完レポになりますので、閲覧にはご注意ください。
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夜、泊めてもらっていた重衡様の屋敷で目が覚める。
「お水を飲みに行こう」
立ち上がろうとしたら、知盛様からしっかりと抱き寄せられてしまった。
「あの、知盛様。私、お水を」
知盛「わかった。口づけがほしいんだな」
「いえ、あ、んんぅ」
否定しているのに、しっかりとくちびるを寄せられてしまう。
知盛「俺は喉が乾いたら、お前と口づけをしたくなるがな」
「そうなんですか?あ、んん」
また、深く口づけを交わされた。
知盛「まなのくちびるは濡れていて、やわらかくて、甘い香りがする。上等な酒を飲んでるようだ。しかも、交わせば酔うしな」
「そんな……っ」
また口を重ねられた。
不思議と、それで本当に喉の渇きを忘れてしまう。
「本当ですね」
知盛「そうだろう?しかし、これには難点がある」
「はい?」
知盛「やりすぎると、身体が乾いてします」
「ダメです。知盛様」
放っておくと、本当にこのまま水が飲めなくなると思って、私は知盛様の胸に手をついた。
「本当に喉が渇いているんです」
知盛「そうか。じゃあ、仕方ないな。俺が水を持ってきてやろう」
「え、そんな。私が行きます」
知盛「いや、冷えるから、ここで待っていろ」
知盛様は私を残すと、さっさと出ていってしまう。
「ありがとうございます」
私は知盛様の持ってきた湯のみを取ろうとした。
けれど、知盛様はそれを自分で飲んでしまう。
「ええ!?」
なんのイタズラなのかと思って非難めいた声をあげると、知盛様はニヤリと笑った。
そして、無言のまま私のくちびるにくちびるを重ねてくる。
「うん。んっ」
ごくりと喉が鳴って、自分が水を飲まされているのだと気づいた。
知盛「どうだ?飲めたか?」
「は、はい」
知盛「じゃあ、今度こそ、俺の乾きをいやしてもらおうか?」
そう言うと、知盛様は私を身体の下に敷きこんだ。
そして、今度は身体中に口づけされることになる。
結局、知盛様の乾きがおさまるには、私が意識を手放すくらいの時間が必要だった。
翌朝。
かすかな足音が聞こえてくる。
(……ん)
私は身じろぎした。
けれど、体を動かせない。
(何……重たい……)
気付くと、知盛様の腕が私の腰をしっかり掴んでいて、動けなかった。
「えっ、知盛様……重たいです」
私はそっと腕を放そうとしたが、なかなか解けない。
(……子供みたいな寝顔して……)
私は知盛様の寝顔をのぞきこんだ。
少し無精ひげ。
「ふ……ふふふ……」
何だか可愛く見えて、私は彼の髪を撫ぜた。
知盛「……ん」
知盛様が身じろぎする。
「起きた?」
知盛「う……ん」
知盛様はもう一度、私の腰を抱えなおして、また寝入った。
重衡「おやおや」
気付くと、格子をあけて重衡様が立っていた。
「し、重衡様」
私は慌てて自分の衣服の胸の前をしっかり締め直した。
重衡「知盛兄者、まるで子供みたいにぐっすりだね」
「はい」
重衡「この人がこんなに深く眠るのを見るのは、子供のころ以来だ」
重衡様は優しく微笑み、知盛様の顔を見つめている。
「そうなんですか?」
重衡「ずっと長い間、わずかな物音でもすぐに起き上がるような人だったよ。戦場ではほとんど寝ないし」
「……」
重衡「それがこんなに安らかな顔をして眠るようになったんだね」
「はい……」
私は知盛様の髪を撫ぜながら、少しだけ耳を触った。
知盛「……ん」
知盛様はかすかに目を開いた。
知盛「まな……いたずらをするな」
「ふふふ、もう起きてください」
知盛「……くちづけをしてくれたら、起きる」
「そんなことを言ってもいいんですか?」
私が言うと、知盛様は目をはっきりと開いた。
知盛「何だって?」
「だって」
私が重衡様を見遣ると、彼がヒラヒラと手を振る。
知盛様は、今度はしっかりと目を見開き、慌てて起き上がった。
知盛「重衡!お前、いつのまに来た!?」
重衡「ずいぶん前から。兄者の寝顔を見ていたよ」
知盛「なっ……!」
知盛様は真っ赤になった。
重衡「兄者は意外に甘えん坊なんだなあ」
にやにやと重衡様はからかうように笑う。
知盛「お前っ……こ、これは、ちょっと、たまたまで……!」
重衡「朝、くちづけをしてもらわないと起きられないんだ」
知盛「こ、こら!」
彼は完全に立ち上がり、重衡様のほうへ上掛けを投げた。
重衡「あははは!教経たちにも教えてやろう!」
重衡様は廊下を跳ねるようにして行ってしまう。
知盛「お、おい!待て!」
知盛様は慌ててその後ろを追いかけていった。
(にぎやかで幸せな朝……これからもこんな平和な朝を迎えられますように……)
