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私は亜蘭さんの屋敷から戻り、疲れていたのかすぐに眠りについてしまった。
そして、目が覚めると横で宝生さんが私を見つめていた。

呉葉「おはよう、僕の愛しいまな」

私の頬に手をあてて、笑顔を見せてくれた。

「宝生さん」

私は恥ずかしくて、少し顔を布団で隠してしまった。

呉葉「僕に可愛い顔を見せて」

そう言って、宝生さんは布団を取り私を引き寄せた。

呉葉「よく眠れたみたいだね。良かったよ」
「ベッドに入るとすぐに寝てしまいました」

私が起き上がると、宝生さんは私に紅茶を持って来てくれた。

呉葉「どうぞ」
「ありがとうございます」

私は紅茶を口にした一息ついた。

(吸血鬼になったのよね・・・・・・)

やはりまだ、体に変化がないので実感が沸かない。
けれど、家に戻ることができないと思うと、少し寂しく感じた。

(もう家族や友人には会えないのかな)
呉葉「・・・・・・後悔している?」
「していません」

そう答えて私は笑顔を見せた。

(宝生さんが側にいてくれるから・・・・・・)
呉葉「良かった」

宝生さんは安堵の笑みを見せた。
ずっと気にしていたようで、私の笑顔で本当に安心したようだった。
窓を眺めると、とても天気がよくて日差しが眩しかった。

(家族に会えないなら、大学にも行けなくなるのね)

大学に行けなくても勉強はできる。
私は前向きに考えることにした。

呉葉「まな」

宝生さんが後ろから抱き締めた。

呉葉「・・・・・・結婚しよう」
「・・・・・・!」

私は突然の求婚に驚いてしまった。

(そんな、結婚だなんて・・・・・・!)

宝生さんは驚く私の頬に手をあててゆっくりと話を始めた。

呉葉「君は大学を卒業したら、僕の一族と住むことになる」
「大学を・・・・・・卒業ですか?」
呉葉「そう」
「で、では・・・・・・大学に行ってもいいんですか?」
呉葉「行きたくない?」
「通えるのでしたら、行きたいです!」
呉葉「それと・・・・・・君の家族のことだけど」
「・・・・・・はい」
呉葉「卒業してからは会えなくなるけれど、連絡は取れるようにするよ」
「ほ、本当ですか?」
呉葉「ああ。約束する」

私は嬉しかった。
もう家族と連絡がとれなくなると思っていたから。

「では・・・・・・大学に通う間は」
呉葉「好きな時に戻るといいよ。君が少しでも寂しくないようにね」
「宝生さん。ありがとうございます」
呉葉「・・・・・・結婚の話は、君が大学を卒業してから言う約束だったんだ」
「え?」
呉葉「実は、君が小さい頃に縁談の話があったんだ。宝生家と君の家との間にね」
「そう・・・・・・なんですか?!」
呉葉「君の父上は快く承諾してくれてね。君が大学を出た後に、話す約束をしていたんだ」
(知らなかった。家でも一度もそんな話などなかったから)
呉葉「でも・・・・・・君に縁談の話をされる前に自分できちんと言いたかったんだ」
「宝生さん」
呉葉「僕との結婚・・・・・・受け入れてくれるかな」

私のことをずっと見守って、側にいてくれた宝生さん。
何よりも私のことを考えてくれる宝生さんに私は感謝の気持ちでいっぱいだった。

「・・・・・・はい」
呉葉「まな」

宝生さんは私の顎を持ち、口づけをした。

呉葉「ずっと一緒にいよう」
「はい・・・・・・!」

それから宝生さんは、結婚したら私の自宅に近い場所を新しい家に選ぼう、と話した。
私は宝生さんの気遣いがとても嬉しかった。

呉葉「まな。こっちへおいで」

宝生さんはベッドに私を連れて行って、倒れ込んだ。

呉葉「こうしていると、君が寮まで起こしに来てくれたことを思い出すよ」
「そうですね」

私は恥ずかしがりながらも、宝生さんと話をした。

呉葉「・・・・・・今は、思い出したのかな?小さい頃にこうしてお昼寝をしていたこと」
「はい」
(あの時は何となくでしか宝生さんとの思い出を思い出せなかったけれど)
「宝生さんは私のそばで寝付かせてくれていましたよね」

宝生さんが私の髪を弄りながら微笑む。

「それで、宝生さんが一度眠ると、なかなか起きてくれなくて」
呉葉「・・・・・・そうだったかな?」
「そうですよ」

首をかしげる宝生さん。
その仕草が珍しく可愛らしいから、思わず笑みが漏れる。

呉葉「これからは、お昼寝じゃなくて・・・・・・君とこうして一緒に眠ることができるんだね」
(宝生さん)

宝生さんが私の体を引き寄せた。

「そういえば、私の記憶は亜蘭さんに封じられていたのですよね」
呉葉「・・・・・・ああ。そうだね」

宝生さんが視線を下に落とす。

呉葉「僕との思い出を封じようと考えたんだろう。・・・・・・こんな形で、君を僕ら吸血鬼同士の争いに巻き込む形になってしまった。申し訳なく思っているよ」
「そんな。謝らないでください・・・・・・」
呉葉「最初はね、むしろ君は昔の記憶を思い出さない方がいいんじゃないかって思っていたんだ」
「そうなのですか?」
呉葉「僕との事を思い出して欲しいけれど・・・・・・吸血鬼の事も、僕の事も、何も知らないままの方が君にとって幸せなんじゃないかって。君との距離が近づく度にそう感じていた」
呉葉「君を傷つける事が怖かったんだ」

宝生さんが私の頬を優しく撫でる。

「宝生さん・・・・・・。でも、私は・・・・・・宝生さんに近づきたいと、ずっと思っていました」
呉葉「ああ、僕も同じ想いだよ。もう、怖がらない。君のそばにずっといる」
「宝生さん」
呉葉「ねえ、まな。僕がどれだけ君のことを愛しているか・・・・・・教えてあげる」
「え・・・・・・?」

私が返事をする間もなく、宝生さんは私に口づけをした。

「んっ・・・・・・」
呉葉「まな・・・・・・可愛い、僕だけのまな。とてもとても愛してるよ」

口づけと甘い言葉に頬が真っ赤になる。
息をしようと唇を離そうとするも、宝生さんはすぐに唇を奪う。

「宝生さん」
呉葉「呉葉と呼んで。まな」
「呉葉・・・・・・さん」

そう言うとすぐにまた口づけられ、深いものになっていく。
私たちは何度も永遠の愛を誓った。
幼い頃からの想いがひとつになった喜びを噛みしめあうように、何度も、何度も・・・・・・。

想いが胸からどんどん溢れて、それはやがて一筋の熱い涙となり頬を伝う。
二人の間に放たれる熱は、深い夜の闇に包まれて溶けていくようだった。