脳とピアノについて、新しい動画が公開されました。
ピアノが子供の脳に与える影響【小学生の音楽教育】
音楽の習い事は、音楽的知識、技術、表現力を伸ばすだけでなく、音楽とは違う脳領域に良い影響を及ぼす、と言われていますが、これを専門用語で、ファー・トランスファー・エフェクト(遠転移効果)と言います。
2011年からロサンゼルスの南カリフォルニア大学の研究で、経済的に貧しい地域の、音楽の経験のない6〜7歳の子供達に、無料でユース・オーケストラに参加してもらい、音楽の訓練の脳への影響の追跡調査をしています。
グループ1:ユース・オーケストラに参加
グループ2:サッカーなどのスポーツに参加
グループ3:特に何も習わない
《結果》
2年後には、グループ1の聴覚が他のグループより向上し、音の高低、種類などをより正確に、早く聞き取れ、ほぼ大人のレベルに達していた。
また、脳の前の部分(前頭葉)が他のグループより、より活性化していた。短期記憶、衝動のコントロール(好きなことを後回しにして、課題をできる能力)、課題変更への柔軟性、意思決定力などが他のグループより優れていた。これらは、音楽には直接関係のない能力なので、遠転移効果と言える。
左右の大脳半球のコミュニケーションが早くなっている。(脳梁が太くなっている)脳梁内の、聴覚、運動、感覚の連絡が優れている。
4年目の保護者へのアンケート調査で分かったことの一つは、思いやりの心に長けていて、他の兄弟達より相手の気持ちが分かるということだった。これも、音楽には直接関係のない能力と言える。
このような遠転移効果が起こるのは、楽器を弾くための高度で複雑な能力(音、リズム、ハーモニーなどを楽譜から読み取る〜読んだことを手に移すして動かす〜出てきた音を聞く〜聞いた音を判断して適切に調整する)、練習やレッスンを続ける力などが、脳全体を刺激するためと思われる。
また人とのアンサンブルは、聞く耳だけでなく、聞く心も育てるのだろう。
以上の詳細は、こちらのYoutube動画で見ることができます。
そして、ピアノは10本の指をかなりの頻度で全部使い、大譜表を読むので、脳への刺激は、音楽の訓練の中でも最も刺激的ではないかと言われています。
その他のピアノを習うことの遠転移効果は、こちらのセミナーで詳しくご紹介しています。
皆さんのお役に立つことを願いつつ。