新庄選手の表情の特徴と言えば、誰もが『笑顔』白い歯のHappySmileを思い浮かべることでしょう。
あの素晴しい笑顔は、野球のプレイ以外でも数々の印象に残るシーンを演出してくれました。
笑顔は、私たちの生活になくてはならないコミュニケーションツールです。
最近では、ビジネス、教育、恋愛に至るまで、人と人との関わり方について、○○法、○○理論、○○術などと何かとテクニックが重視されがちですが、新庄選手の笑顔は、コミュニケーションには何が大切なのかということをシンプルに教えてくれたのではないでしょうか。
『顔』というモニターを通して、観客に彼自身のセオリーである『楽しむ』笑顔をストレートに投球してくれました。笑顔の直球を投げられた観客は喜んでキャッチし、観客も笑顔で応援し、野球界を盛り上げました。
笑顔は人を楽しませ、自分自身も楽しくなるということを教えてくれた新庄選手、支えてくれたチームの選手達や観客、北海道の人達全ての笑顔がひとつになり、大きな笑顔のエネルギーは、今年の日本ハム球団パ・リーグ優勝へと向かっていきました。
そこで、今回は、いつも周りをワクワクさせてくれた新庄選手の『笑顔』について、分析してみようと思います。

新庄選手は、エンターテーナーとも言えます。観客を楽しませようとするその独特の演出は、プロ野球選手としてある意味プロ根性に徹しています。球場でのパフォーマンスだけでなく、表情、容姿(服装、持ち物、髪型等)、そしてあの白い歯を含め『見た目』から、いつも驚きと楽しみを提供してくれました。
2001年大リーグでの初アーチ、本塁打を打ったとき、新庄選手は母親に電話で、「大リーグは楽しい!『いつも笑顔』という自分のキャラクターでやっていくよ」と声を弾ませていたという話しを耳にしたことがあります。プロ野球選手として観客に『見せる顔』の基本は、このように笑顔作りにあったのです。気にしていた歯の治療をして、真っ白に輝く歯を見せ、笑顔を作ることを今まで以上に意識することで、口角の高さも変わり自然と笑顔の表現が大きくなっていきました。
そして、様々な場面でみせる表情パフォーマンスの新庄選手は、見ている私達に楽しさを与えてくれ、最高の笑顔を持つキャラクターをして定着していきました。

笑顔をこれだけ意識している新庄選手の笑顔の特徴を分析してみましょう。
彼の笑顔で最も印象が強いのは、何と言っても口元です。
口角がUの字に上がり、上の歯が12本しっかり見え、上の歯の切端のラインと下唇のリップラインが合っており、審美的にも理想のスマイルラインです。実はこれが、ハリウッドスマイルというものです。
人によっては下の唇を下方に下げて笑顔を作ることもありますが、この動きはお薦め出来ません。なぜならば下の歯を見せることは、下品なイメージを作り、子供っぽい印象を与えがちです。全部の歯を見せて笑ってみて下さい。不思議なもので、非常に無防備な気分になり、嘲笑いをしたくなるような感情が湧いてきます。(本来、歯をむき出しにする表情というのは、嫌悪の表情です。ちなみにチンパンジーは、歯をむき出しにするのは,服従という意味です。)
新庄選手の今後の方向性は、誰もが感心を持つところではありますが、ビジネスをされるのであれば、いつもハリウッドスマイルを心がけていただきたいものです。
ここで1日5分で新庄選手のようなHappySmileを手に入れる簡単なトレーニングをご紹介いたします!お手元に鏡がありましたら、この笑顔を是非練習なさってみて下さい。
上の歯ができれば12本(最低8本)見えるように、しっかりと口角を目尻に向って持ち上げてみましょう。
この時、鼻から唇に至る皺(鼻唇溝)が多くなり、頬が持ち上がるように意識して下さい。しかし、この口元の動きだけですと、作り笑いになってしまいます。下瞼の下部の皮膚が押し上げられ,目の下に皺が出来るように目元も微笑んでみましょう。(上手く出来ないという方は、是非毎日鏡の前で練習して下さい。表情筋がほぐれ、口角が上がるようになります。)
さあ、いかがでしょう? 新庄選手のようなHappy Smileが出来上がりましたか!

