『考えない論』書評掲載されました! | 杉原学の哲学ブログ「独唱しながら読書しろ!」
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「仏教企画通信」第32号に、
『考えない論』の書評を載せていただきました!

全国三千ヵ寺に配布される業界紙(?)だそうです。

評者は(株)コンセプトワークショップ代表の佐藤修さんです!

素晴らしい書評をありがとうございます!\(^o^)/

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■『考えない論』書評

フランスの思想家パスカルは、
「人間は考える葦である」という有名な言葉を残しています。
考えることは人間に与えられた特権かもしれません。

問題にぶつかったら、だれもがどうしたらいいかを考えます。
自分が望むことを実現するためにもいろいろと考える。
たしかに、私たちはいつも考えているような気がします。
著者も書いていますが、「しっかり自分で考えなさい」
と言われて育ってきた人も多いでしょう。

しかし、考えたからといって、
うまくいくとは限らないのも人生です。
考えすぎて疲れてしまい、
逆にうまくいかなくなった経験は
私にも少なからずあります。

著者も、あるとき、いくら考えても
うまくいかない状況に陥ってしまったそうです。
そして、「ほとほと考えることに疲れ果てて、
自分の頭の中をあきらめが支配したとき、
別の考えがフッと浮かんできた」そうです。
「ど-せ考えてもうまくいけへんのやったら、
いっぺんまったく逆のことをやってみよう」。
そして生まれたのが、本書です。

といっても、何も考えずに、
思いつきで生きればいいと
勧めているわけではありません。
その反対で、本書にはしっかりと
自分を生きるためのヒントが山積みです。
こんな含蓄のある説明もあります。

考えることは言語化すること。
あらゆる感情は、考えたその瞬間に、
言葉の呪縛により、その唯一性を奪われる。
言葉の呪縛から解放されるのは、
考えていないときだけかもしれない。

なるほど、と私はうなってしまいました。
言葉で考えるのではなく、
心身で直接考えろというわけです。

著者は「考えなければ、人間も自然の一部なのだ」といいます。
自然の一部として、無理に言葉で考えなくても、
自然と一緒に「大きな思考」ができるのかもしれません。
一切の妄念を離れて無心になることで、
見えてくるものも多いでしょう。

著者は、コピーライターでもあり、
シンガーソングライターでもあり、
いまは大学院の博士課程にいます。
実に個性的な人生を送る若者です。
そうした個性的な生活のなかで体験的に実践してきた、
新しい生き方の書なのです。

47の章立てでとても読みやすいです。
哲学的な話もあれば脳科学の話もある。
武道も出てくれば、仏教も出てくる。
抱腹絶倒の話もあれば、ちょっと「考え込んでしまう」話もある。
もちろん「考えないための実践法」もあります。
ともかく読み出すときっと一気に読んでしまう魅力があります。

考えることに疲れた人はもちろんですが、
考えないで生きてきた人にもお勧めの一冊です。

(株)コンセプトワークショップ代表 佐藤修
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