以前、【子供時代の音楽活動は大人のIQに良い影響を与える】という記事を書きました。
その研究報告の全文はこちらで読む事ができます。
『音楽訓練が大人の知性と実行機能に及ぼす影響』
音楽の訓練(レッスン)を子供の時に受けたことのある大人、18歳から55歳(平均28歳)の101人を対象に、研究が行われました。
3つのグループに分けました。
- ミュージシャン:5年以上の音楽の訓練を受け、音楽の最終学位がある人、または演奏や音楽教育活動に従事していて収入を得ている人(楽器は不特定)
- アマチュア:5年以上の音楽の訓練を受けているが、ミュージシャンの条件に合致しない
- 非ミュージシャン:音楽トレーニングが3年未満
4種類の『IQテスト』を受けてもらった結果、「ミュージシャン」は4種類全部の『IQテスト』で最高成績でした。
が、実はその差はわずかでした。
ことろが!
この調査では『ワーキングメモリ』と『実行機能』のテストもして、この2つは「ミュージシャン」が更に良い成績でした!
こちらがその表です。
(この論文が掲載されているFrontiers in Pshychologyはオープン・アクセスなので、転載させて頂きました。)
表の左から3つはIQテスト
WMIが「ワーキングメモリ・テスト」
Stroopが「実行機能テスト」の結果です。
Stroop は 棒が短くなるほど、短時間で課題が終了した事を表します。
黒い棒が「ミュージシャン」
濃い灰色「アマチュア・ミュージシャン」
薄い灰色「非ミュージシャン」
『ワーキングメモリー』とは?
『ワーキング・メモリーとは』という記事によると・・・
「短期記憶が情報の貯蔵機能(覚えておくこと)を重視する機能であるのに対し、ワーキング・メモリーは他者とのコミュニケーションや読書、計算、推理など様々な認知機能の遂行中に情報がいかに操作・変換されるかという情報の処理機能を重視する機能です。」
「短期記憶」いわば「丸暗記」とは違い、「ワーキングメモリー」は「情報処理能力」という事ですね。
そして、こちらの記事によると
実行機能とは、目標のための計画を立て、目標を達成するために自分の行動や思考、気持ちを調整する脳機能のことです。
このように、子供の頃から長期間にわたって楽器を習っていると、楽器を弾く能力以外の、社会活動に大変重要な能力も備わってくるようです。
このような研究は現在多数発表されています。
それによると、音楽活動は長く続けるほど、脳と心身に良い影響があるようです。
最近では、「音楽活動ほど脳に刺激が多い活動はない」と言う学者が増えてきました。
ピアノなどの音楽のレッスンは、お子さん達にとっても、大人にとっても、とても価値の高い習い事のようです。