私は自分のお腹を撫でながら、そう願った。
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夜、泊めてもらっていた重衡様の屋敷で目が覚める。
「お水を飲みに行こう」
立ち上がろうとしたら、知盛様からしっかりと抱き寄せられてしまった。
「あの、知盛様。私、お水を」
知盛「わかった。口づけがほしいんだな」
「いえ、あ、んんぅ」
否定しているのに、しっかりとくちびるを寄せられてしまう。
知盛「俺は喉が乾いたら、お前と口づけをしたくなるがな」
「そうなんですか?あ、んん」
また、深く口づけを交わされた。
知盛「まなのくちびるは濡れていて、やわらかくて、甘い香りがする。上等な酒を飲んでるようだ。しかも、交わせば酔うしな」
「そんな……っ」
また口を重ねられた。
不思議と、それで本当に喉の渇きを忘れてしまう。
「本当ですね」
知盛「そうだろう?しかし、これには難点がある」
「はい?」
知盛「やりすぎると、身体が乾いてします」
「ダメです。知盛様」
放っておくと、本当にこのまま水が飲めなくなると思って、私は知盛様の胸に手をついた。
「本当に喉が渇いているんです」
知盛「そうか。じゃあ、仕方ないな。俺が水を持ってきてやろう」
「え、そんな。私が行きます」
知盛「いや、冷えるから、ここで待っていろ」
知盛様は私を残すと、さっさと出ていってしまう。
「ありがとうございます」
私は知盛様の持ってきた湯のみを取ろうとした。
けれど、知盛様はそれを自分で飲んでしまう。
「ええ!?」
なんのイタズラなのかと思って非難めいた声をあげると、知盛様はニヤリと笑った。
そして、無言のまま私のくちびるにくちびるを重ねてくる。
「うん。んっ」
ごくりと喉が鳴って、自分が水を飲まされているのだと気づいた。
知盛「どうだ?飲めたか?」
「は、はい」
知盛「じゃあ、今度こそ、俺の乾きをいやしてもらおうか?」
そう言うと、知盛様は私を身体の下に敷きこんだ。
そして、今度は身体中に口づけされることになる。
結局、知盛様の乾きがおさまるには、私が意識を手放すくらいの時間が必要だった。
翌朝。
かすかな足音が聞こえてくる。
(……ん)
私は身じろぎした。
けれど、体を動かせない。
(何……重たい……)
気付くと、知盛様の腕が私の腰をしっかり掴んでいて、動けなかった。
「えっ、知盛様……重たいです」
私はそっと腕を放そうとしたが、なかなか解けない。
(……子供みたいな寝顔して……)
私は知盛様の寝顔をのぞきこんだ。
少し無精ひげ。
「ふ……ふふふ……」
何だか可愛く見えて、私は彼の髪を撫ぜた。
知盛「……ん」
知盛様が身じろぎする。
「起きた?」
知盛「う……ん」
知盛様はもう一度、私の腰を抱えなおして、また寝入った。
重衡「おやおや」
気付くと、格子をあけて重衡様が立っていた。
「し、重衡様」
私は慌てて自分の衣服の胸の前をしっかり締め直した。
重衡「知盛兄者、まるで子供みたいにぐっすりだね」
「はい」
重衡「この人がこんなに深く眠るのを見るのは、子供のころ以来だ」
重衡様は優しく微笑み、知盛様の顔を見つめている。
「そうなんですか?」
重衡「ずっと長い間、わずかな物音でもすぐに起き上がるような人だったよ。戦場ではほとんど寝ないし」
「……」
重衡「それがこんなに安らかな顔をして眠るようになったんだね」
「はい……」
私は知盛様の髪を撫ぜながら、少しだけ耳を触った。
知盛「……ん」
知盛様はかすかに目を開いた。
知盛「まな……いたずらをするな」
「ふふふ、もう起きてください」
知盛「……くちづけをしてくれたら、起きる」
「そんなことを言ってもいいんですか?」
私が言うと、知盛様は目をはっきりと開いた。
知盛「何だって?」
「だって」
私が重衡様を見遣ると、彼がヒラヒラと手を振る。
知盛様は、今度はしっかりと目を見開き、慌てて起き上がった。
知盛「重衡!お前、いつのまに来た!?」
重衡「ずいぶん前から。兄者の寝顔を見ていたよ」
知盛「なっ……!」
知盛様は真っ赤になった。
重衡「兄者は意外に甘えん坊なんだなあ」
にやにやと重衡様はからかうように笑う。
知盛「お前っ……こ、これは、ちょっと、たまたまで……!」
重衡「朝、くちづけをしてもらわないと起きられないんだ」
知盛「こ、こら!」
彼は完全に立ち上がり、重衡様のほうへ上掛けを投げた。
重衡「あははは!教経たちにも教えてやろう!」
重衡様は廊下を跳ねるようにして行ってしまう。
知盛「お、おい!待て!」
知盛様は慌ててその後ろを追いかけていった。
(にぎやかで幸せな朝……これからもこんな平和な朝を迎えられますように……)
私は自分のお腹を撫でながら、そう願った。