シンガポールは赤道からわずか136km北にあるマレー半島の最南端の小さな都市国家。チャンギ空港からMRT（地下鉄）で市内に向かう。わずか１シンガポールドル（日本円に換算すると66円ほど）で市内まで行け、交通の便は大変良い街だなぁと感心する。
空港から外に出たらかなり暑いだろうと覚悟していたけれど、出た瞬間汗がどっと噴き出てきて、シンガポールに来たな！と実感。とりあえずこの暑い中背負って歩くのには重いバックパックを下すために宿があるチャイナタウンに向かった。
チェックインには時間が早すぎたのでホテルのロビーに荷物を預けシンガポール散策開始。まずは何と言ってもマーライオンを見なければ！とCity Hallに出向き、シンガポール川の桟橋を渡ってマーライオンがいる岬に向かった。
途中色々なオブジェがあり、そのひとつにシンガポール川に飛び込む子供の銅像があって思わず笑ってしまった。
マーライオンは世界三大ガッカリ名物だと言われているけど、私にとっては良い意味で期待を裏切る面白さがあって、大いに楽しめた。思ってたより近くに近付けたのも良かったし、大きいのと小さいの二つが背中合わせで立ってるとは行ってみるまで知らなかったので、やっぱり実際見てみなくちゃ解らないものだなぁーと再認識。
私の他にも世界中から沢山の人がマーライオンを一目見に来ていたけど、ほとんどの人が写真スポットの広場（マーライオンの左側）に集まっていて反対側の右側はガラガラだった。結構歩いてきて疲れたのもあったのでマーライオンで日陰になっていたガラガラの右側に座ってマーライオンが見ている海を自分も一緒に見つめてみる。そんな事がなかなか楽しい。これならこの先も一人旅を十分楽しめそうだ。
昼1時を過ぎるとジワジワ気温が上がってきて歩いて回るのもキツクなってきたので、宿に帰って一休みすることに。シャワーで汗を流し少し休んだ後、チャイナタウンを散策しに出る。
やはり中華系の人たちは逞しいというか商売熱心。食べ物から土産物、生活雑貨に至るまで色々売っていた。でもひとつ他のアジアの国とここが違うのはしつこく売り子がついてきたり、囲まれたりする押し売りのようなことがないこと。シンガポールが経済的に発展しているのもあるだろうけど、それよりも世界一厳しいと言われるここの政府の管理がそれを禁止しているのかもしれない。地下鉄やバスの中での飲食や、ゴミのポイ捨て、チューインガムの製造に至るまで禁止して、守らないものには高額な罰金を科しているほど厳重な管理をしているのだから海外からの観光客に良い印象を与えない押し売りなんて許してないんだろう。シンガポール育ちの元同僚が「シンガポールは華僑の人たちの理想郷」なんだと言っていたのを思い出し、清潔で奇麗な国にするため罰金付きの厳しい法律を定めるのまでになったのには、たぶん日本みたいに公共マナーの呼びかけじゃ理想郷にはなかなか近付けなかったのが理由かも知れないと街を見ながら思った。今ではシンガポールの人達もみな公共マナー意識が向上し罰金を食らう人はほとんどいないとガイドブックには書いてあった。なるほど、確かに他のアジアの国に比べ驚くほど道にゴミは落ちていない。けれど、チャイナタウンではおじさんが煙草の吸殻をこそっとポイ捨てしてたけど。。まぁ東京23区の大通りでは歩きたばこが罰金2千円になっても果敢に吸ってる人達多かったし、、そういう所はどこも一緒なんだろうな。。
この日はオーチャード通り（東京で言う渋谷のような所）にも行ってみた。デパートやおしゃれなカフェやバーが沢山あってシンガポールのファッション通りのよう。日本のデパート高島屋もあったり、グッチやプラダのような高級ブランド店も軒をつらねていた。しかし、今私は買い物してもこの先旅に持って行けないので冷やかすだけで素通り。
夜には宿の近くに帰って、感じの良い（そして一人ご飯をしても浮かない）バーレストランを探し歩き、駅近くの店で野菜と豚肉の炒め物と海老チャーハンにビールをオーダーする。タイガービールうまかったぁーー。
2日目は朝からリトル・インディアにヒンドゥー教のスリ・ヴィーラマ・カリアマン寺院にお参りに行った。
ヒンドゥー教の寺院に入るには靴を脱いではだしで入らねばならない。ちょっと勇気がいったけどインド人みなしてるんだしと思い、寺院の中に入る。中はもちろんインド人ばっかでお香の匂いやお供え物の果物の匂いが充満していた。
寺院では額に塗る白や赤い粉をお坊さんが椀に入れて配っていたので、私ももらって白い粉を額の真中に塗ってみた。これで仲間入りした気持で周りのインド人のおばさんおじさんの真似をして、沢山ある神様の銅像にお祈りしてまわる。お祈りの仕方は、まず合掌してから神様の銅像の足元辺りを触ってもう一度合掌、という流れ。『どーか、この旅が楽しくすごせますよーに』とカラフルな花や果物をお供えされてる神様にお願いしておきましたい。
あと中でジュースのようなものも配られていたけど、それはさすがに手が出なかった。。
その後は、アラブ人地区に歩いていき、シンガポールで一番大きく古いイスラム教のサルタンモスクに向かった。
ここのモスクは近年イスラム教徒しか入れなくなっているので、休みがてらすぐ横の公園で涼みながらモスクを眺めていたら突然アラーの神にささげる歌がモスクから流れてきた。
ちょうど礼拝の時間だったのだろうけど、永遠1時間以上はお祈りの歌がスピーカーから流れた。しかも録音じゃなく、ちゃんと誰かが生でモスクの中から歌っているみたいだった。途中で咳やマイクが動く音が聞こえて来てたし。
こういう風景に出合うと、前に住んでいたアメリカよりもシンガポールの方が遥かに人種のるつぼと言うかモザイクがすすんでいると思った。自然に溶け込んでいる感じ。食べ物も安く、治安もいいし、ここに移り住みたがる移民が多いのもうなづけた。
この日の夕方は、私はひたすらチャイナタウン内にあるというポストオフィス(郵便局)を探しまわった。ホテルのロビーの人に聞いても今日は金曜だけど祝日のため休みだし次の日の土曜日もきっと開いてないだろうと言われたけど、現地の人が言ったからと全ての情報が正しいとは限らないので自分で探して確認したかったのだ。結局2時間近く歩き回ってやっとモールの2階のすみっこにあるのを発見。。そしてやはり祝日で閉まっていたけど、土曜日は９時半から開いていると張り紙があったので明日マレーシアに立つ前にハガキを出しに来れるのがわかって一安心。ああ・・探し回ったかいがあって本当に良かった。。
シンガポール最後の夜も前日いったバーレストランで夕飯を取る。そして缶ビールをオーダーしたのに、１リットルはある大瓶が出てきた。。まっ最後の日だし無事ポストオフィスも見つかった事だし、祝杯を上げようと全部飲んだ。暑いシンガポールでも夜７時をすぎると涼しくなって過ごしやすくなる。そしてビールがこの上なく合う。
旅の始まりは上々です