完全レポですので、ご注意下さい。




司会「吉祥寺商店街、湯野剛史くんです!」
ワァァァ!!
パチパチ!
剛史「おい、どうなってるんだ?」
「さあ・・・」
春樹「リュウ兄が張り切ったんだよ」
一護「ったく。めんどくせーことさせられたぜ」
理人「なんだかんだ言って、楽しそうだったくせに」
一護「うるせー」
「もしかして、他の競技、全部みんなが・・・?」
竜蔵「いいから、行ってこい!特別賞だ!!」
混乱したまま、剛史はステージに上っていった。

司会「湯野くんは、残念ながら途中で棄権となりましたが」
司会「その後も湯野くんの吉祥寺商店街の幼なじみの皆さんが会場を盛り上げてくれました!」
(やっぱり、みんなが剛史の穴を埋めてくれたんだ・・・)
司会「吉祥寺商店街の暖かい友情に特別賞です!!」
会場「おめでとう!」
会場「よかったぞ!!」
司会「では、この喜びを誰に伝えたいですか?カメラに向かって、どうぞ!」
(そうだ!このために、剛史は頑張ってきたんだ・・・)
(チャンスが巡ってきた・・・!)

剛史が私のほうをチラッとみる。
(頑張れ・・・っ!)
剛史「あの・・・喜びとかじゃないんですけど、ちょっといいですか?」
司会「どうぞ。思いのたけをぶつけてください!」
剛史「あの、自分には祖母がいて・・・」
剛史「ちょっと変わってるけど、強くて温かいばあちゃんなんですけど・・・」
剛史「そのばあちゃんには戦争で生き別れになった初恋の人がいます」

会場「・・・」
剛史「婚約者だった瀬島一郎さん!」
剛史「もし、この番組を見ていたら、ばあちゃん、・・・旧姓・小島あい子に連絡をください」

会場「・・・」
剛史「オレは、そのためにこのコンテストに参加しました」
剛史「それを知っている友人たちが、オレを支えてくれて、ここに立たせてくれました。ありがとう」

パチパチパチ
ワァァァ!
司会「・・・こ、これはまた、感動的な話ですねぇ!!」
司会「大阪出身の瀬島一郎さん!番組まで、ご連絡お待ちしています!」
パチパチパチパチ!!!
こうして、コンテストは幕を閉じた。

「はぁ・・・」
剛史「なんで、おまえが緊張してんだよ」
「だって、テレビで流れると思うと・・・」
剛史「オレだってテレビなんか出たくなかったんだけどよ・・・」
「ふふっ。でも、カッコよかったよ」
剛史「・・・」
「言いたいこと、言えてよかったね」
剛史「ああ」
私たちは笑顔で見つめあった。
一護「・・・おい。あそこのカメラまだお前らのこと映してるぞ?」
「えっ!?」
(う、うそでしょ~!!)

一護「バカップルが電波ジャックだな」
剛史「うるせー」

バカップルでいーもーん

「今日も、打ち上げでマスターに迷惑かけちゃったね」
「でも、せっかく賞金もらったのに、また『出世払いだからいいんだ!』なんて」

剛史「マスター、太っ腹だよな」
「ね!」
剛史「・・・」
「・・・連絡、来るといいね」
剛史「あんま、期待しすぎてもな・・・しちまうけど」
「ふふっ。そうだね」

剛史「ただいま」
「お邪魔しまーす」
ドドドドッ
あい子「剛史!た、大変や!!」
剛史「どうしたんだ?」
あい子「でっ、電話や!!」
剛史「まさか!」
「瀬島一郎さんっ!?」
あい子「ちゃうわ!陸上の監督さんからや!!」
剛史「は?」
剛史「はい湯野です・・・はい・・・。ありがとうございます。はい。失礼します」

あい子「どうやった!?」
剛史「・・・全日本の強化選手に選ばれた」
「ほんとに!?」
あい子「ほんまか!!さすがあての孫やな!!」
剛史「東京マラソンのときに会った監督が、推薦してくれたみたいだ」
剛史「昨日の大会も、成績がよかったし」

