今日、母が倒れた。

正確にはぜんぜん倒れてない。夜中から目の調子が悪く、今日は一緒に映画に行けません、という謝罪のラインを朝もらった。
救急外来に行く、と記載してあったが、私が調べたところ実家があるそこそこ田舎の急患センターに眼科は存在しなかった。私が住む片道1時間ほど離れた市の急患センターに眼科があることをラインして、母の性格上そんな遠いところ行かない、で終わらせるかもなとぼんやり思った。
しかし10時前に「急患センターで受付した、父は帰宅したので帰りは送って欲しい」と連絡があり、迎えに行ったところ網膜剥離なので連休あけに手術を受けるようにと言われてしまった。
人生が変わってしまう。母ではなく私の人生が変わってしまう。
私は、定義的には引きこもりだと思う。母の名前で借りてもらったアパートで2年無職をしている。しかも父にはバレる様子もない。前職を辞めてから1年以上必死で就活はしていたが、昨年の誕生日に30分めちゃくちゃに泣かされた挙句不採用にされた面接に当たって以来、ハローワークにも恐ろしくて行けていない。ちなみに35までアルバイトを転々としていたが「ADHDやで」と唐突に診断されて障害者雇用で細々働いていた。私をめちゃくちゃにしたのも障害者雇用の面接で、健常者が見たら一発で労基に通報されるくらい人権侵害ギリギリの合理的配慮のための質問を受けた。なんでこんな目に遭わなきゃならないんだ、今日は私の誕生日だぞ!?とせめて怒鳴りたかったが、隣には企業が求めたため支援機関の職員が座っていた。彼女がいなかったら絶対にこちらから切り上げていた。
まあ、それでめちゃくちゃになって、小説を書いて3回新人賞送ったけどまあ一次も通らなくて、気づけば無職2年の40代独身おばが爆誕した。
下手に35年間一般人であったので、プライドだけはあるし、騙されにくい性格をしている。いっそ騙されて流されてしまえば楽だろうに。かつて「県外の大学に行くの?すぐ騙されて宗教とかマルチとかどハマりするでしょ?」と高校の同級生に揶揄されたが、気づけば私以外全員宗教とかマルチで必死になっている。私はあらゆる勧誘を退け、「勧誘されてる時点で、あなたは大事な友人ではないんだよ」という元カレの言葉に傷つき、気づいたら友だちも彼氏もいない無職2年のおばが爆誕した。
母の話に戻ろう。週明け朝イチの入院が決まり、母は絶対安静で自宅で横たわり、私は父と入院に必要なものを買いに走った。
私は父のことを、殺すか殺されるかだと思っている。それも父は知らない。私の無職もADHDも知らない。何も知らない父親と100円ショップ、ドラスト、靴屋を回った。父は年金生活者だが、私が財布を開かないことを疑問には思っていないようだった。
紹介された病院には、父が連れて行ってくれることになった。手術の付き添いは私がする。
朝慌てて飛び出したアパートに戻る途中、「あした死ぬには」という漫画のことをずっと考えていた。主人公はバリキャリで更年期や女性特有の疾患で働き方を変えていかざるを得なくなる。主婦の友人は10数年ぶりにパートに出て、若い男の子に言い寄られ動揺する。そして引きこもりの友人は母が倒れ、ついに20年近い引きこもりから脱出しなくてはいけなくなる。
引きこもりの女性が、どうやって採用されたのかは不明だが、彼女が焼き鳥工場で串を売っているのを妙にリアルに思い出せる。一度外れたレールなんて、今からバリバリの正社員なんかなれないのは分かってる。でもやれるとこからやった方が絶対いいんだよな。
私もそう思って、障害福祉でちょっとお賃金もらえるようなとこ探してて、見学とか行ってるとこだったんだよね。今。
それだともう私は生きてけないのかな。
人生が間に合わない。