新庄選手は、『自分を見て楽しんで欲しい!!』というサービス精神が、プラスされるので見られる自分をより意識して笑顔を作っているのがわかります。顔の角度や、身体の姿勢などのパフォーマンスも計算され、見ている私達に更なる説得力を与えています。
日本人はパフォーマンスと言うと、見せかけとか、まやかしなどと思われがちです。日本の社会も少しずつ個人主義となってきています。自分が何を考えていて、どんな人物であるかということを表現していかないと、相手に理解されにくくなります。
あなたが生きる舞台では、どのような容姿で、どのような態度や表情でパフォーマンスしたら、相手が「快」の感情を自分に抱いてくれて、コミュニケーションが取りやすくなるのかをイメージしてみて下さい。パフォーマンスは社会生活の中における自己表現と定義するならば、パフォーマンス力を高めることは、新庄選手のように見た目(非言語コミュニケーション)の能力を向上させることは大切で必要なコミュニケーション手段の一つということになります。

新庄選手にとってのパフォーマンスの意義は、何でしょう?
それは仕事(人生)に対する信念です。現役時代における信念の一つは自分が野球を楽しむということ、もう一つは観客を楽しませるという徹底した軸がありました。
「楽しみ」というキーワードは、新庄選手の素の表情から伝わってきます。ただ単に金儲けだけのために、調子良く笑っているだけであれば、私たちは彼の表情からその薄さを見抜いたことでしょう。いつわりの表情は、ほんの数秒は繕えるかもしれませんが、少なからず無意識のうちに感情は表情に表出されてしまうため、内側にある自分の思考の在り方は,顔に影響するのです。
ホスピタリティの心意気が溢れている新庄選手の笑顔は、見ている者の心の奥まで伝わってきたというわけです。
笑顔の効用のひとつは、気がつくと相手の笑顔につられて自分も笑顔になることです。新庄選手の周りでは、いつも笑顔が溢れていたのではないかと想像します。

また、新庄選手の笑顔マジックにかかると、プレイ中の真剣な表情や、時には困った表情にでさえ、私達は一喜一憂しワクワクさせてもらうことがありました。引退の時の記者会見で、彼が記者から意外なことを質問された時に見せた戸惑いの表情(彼はインタビュー前には、常に何を話したらウケるかを考えているそうです)がありました。北海道で行きたいところはどこですか?という質問の答えは準備していなかった様子で、一瞬困惑の表情をしながら「網走刑務所!」と答えていました。(そこで宗谷岬などとありきたりの答えが返ってきたら、どうしよう!と思いながら見ていましたが、、、!)
その質問を答えた後、私の目には一瞬自分に対する後悔の表情が見えました。感情が表に出やすい無邪気な表情表出が、ヒーローでありながらも親近感や安心感を感じさせてくれるところも人気の秘訣なのではないでしょうか。見た目だけでなく、彼の内面から溢れ出すサービス精神が、オーディエンスを心から楽しませているのですね。

日本ハムが優勝した瞬間に、監督を差し置いて新庄選手が胴上げされたというのは、異例なことで話題になっておりましたが、実は最初から選手達が仕込んでいた試合最後のパフォーマンスだったのでしょうか。あの時、胴上げされながらも新庄選手は、両手の人差し指を立てていました。
意図的なボディランゲージだとは思いますが、観客への感謝のしるしなのか、一番という喜びの意味なのかわかりませんが、胴上げされていても指先まで表現力を忘れない新庄選手には脱帽です。
新庄選手の笑顔は、チームをひとつにまとめる力があったのです。

