5分だけ野郎 | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」

コロナの影響もあり、在宅で仕事をする人が増えている。それによって「生産性が高まった」という人もいれば、「家だとどうしても怠けてしまって……」という人もいるだろう。

 

僕はどこにいても怠けているが、それが最大化するのはやっぱり家にいる時である。床に寝転がってスマホを見ていたら、いつの間にか1、2時間経っていたりする。それはそれでかまわないのだが、やはり「どうしてもやらなければならない仕事」というものがある。締め切りのある原稿などがそうだ。

 

でも、気が乗らない時は気が乗らないのだからしょうがない。そんな時はたいてい喫茶店に行くけれど、最近は自粛ムードでちょっと足が重いところもある。だからといって家にいると、どうしてもダラダラしてしまう。

 

そんな時、自分を鼓舞するマジックワードがある。

 

「5分だけやろう」

 

そう、書くことの何が大変かって、書き始めることが大変なのだ。書き始めてしまえばなんとかなる。だからとにかく手をつけるハードルを下げることが大事で、そのために有効なのが「5分だけやろう」である。

 

どんなに終わりの見えないような仕事でも、「とりあえず5分だけ」と思えば少しは体が動くようになる。そうして手をつけさえすればこっちのもの。これは書くこと以外にも言えることだろう。

 

こんなに素敵な「5分だけやろう」なのだが、僕はうかつにも、このマジックワードを自ら無効化してしまったのだ。

 

それはつい先日のことだった。

 

ある原稿を書かなければならず、ここぞとばかりに例のマジックワードを発動させた。

 

「5分だけやろう!」

 

今思えば、ちょっと気合いを入れすぎたのが悪かったのかもしれない。

 

「5分だけやろう!」が脳内で勝手に変換されて、「5分だけ野郎!」になってしまったのである。

 

「おい、また5分だけか?情けないヤツだな。この5分だけ野郎!

 

自分を鼓舞するために発した「5分だけやろう!」という言葉が、自分を罵倒する「5分だけ野郎!」という言葉として、瞬時に跳ね返ってきたのだ!

 

「う、うわあああぁぁぁ〜〜〜!!!」

 

諸刃の剣とはまさにこのこと。「5分だけやろう!」と鼓舞した瞬間、「5分だけ野郎!」と挫かれる。

 

それからというもの、「5分だけやろう!」という言葉が全く機能しなくなってしまった。

 

自分を鼓舞する「5分だけやろう!」と、自分を罵倒する「5分だけ野郎!」の狭間で、身動きがとれなくなってしまったのだ。

 

「くそ!ここから抜け出す方法はないのか……?」

 

そうして原稿が進まないまま、こんな文章を書いている。

 

俺は一体何をやっているのだろうか。

 

とりあえずテレビで「キングダム」が始まったので、今日はこのへんで。