あい子「よかったなぁ!ほんまに、よかった!!」
剛史「・・・」
「・・・どうしたの?」
剛史「いや・・・嬉しいんだけど、実感わかねーっつーか」
あい子「そんなもん、あとからついてくるわ!今夜は祝杯あげなあかんね!!」
剛史「オレは、未成年・・・」
あい子「あては準備してくるからな!ちゃんと喜び、噛みしめとき!」
「ふふっ。あい子さん、嵐みたいだったね」
剛史「ああ・・・人騒がせなばあちゃんだ」
「初恋の人より、剛史の方がずっと大事なんだね」
剛史「そうかもな・・・」

(全日本の強化選手かぁ・・・剛史はほんとにすごいな)
(今日も、すっごくカッコよかったし)
(なんだか、どんどん遠くに行っちゃう気がする・・・)

コンッ
(あっ!窓に石の音!)
「剛史!」

剛史「今、降りてこれるか?」
「うんっ」
剛史「うしろ、乗れよ」
「え?どこ行くの?」

剛史「いいから、早く」
「う、うん」
(こ、これも、慣れない・・・)
(自転車2人乗りって、なんかくすぐったいんだよね・・・)

剛史「子供の頃もこうやって2ケツしたよな」
「うん」
(剛史の背中、大きいなぁ・・・)
(やっぱり子供の時とは違う)

剛史「お前、何か変なこと考えてるだろ?」
「な、何で分かるの?」
剛史「まなの考えてることなんて、顔見なくても分かる」
剛史「指先から伝わってくるんだよ」

「剛史には何も隠し事できないね・・・」
剛史「スピード上げるぞ?ちゃんと捕まれよ」

2ケツスチルか・・・

剛史「あんま芸がないけど」
「ううん!いいよね、井の頭公園!」
剛史「思い出の場所だもんな」
「うん」
剛史「なんか、すごい1日だったから、ようやく落ち着いた」
「そっか・・・あい子さんのことは、ちょっと残念だったけど・・・」
剛史「ばあちゃんは、ほんとに気にしてないみたいだったから、平気だろ」
「それならいいんだけど・・・」
剛史「それに、まだまだチャンスはあるよ」
「うんっ」
剛史「オレさ・・・今回のことで、どれだけ周りに支えられてるか、よくわかったよ」
「そうなの?」
剛史「知力テストでいい点取れたのは、あいつらのおかげだし」
剛史「特別賞もらえたのも、あいつらのおかげだ」

「確かにみんな応援してくれたけど、頑張ったのは、剛史でしょ?」
剛史「でも、なんだかんだ言って、助けられてばっかだ。あいつらにもお前にも」
「それはさ、私もみんなも剛史のこと、その大好きだから・・・」
剛史「・・・」
(やだ・・・急に黙られると困る)
剛史「あ、あのさ、ジュースでも飲むか?」
「うんっ」

私たちは2人で並んでベンチに座った。
剛史「・・・タイミングがわかんねーな」
「ん?」
ゴソゴソ
剛史「これ」
「え?」
(ネックレス・・・?)

剛史「特別賞の賞金の、オレの分で買った」
「いつの間に・・・?」
剛史「会場の近くの店に、ちょっと寄って」
「そ、そうだったんだ・・・」
剛史「気に入らないか?」
「へ?」
剛史「ネックレス。オレ、こういうのわかんねーから」
「そっ、そんなことないよ!とっても気に入った!」
(でも・・・よくそんなお店知ってたな・・・)

剛史「おまえ、またなんかネガティブなこと考えてるだろ」
「ええっ」
剛史「変な顔してる」
「だって・・・」
剛史「・・・あのな、予想問題集に載ってたんだよ。『女性に人気のアクセサリー店』」
「あっ!そういえば・・・」
剛史「こんなことまであいつらのおかげだから、悔しいんだけど」
「ううん!剛史が選んでくれたのが嬉しい!」
(こういうお店にひとりで入るのって、きっと勇気いったんだろうし・・・)
「ありがとう!!」

