体幹部のCTと頭部MRIの検査を受けてきたが、今回は色んなハプニングがあった。
来週の診察日にはまだ少し時間があるので、今回の出来事を記事にしておこうと思う。
まず最初に頭部MRIを受けた・・・というのは僕の勘違いで、よくよく予約票を見てみると頭部ではなく頸部になっていた。
教授先生は後頭部のたんこぶメタを見るために今回のMRIをオーダーされたはずで、確かに首のリンパ節もよく腫れていたけどMRIはそこじゃないと思うのだが、何かの間違いだろうか?
いやいや、何かの考えがあって頸部MRIをオーダーされたのだろう。
素人が要らざる指摘をして教授先生という油に火を注ぐこともあるまい・・・、そう思いながらMRIの受付を済ませた。
更衣室で金属類を外し、上着だけ検査衣に着替えるとすぐに名前を呼ばれた。
僕の右鎖骨下にはCVポートが埋まっている。
前回MRIを撮った時は、黙っていてもポートから造影剤を注入してくれたので今回もそうだろうと思っていたら、普通に腕からルートを取ろうとしたのでポートを使ってもらうようお願いした。
MRIがある部屋に入ると男性の技師さんから、
「細かい指示が書いてないんですけど、先生から何か聞いてます?」
と言われたので、
「教授先生は後頭部のたんこぶのところの画像を見たがっていると思いますよ。首から後頭部までって写りますか?」
って聞くと、大丈夫とのことだった。
まったく。。。
この病気になって早や6年。
今回の検査・・・MRIやCTの検査を通じて強く感じたのは、病院任せにしていちゃだめなんだなってことだった。
「今さらかい!」って言われそうだけど、これまで病院や先生のすることに間違いはないっていう考えをどこかでずっと持っていた。
しかし現実は医療者同士の横の連絡がうまくいってなかったり、勘違いがあったりするのを度々見てきた。
人は誰だってミスをする。
それは医療者だって例外ではない。
細心の注意を払わなければいけないのは、患者の立場であっても同じこと。
他ならぬ自分の体のことなのだから医療者に全部を委ねるのではなく、自分でできること・・・今回の僕の場合はこれが何のための検査でどこを撮ってもらうのか・・・くらいはきちんと把握しておかないと自分が損をする。
患者は客ではないのだから、ふんぞりかえっていてはいけない。
僕の仕事の師匠の言葉を久しぶりに思い出したよ。
それはね、
「信頼せよ、信用するな」
だ。
話を続けよう。
技師さんは後頭部のたんこぶのところにテープを張って目印を付けると僕を仰向けに寝かせ、首から上を「スケバン刑事 少女鉄仮面伝説」に出てくる鉄仮面のような型枠に入れてしっかりと固定した。
機械が動き出してから「何分くらいかかりますか?」と聞いたのだが、耳には耳栓が入っていたのでなかなか聞き取れない。
「はぁ?はぁ?はぁ?」と箕部幹事長ばりに3回ほど聞き返し、ようやく30分程度という答えを聞き取った。
最初の10分程度は順調だったのだが、仰向きに固定されていると後頭部のたんこぶのところが徐々に圧迫されて痛くなってきた。
まるで頭の下に小石でも敷いているかのようだ。
(これは・・・、最後まで我慢できるかな・・・)と、不安が高まってきた。
もちろん検査中は寝返りを打つことも頭を動かすことも許されない。
右手に持たされたコールボタンの感触を無意識のうちに何度も確かめるが、痛みはどんどん増し、痛みの間隔もだんだん短くなってくる。
「これまでか・・・」と思った瞬間、するするっと寝台が動いた。
「ああ、耐えれたっ!」って思ったのも束の間で、これから造影剤を入れるとのことだった。
「あと10分もないですから」・・・という技師さんの言葉が唯一の救いだったが、この10分が恐ろしく長く感じたことは言うまでもない。
この後頭部のたんこぶがある限り、今後、頭部MRIの検査は無理かもしれない。
MRIが終わると別の場所にあるCT室に向かうのだが、その前にポートの抜針をしてもらわなくちゃいけない。
看護師さんが右胸の抜針をする間、邪魔にならないように顔を左に背けていたのだが、顔を戻してみると、抜針したのではなく、ヒューバー針にくっついているカテーテルの末端をくるくるっと巻いて胸に留めていた。
CTの造影剤に僕のポートは使えないのだ。
「ああ、すいません。最初に言っておけばよかったんだけど、CTの造影剤にポートは使えないんですよ」
と言ったところ、これを耳にした女性の技師さんが、
「大丈夫ですよ、パワーポートが入ってるんですよね?CTでも使えますよ」
と言う。
