ナナイロノコイ (ハルキ文庫)/角川春樹事務所

¥520
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[STORY]
愛をおしえてください。恋の予感、別れの兆し、はじめての朝、最後の夜…。恋愛にセオリーはなく、お手本もない。だから恋に落ちるたびにとまどい悩み、ときに大きな痛手を負うけれど、またいつか私たちは新しい恋に向かっていく―。この魅力的で不思議な魔法を、いまをときめく七人の作家がドラマティックに贅沢に描いた大好評恋愛小説アンソロジー、待望の文庫化。


江國さん、角田さん、井上さん、唯川さんの短編が読みやすかった。
ベテランの格を見せつけた感じがある。

角田さんの不倫への提言が新鮮だったかな。
『本気でその男が好きなのであれば、彼の家庭も含めて好きであれ』

★★☆☆☆
心に龍をちりばめて (新潮文庫)/新潮社

¥540
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[STORY]
小柳美帆はエリート記者の黒川丈二との結婚を目前に、故郷の福岡で同級生の仲間優司と再会する。中学時代「俺は、お前のためならいつでも死んでやる」と唐突に謎の言葉を口走った優司。今その背中に大きな龍の刺青と計り知れぬ過去を背負っていた。時間や理屈を超え、二人の心に働く不思議な引力の正体とは――。恋より底深いつながりの核心に迫り、運命の相手の存在を確信させる傑作。


人の業であったり、欲望を色濃く描きつつ、
心の支えを自分以外の誰かに求めることの難しさ、不確かさが表現されていた。

「自分なんてどうだっていい――美帆は肝心なときは必ずそう思う。意志の力によってではなく、ごく自然に思える。胸の芯に巣食う投げやりな心が、いつか人生を台無しにしてしまいそうでたまに恐ろしくなる。一方で、それが自分のほんとうの強さのような気がするときもあった」(p.133)

この部分を読んだ時、ドキッとした自分がいた。
「自分なんてどうだっていい」という投げやりな心が空恐ろしくもあり、
でもこれが自分の強みなのかもしれないと思う瞬間が、まさに私にもあるから。

美帆と優司の恋は、「好き」なんて言葉が口にされることなく進んでいったけれど、
お互い一緒にいるのが当たり前のような感じで、その揺るぎない関係性に憧れた。

★★☆☆☆
そろそろ最後の恋がしたい (ハルキ文庫 ゆ 5-4)/角川春樹事務所

¥580
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[STORY]
「女の幸せ」って何なのだ!桃子、28歳、女性ファッション誌の編集者。彼氏ナシ。むちゃくちゃ忙しいが、充実した日々を送っている。そんなある日、パーティーで元彼と出会い…「美人百花」で連載中から多くの共感を呼んだ働く女性の恋愛日記小説。


中身が薄っぺらいというか、なんというか。。
唯川恵さんがこんな本書いちゃうんだ?そっか、そっかぁ・・残念。そんな読後感。

三十路の私向けじゃなかっただけなのかもしれないけれど。


★☆☆☆☆
青い鳥 (新潮文庫)/重松 清


¥620
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[STORY]
村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、言葉がつっかえてうまく話せない。でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、家庭を知らずに育った生徒―後悔、責任、そして希望。ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。

じんわりと、優しさが伝わってくる作品。

自分の弱さを隠さずに、傷つきながらも真っ直ぐに生きている人。
誰かの気持ちに寄り添うことに一生懸命になれる人。
どちらも素敵だと思う。

「たいせつなこと」は「正しいこと」とは違う。
自分が親になったときに、「正しい」ことを押し付けるのではなく、
「たいせつ」なことをしっかり伝えられるようになりたいと思った。


sao☆印象に残ったところ
p128.
「世の中には、運のいいひとと悪いひとがいる。新聞やテレビでよく言われる「勝ち組」と「負け組」より、「運のいいひと」と「運の悪いひと」という分け方のほうが、わたしにはよくわかる」

p418.
「あのなぁ、人間はなぁ、おとなになる前に、下の名前で、たっ、たくさん呼ばれなきゃいけないんだ。下の名前で読んでくれるひとが、そばにいなきゃいけないんだ」

★★★★☆