剛史「・・・ちょっと、向こう向け」
「うん?」
剛史「つけてやるから」
「はっ、はい!」
(うわー、うわー!な、なんか、恥ずかしいっ!)
(ていうか・・・)
「・・・」

剛史「できた。こっち向けよ」
「・・・や、やだ」
剛史「なんでだよ」
「な、なんか、剛史ばっかり余裕で、悔しいんだもん・・・」
剛史「・・・」
「それに、私ばっかり喜ばされてるし」
ぐいっ!
剛史「・・・バカ!」
「バ・・・っ!?」
剛史「オレだって、余裕なんてねーよ」
「う、嘘っ!」
剛史「嘘じゃない。オレは、あまり顔に出ねーだけだ・・・ほら」
ギュッ
きつく抱き締められる。
(あ、剛史の鼓動が伝わってくる。速い・・・)
(そっか・・・。剛史もだったんだ)
「ふふっ」

剛史「どうした?」
「よかった、って思って」
剛史「ん?」
「彼女になれて、近づけたはずなのに、剛史がどんどん遠い人になっちゃうみたいに感じてた」
クイッ
剛史が私の方をじっと見つめる。
剛史「そんなわけねーだろ」
「うん・・・」
剛史「オレは、ガキの頃からおまえ一筋だって言ったの、信じてねーの?」
「う・・・っ。し、信じる」
剛史「ひでーな。これまで信じてなかったのかよ!」
「だって、剛史モテるし、なんか慣れてるっぽいし・・・」
剛史「・・・オレは今、おまえと一緒にいられるだけで、幸せだ」
剛史「おまえだけは誰にもあいつらにも、誰にもとられたくない!以上」

「・・・っ!」
剛史「信じるか?」
「・・・うん、信じる」
剛史「ならいい」
「あっ、あのね!」
「これからも、剛史と同じペースで歩いていけたらいいな、って思う・・・」

剛史「・・・」
「剛史?」
剛史「・・・バカ。そんなこと言うから、オレの方が余裕なくなるんだよ!」
ギュッ
「わ・・・っ」
剛史「まな・・・」
「・・・ん・・・っ」
初めて気持ちを通わせたこの公園で、私たちは何度も何度もキスをした。
「・・・」
(た、剛史のバカ・・・やっぱり私ばっかり翻弄されてる)

剛史「言っとくけど、これもおまえのせいだからな」
「ず、ずるい・・・」
剛史「ずるくねーよ。あと、それ、似合ってる」
「あ、ありがとう・・・」
(そ、そんな笑顔で・・・!やっぱりずるいよ・・・)

剛史「あっ!隠れろ!」
「えっ!?」
剛史「シッ!」
「むぐっ」
トサッ
剛史「・・・」
(く、口ふさがれて、押し倒され・・・っ!?)
(あっ、みんな!?)

竜蔵「あれ?あい子さんが井の頭公園だって言ってたんだけどな」
春樹「横山たちきっとあっちにいるよ?探そう!」
理人「・・・タケ兄なら絶対その辺でいちゃついてるって」
一護「だから、みんなで花火なんか面倒くせーって言ったのに」
「・・・」
剛史「・・・行ったか」
「はーっ、ドキドキした」
剛史「だな」
(はっ!ていうか、この体勢は!!)
剛史「ははっ。そんな怯えた顔すんなよ」
チュッ
おでこに、軽くキスをされる。
剛史「とりあえず、何食わぬ顔であいつらに合流するか?」
「う、うん!」
剛史「これからも、ずっとよろしくな、まな」
「うんっ!」
これから先、きっとずっと、私たちは一緒にいられる。
どんな困難があっても、手をつないで、歩いていける。
剛史と一緒なら・・・。


タケちゃんがネックレスくれた!
(〃ω〃) キャァ♪
タケちゃん、指輪も待ってるね!!wwwww