CTの造影剤は結構な勢いで注入するので、ポートが壊れる可能性がある・・・と、ポートを入れてくれた当時の主治医も言っていたし、過去何度も造影CTを受けてきたけどポートを使うように勧めてくれた人はいない。
僕はポートに針が刺さったまんま、首をひねりながらCTの検査室へ向かった。
MRIから連絡があったのか、待合いに座って待っていると男性の技師さんが、
「すいません、MRIの造影剤だったらポートが使えるんですが、このポートはCTで使っちゃだめなんですよ」
と申し訳なさそうに言う。
「ですよねー。僕もその認識なんですけど、MRIにいた方が使えると言うので・・・。念のためちょっと調べてくれませんか?」と、僕はポートの製品名が書かれた「患者記録カード」を財布から取り出して技師さんに渡した。
2014年にポートを留置した時にもらったものだが、これがあればシートベルト未着用の違反を見逃してもらえるので、ずっと財布の中に入れっぱなしになっていたのだ。
カードを持って調べに行った技師さんは、5分ほどして戻ってきた。
やはり僕のポートはCTでは使えないとのことなので、これまでと同様、健側である右腕にルートを取ってもらった。
胸の抜針は先生がする・・・とのことなので、まだ右胸にくっついたままだ。
CT室に入った。
ここからはいつもどおり、最初は造影剤なしで撮影し、次に造影剤を入れて撮影する。
造影剤が体を巡って主要な血管に熱湯を注がれたような熱さを感じると、「この薬も相当体に悪そうだなぁ・・・」なんて呑気に考えていたら、急激に気分が悪くなって吐きそうになった。
思わず手のひらのコールボタンを握りたくなったが、MRIと違ってすぐに撮影は終了するだろうと思い、もう少し我慢することにした。
しかしCTが、
「息を吸って、止めてください」
と言われた時には、もう少しで吐くところだった。
ようやく撮影が終わって体を起こすと、
「すいません、気分が悪いです・・・」
と訴えると、すぐに技師さんと放射線科医が駆け付けてくれて、バイタルとサチュレーションを測ってくれた。
(は、吐くかも・・・)
と思ってマスクを外したが、何とか堪えることができた。
すぐに気分は落ち着いてきたが、こんな経験をしたのは初めてだった。
原因として考えられるのは・・・、そりゃもう、連続してMRI、CTと造影剤を入れたからに違いない。
そんな僕の仮説を話すと、技師さんも先生も「然もあろう・・・」と大きくうなづいておられた。
そして万が一点滴をしなければならない事態に備えて、腕のルートは抜針しないでそのまま置いておくという。
胸のポートに刺さったまんまになっている針はいつ抜くのか?と聞くと、放射線科医は「今、初めて聞いた」という顔になったが、すぐに生食でフラッシュして抜針してくれた。
で、今このくだりを打ってて気が付いたけど、ポートにヒューバー針が刺さったままCTを撮っちゃったけど大丈夫なんだろうか?
「今、初めて聞いた」と驚いた顔になったのはそういうことだったからなのかな?
僕も刺さったまんまになっていたことを申告するのをすっかり忘れていたよ。
その後、念のためにと15分ほど休憩するよう指示された。
僕もまだムカつきが残っていたし、看護師さんが近くにいる部屋の前のベンチに座って体を休めることにした。
15分後もう一度バイタルを測り、放射線科医が診察をしてくれてようやく帰れることになった。
抜針してくれたナースは、
「あなたの体のことなんだから、先生に造影CTと造影MRIの連続はキツイってちゃんと言わないとだめよ」
って言ってくれたが、
「僕の主治医は教授先生なんだよねぇ。怖いんだよねぇ。これまでに何度も怒られてるし・・・」
と言うと、全てを察したような顔になって
「ああ、主治医は教授先生なのね。それについてはノーコメントにしとくわ。」
と、ニヤニヤしていた。
大きな大学病院だけど、教授先生の悪名はCT室のルート取りの一看護師さんにまで知れ渡っていることに驚いた。
病院が終わったらジムに行こうと思っていたけど、今日はさすがに諦めて帰ることにした。
やれやれ・・・、今日はホント疲れた。
自宅に帰ってから、造影CTと造影MRIの同日施行についてネットで調べてみた。
病院によっては同日施行を禁止しているところもあったし、臨床的にやむを得ない場合でも4時間以上あけるように記載されたマニュアルもあった。
順番もあるようで、最初にCTを撮ってから、次にMRIを撮るよう記載されたものもあったが、これは病院によって違うようだ。
どうやら僕は医療事故にあったっぽいな。
検査の結果については、また来週アップしますね。