毎日がつまらなかった。
朝起きて
母親の言葉一つがうざくて。
大学に行ってもただ時間だけを過ごして、遊んでからかえる。
たしかに仲間と遊んで、飲んで馬鹿騒ぎするのは楽しい。
だけど、それだけ。
それが
ある夜の合コン。
いつものように、どうでもいいメンツがあつまり
どうでもいい会話をして酒をあおる。
ふと見ると・・・同じようにどうでもいい女たちの一人の腕の痣がなんだか目に付いた。
ふざけて、そっと手を伸ばす。
こっちが驚くくらい彼女は身体を震わせた。
「あ、ごめん。痛かった?」
「あ・・・・」
「ううん。ごめん。驚いただけ」
彼女の顔は「驚いただけ」ではなかった。
気まずい空気のなか、しばらくして彼女が口を開いた。
「あのね、こんなこと・・・。言ったことないけど・・」
酔っているのだろう、「自分のこと」だとしゃべりはじめた。
「私ね・・・家がきらいなの。
この、痣ね・・・。父親が・・・。それは・・・やっぱり・・
自分が悪い子だけど・・・・・」
・・・驚いた。
この子はいわゆる「お嬢様」だと思っていた。
お嬢様には間違いはないだろう、ブランドの服やバッグをもち幸せそうな顔をしている。
その「お嬢様」から想像もつかない話。
なにげなくふれた腕の痣にそんな・・・。
俺は
「どうにかしなければ」と思った。
助けたい?
そうなのか・・・。
そう反芻するうちに
ひとつのキーワードが浮かんだ。
誘拐。