう。





『既婚者に片思い』まででよかったのに。




少しでも通じ合っていると思ってしまったら最後。





やっぱり好きな人と思い合えるのは幸せなことだから。






頭と心がバラバラになりながら、1つ決めたこと。





それは、





『この恋を絶対に後悔しない』




ということ。




その気持ちだけで、この恋を純粋なままで、キレイなままで続けられると思った。




だから、




浩二には、『お互い時間が解決してくれるといいね。』とだけ伝えた。





いろんな意味に取れるこの言葉。





私自身にも、猶予が欲しかったのかもしれない。





結局、自分が発したこの言葉でなかなか踏ん切りがつけられないまま時間が過ぎた。






でも、この恋で私は一度も泣いていない。




悲しいとも思っていない。




だから、自分のものに出来ないことを恨んだりしない。




自分のものにしたいと思わない。





これが一番ズルい恋の仕方。




この方法で自分を守るしかできなかった。