彼の野球のセオリーやそのポジティブな表情が、チームの楽しい雰囲気を作り、選手達のモチベーションを上げて、選手達の能力を引き出し、優勝という結果に至ったプロセスを見てみると、これは理想的なマネージメントです。
ビジネスにおいても部署のマネージメントというのは重要な課題ですが、新庄選手は、自分が楽しむという欲求を周りの選手に伝染させ、チーム全体に『楽しんじゃえー!』という表情ツールをたくみに使い、それぞれの選手達の意欲を持ち上げ、チームの団結力を強めてゴールへ導いたとも言えます。これは、ロバート・ローゼンタールという心理学者がピグマリオン効果という期待と行動の心理の実験をし、人は期待をかけられることで、自己愛が満たされ意欲が高まるという発表をしました。これをこのチームに当てはめれば、野球を楽しもう!→観客を楽しませよう!→観客は期待(応援)する→選手達は期待される→期待に答えるよう頑張る→だからもっと楽しもう!、というような、好循環サイクルがあったように思えます。
それは、中日との最後の試合でその対称的な表情が物語っていました。
日本ハムは、ベンチ全体がリラックスした明るい表情であるのに対して、日本シリーズの時の中日ドラゴンズは、多くのチャンスを逃し、選手の表情は全体的に堅く緊迫していました。
自分の能力を発揮する為にはどうしたら良いか?という答えを新庄選手は『楽しむ』ということで、野球人生を開拓し進んできました。
最初から順風満帆ではなく、色々な壁にも打ち当たりながらも、阪神時代の野村監督との出会った頃から、少しずつ自分のあり方を見つけてきたのでしょう。
どんなボールも初球から何も考えずに打ち返していた頃に、IQ野球の野村監督に出会いキャンプでピッチャーをさせられ配球を覚えさせられた頃から、表情がポジティブになっていったようにお見受けします。
メジャーリーグへ行った時も、散々世間から批判を受けながらも、自分のスタイルを貫き通し、最後は日本ハムを優勝に導き、喜びの中での引退という新庄劇でいつも観客に見せてくれた彼の笑顔は、私達に希望や勇気、そして元気を与えてくれたのです。
そんな新庄選手の表情とは、「自分のセオリーが顔を作る」と言えるでしょう。
これからの活躍も大いに楽しみです。
あなたの人生の(仕事の)セオリーは、何ですか?
それを表情に表現してみてはいかがでしょう。

第一回は、フィギュアスケート界の期待の星、屈託のない笑顔の『織田信成』選手です。織田信長の子孫としても有名であり、何より私達の心に強く印象づけたのは、「グランプリシリーズ2005、第6戦NHK杯」で、最高難度のコンビネーションスピンというダイナミックなジャンプを武器に初優勝した時のあの号泣シーンでしょう。
あれほど全ての表情筋を使い、テレビカメラの前で泣くことが出来る人はあまり見かけません。家で一人で泣いたとしても、あれだけ思い切り泣けるものではありません。いつも一番近くにいて見守り、そして共に戦ってくれている母、憲子コーチ(元スケート選手)とカナダの名コーチ、リー・バーケルの指導の下で、「2005世界ジュニア選手権」で優勝した後、シニア大会への本格参戦、グランプリシリーズ2005NHK杯へ向けた意欲や努力は、私達の想像をはるかに超えるものだったという証です。
顔の骨の上にある表情筋は、脳から指令を受けた顔面神経によって動くのですが、人がある感覚を感じた時、大脳皮質で意識的に感情をコントロールし表情を表出するか、無意識にそのまま感情を表出するかのどちらかの回路を通って顔面神経から表情筋が動きます。あの「号泣」は、まさに無意識から出る表情です。
感情表出の特徴のタイプは3つのタイプに分けることが出来ます。1つ目は織田選手のように我知らず感情をあらわにすることが出来るタイプ(無意識なため感情を表出していてもそれに気付かない)、2つ目は心とは別の代わりの感情を表出するタイプ(実際には悲しいのに、怒ったような顔を見せようとする)、3つ目は顔の表情を意識的に抑えてしまうタイプ(感情を決して顔に表さない)です。さて、あなたはどのタイプの時が多いですか?

