私は、恩師メナヘム・プレスラー先生の弾くショパンが好きです。

 

 

先生の十八番である『ノクターン 嬰ハ短調 遺作』は演奏会のアンコールで聞かれた方もいるかもしれません。

 

下差し

 

 

私は、それこそ何度聞いたか覚えていません。
 
 
その他にも、マズルカ、ワルツ、ポロネーズ、コンチェルトなど聞かせて頂きました。
 
 
美しい音色、フレーズの美しいアーチ、完璧な声部のバランス、美しいトリル、明瞭な構成プラン、絶妙なリズム感がいつもそこにあります!
 
 
でもその表情やニュアンスは弾くたびに微妙に違っています。
 
 
それなのに、どの場合でも「これが一番素敵!」と思えてしまうのです。
 
 
ある時先生に「先生のショパンは聞くたびに少し違うのに、これが一番美しい、と思ってしまうのですが、どうしたらそうのように弾けるのですか?」と伺った事がありました。
 
 
先生のお答えは、「自分のその時の心情に沿うこと。ショパンをいつも同じように弾いているとしたら、それは自分に嘘をついている。」でした。
 
 
「自分に嘘をついている」とは厳しいお言葉!
 
 
でも確かに、ショパンの作品とはそういうものだと思いました。
 
 
また、先生は曲の構成をしっかり把握して、セクションやフレーズの性格付けがはっきりしているので、その中での微妙な変化があっても、曲全体のバランスや流れが揺らがないのではないかと思いました。
 
 
それ以来、私も自分のその時の心情に素直になり、微妙に違う表情で弾く事にためらいがなくなりました。
 
 
ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符ブルー音符ピンク音符
 
 
 

ちなみにプレスラー先生は、ご自分のショパン・コンチェルト第2番、第2楽章の録音を気に入っておられます。いつ聞いても涙が出ます。

 

下差し

 

 

先生が22歳の時の録音です。

 

 

こんな頃・・・

 

 

 

河村まなみ