今日は、私の初見視奏のクラスで使用している
「リズミック・トレーニング」
というリズム練習本を紹介します。
著者はロバート・ステアー氏
作曲家、ピアニスト。
オーストリア生まれ、ウィーンで音楽教育を受け、後にパレスティナを経て渡米。ジュリアードで学んだ後、同校で作曲を教えた方です。
ステアー氏は、この本を書いた理由を
「学生を教えていて、リズム・パターンを速読できない学生は初見が弱くなりがちで、5拍子や7拍子を読めない学生は現代曲を怖がる傾向がある、という事が分かったので、そのような部分を強化したくてこの本を書いた。」
と説明しています。
この本の大変ユニークなのは、
拍子感を訓練する点です。
例1
- 両手とも書いてある通りにリズムを打ちますが、
- 左手は音高ではなく、強弱を表しています。
- ト音記号的に読むと「ファ〜ラ〜ソ〜ラ」の場所に音符がありますが、その音符を弾くのではなく、「強〜弱〜 中強〜弱」と打つという意味です。
- 右手もその強弱に合わせて打ちます。
例2
- 4分の2拍子。
- 左手は「強〜弱」と打ちます。
- 右手には複付点リズムが出てきます。
例3
- 4分の3拍子。
- 左手は「強〜弱〜弱」と打ちます。
- 5連符も「強〜弱〜弱」の中で打ちます。
- 右手には3連符、5連符、7連符が出てきます。
- テンポを変えずにこれらを打ちます。
例4
- 変拍子の練習です。
- 5拍子が出てきます。
私は使い始めてまだ2学期目ですが、成果としては・・・
リズムを固まりやパターンで見られるようになるようです。
拍子感が強まるようです。拍子感が弱い学生にはとても良い練習だと思います。
1小節の長さが体感できるので、途中で弾けなくなっても、次の小節から入って来れるようになります。これは、初見をする時に役立つテクニックとなります。
もちろん日本にも沢山の素晴らしいリズム練習本がありますが、これも別の意味で効果的な一冊だと思い、ご紹介させて頂きました。
お役に立てれば嬉しいです。