スポーツ観戦は、私達の意識下で選手の無意識回路を通る表情を見ることで、勝負中のメンタルな部分を観察し、そこに自分を重ねて共感したり、私達なりに評価することも楽しみの1つとなります。観客の私達はその選手とまるで同化してしまったかのように同じ表情になってしまうこともあります。織田選手のように1つの目標に一心に立ち向かっている姿や、高い集中力の中から表出される無意識な表情は、私達の心に自然と受容できるばかりか、幸福感さえもたらしてくれます。
私達はスポーツ観戦をしている時、どうしても勝負のゆくえが気になりますが、実はそこまでのプロセスも含め観戦していることで、どのような結果であろうと選手の表情まで観察して、その表情からあれこれとその選手の感情の情報をあれこれ得ようとします。黙って喜びをかみしめて泣くタイプの選手であれば、私達は共に深く感銘し、大はしゃぎで喜ぶタイプの選手であれば、同じような気分で飛び上がって喜ぶ人もいるでしょう。このように選手の表情から様々な感動を分け与えられるのも、スポーツ観戦の醍醐味といえると同時にそれだけ芸術点も要されるフィギュアスケートやシンクロナイズドスイミングなどの種目では、表情の豊かさの幅広さも得点に影響してくるのではないでしょうか。
“号泣”した時の織田選手は、その大会に全ての力を出し切り、そして自らの力で勝取った優勝を手にした瞬間、“溢れるほどの喜びの感情”をストレートに出すという形で表出しました。それを見た私は、本当に頑張って良かったね!と息子を思う母のような気持ちで感動して嬉しくなりました。
織田選手の表情が特に話題になったのは、号泣という表現だけでなく、努力を積み重ね信念を持って成し遂げた成果であり、あのような最高の瞬間の喜びの表情表現に人は心から感動させられるのです。

演技での彼の表情は、日本では、『表情豊か』と言われていますが、織田選手の目標でもあるロシアのエフゲニー・プルシェンコ選手など世界のスケーター達の表情表現は素晴らしいです。フィギュアスケート界だけに言えることではなく、他のスポーツも含め私達一般人も同様ですが、日本の歴史的文化的背景による“感情は見せぬもの”という意識が日本人には今だに影響しています。(この点については、違うテーマの時に言及します)グローバル社会となった今、顔は最高のコミュニケーションツールとして有効に活用しなくてはなりません。
豊かな表情は、織田選手のように、『快』を与えてくれるだけでなく、相手をより受け入れやすくし、また相手への理解を深めより良いコミュニケーションを作っていける有効な手段であります。親と子供、上司と部下、夫婦や恋人の間でも「言わなくてもわかる」という思い込みで、心を通わす最高の手段を無駄にしていませんか?
会話も大切ですが、ちょっと微笑んだりするだけで無言でも相手との理解を深めるコミュニケーションを十分につくることが出来るのです。
織田選手の顔の部分の特徴はなんと言ってもあの大きな口と、厚い唇の口元です。
もしも感情表出の少ない人でこの顔のタイプなら、口元にだらしない印象を与えてしまう傾向が強いと思いますが、彼の豊かな表情筋のお陰で織田選手の顔の印象はいつもニコニコなハッピースマイルなのです!

織田選手の言う「僕の野望は・・天下統一!」という世界一を目指す目標の演技のためにアドバイスをさせていただくとすれば、口の周りの口輪筋と口角から耳に向っている笑筋を鍛えることで、演技の時に表情がキリッとしまり、演技における悲しみ、怒り、喜び等の表情にメリハリがついて「大人の表現力」を身に付ける事出来ると思います。
素晴らしいオープンマインドの持ち主の織田選手は、見ているだけでこちらが嬉しくなるような屈託のない笑顔を作り、どんな人とも自然体でコミュニケーションを楽しめるようなナチュラルな感性が、あのように豊かな表情筋を作り出していると感じています。まだ19歳、これから様々な困難に合うと思いますが、どんなに苦しくても、今持っているナチュラルな感性とポジティブな姿勢を持ち続けて欲しいと思います。世界で戦う為には、演技の表情を磨くことも大事なことです。
意識的に表情筋を操るという『顔』の演技力も必要と考えます。
世界一になるためには、昨年までなかった4回転ジャンプを決めていかなければなりません。世界のトップスケーター達は、4回転を武器にメダル争いを演じています。今年からスポーツトレーナーの松本整さんの指導を受け本格的に質の高いジャンプを身に付けるため、自分の脳の動きを理解し、効率の良い動きを覚える練習に入ったという織田信成選手の今後の活躍に期待しています!
2006年10月28日29日に開催されるグランプリシリーズ世界一決定戦2006第一回アメリカ大会を皆さんご一緒に応援しましょう!!めざせ「天下統一」!