毎日がつまらなかった。



朝起きて


母親の言葉一つがうざくて。


大学に行ってもただ時間だけを過ごして、遊んでからかえる。



たしかに仲間と遊んで、飲んで馬鹿騒ぎするのは楽しい。



だけど、それだけ。






それが


ある夜の合コン。



いつものように、どうでもいいメンツがあつまり

どうでもいい会話をして酒をあおる。


ふと見ると・・・同じようにどうでもいい女たちの一人の腕の痣がなんだか目に付いた。



ふざけて、そっと手を伸ばす。







こっちが驚くくらい彼女は身体を震わせた。


「あ、ごめん。痛かった?」



「あ・・・・」


「ううん。ごめん。驚いただけ」


彼女の顔は「驚いただけ」ではなかった。


気まずい空気のなか、しばらくして彼女が口を開いた。




「あのね、こんなこと・・・。言ったことないけど・・」


酔っているのだろう、「自分のこと」だとしゃべりはじめた。





「私ね・・・家がきらいなの。

この、痣ね・・・。父親が・・・。それは・・・やっぱり・・


自分が悪い子だけど・・・・・」





・・・驚いた。




この子はいわゆる「お嬢様」だと思っていた。


お嬢様には間違いはないだろう、ブランドの服やバッグをもち幸せそうな顔をしている。



その「お嬢様」から想像もつかない話。


なにげなくふれた腕の痣にそんな・・・。




俺は



「どうにかしなければ」と思った。



助けたい?


そうなのか・・・。




そう反芻するうちに





ひとつのキーワードが浮かんだ。







誘拐。






http://ameblo.jp/mana-umi/entry-10051080764.html






私は混乱していた。


たしか

いつものように

大学へと向かう道だった。


急に車に押し込まれ目隠し、うでを縛られ・・・。

絵に書いたような誘拐だ。


悲鳴をあげる。

何がなんだかわからない。



どれくらい走ったのか車が止まる。


“どこだろう”

抵抗する事に疲れた頃だ。




どこかの家にいれられる。

それまで一言も発しなかった相手が初めて口を開いた。



「・・・・ごめん・・」


“え?”


「ごめん、怖い思いをさせた・・・」


どこかで聞いた声。





腕の縄がはずされ、視野が明るくなる。


「あ・・・・」


「どうして?」

私は彼のことを知っていた。

何度か食事をし飲みに行き・・・。仲間の一人だ。




「どうして?サナくん」


彼・・・サナは泣きそうな顔でいった。



「ユミ・・・いつもいっていたじゃないか・・。父親の暴力・・・家をでたいと・・・。   ユミ・・・きみが殴られるなんて俺は我慢ができない。だから、こうした・・・。ごめん・・・こわかったか?」





すぐには理解は出来なかった。






《私の家は・・そう・・裕福なほうだ。会社を経営する父。世間知らずの母。

『お嬢様なのね』といわれれば反論はできない、他人からみれば何不自由のない暮らしだろう。

父はそんな家のプライドなのか厳しかった。

たんに厳しいだけならどこにでもある家庭だろう。暴君でもあった父は気にいらないと母にも娘の私にでも暴力をふるった。

毎日が怖かった。

父の意に沿うことが出来ない自分を責めた日もあった。

母は世間知らずで夫のいう事は絶対だった。

たとえ娘が殴られてもただ泣くだけだった。

大学生になると今までとはちがった出会いの連続だった。

父の呪縛に嫌気がさしていた私は多忙な父のいないときをみて遊び歩いた。》




そう・・・・誰に何を言ったのかは覚えていない。

酔って気がゆるんだ時にそんな話しをしたのかもしれない。




家を出たいのは本心だ。




だけど・・・・。




「どうするつもり?」




サナは何も言わない。



しばらくの沈黙。









バタン!



急にドアが開き見知らぬ少女が息を切らして入ってきた。






つづく









私は




彼がすきだ



彼の言う事はなんでもきく。いうとうりにする。


それが理不尽でも。



ある日彼がいった。


「俺のつれでさ、金持ちのお嬢様がいるんだ。」

「そいつを誘拐して金をとろうと思うんだ」

「いい考えがあるんだ。まぁ、そいつも家をでたがっていてまぁ・・家出したいらしいw」

「なら、便乗してやるさ」



―私はなにをしたらいいの?―


「ほんの少し手伝ってよ」




彼は

一人の人をとても、とても愛していた。

いつもは強がっている彼だけどその人のことを思うときは

なぜか悲しげな顔をした。

“住む世界がちがう”

と彼はいった。


その人はお金持ちの「お嬢様」でそんな窮屈な暮らしに少しタイクツしたのだろう、「家を出たい」と少しだけ知りあった彼にもらしたらしい。



軽い気持ち。

ただの気紛れ家出。



彼はその人のことを愛していた。



私は彼の事を愛していた。

彼のいう事は何でもきく。




「彼女を誘拐する。そのとき誰かが騒いだらおまえがその場をごまかすんだ。逃げる時間をつくるんだ」






実行された日

私は彼とその人の茶番劇をみながらくしくも居合わせた「目撃者」に


「私がみはってます!、はやく警察に!」


教えられた通りに行動をして




3人で


逃げた。



その日からはじまった3人の生活。





つづく