(このテーマを記事にするなら文章が長くなるかも・・・)っと思って、最初から一つの記事を分割していたのだがその必要はなかった。
ドラマを見た僕の感想はただ一言・・・、残念ながら僕には響きませんでした。
えっと・・・、サブタイトルは「知られざる、男性の乳がん」だったよね。
にも関わらず、このストーリでは男性乳がん患者よりも、若い女性の乳がん患者である佐倉莉子(小川紗良)のほうによっぽど多くの時間が割かれていて、かつ、このストーリーの中心的な役を担っていたように思えた。
僕の前回の記事(アメンバー限定記事)で、ドラマを見る前から色々とヘタレなことを書いたが、男性乳がん患者を論じる以前にそもそもこのストーリーで男性乳がん患者を出す意味があったのか・・・と首をひねるような内容だった。
それに加えて複数のストーリーと主役級の俳優さんが同時並走していて、ますます男性乳がんが薄くなった。
・ 恩田心(松下奈緒)の旦那である植物人間状態の匠(中村俊介)と、彼のいない寂しい生活を送る妻(松下奈緒)と息子(桑名愛斗)。
・ 多忙な母親(松下奈緒)に代わって息子(桑名愛斗)の面倒を見るおじいちゃん(北大路欣也)。
・ 転移再発したにも関わらず、気丈に振舞う勘のいい高坂民代(高畑淳子)。
・ 匠(中村俊介)が植物人間状態になったことに関わる謎の消火器外科医の梶山薫(木村佳乃)・・・は、彼女自身がステージⅡで乳房を温存手術した乳がん患者。
・ 戸惑う男性乳がん患者の世話を焼くおばさん患者の急死。(医師がその事実を他人(男性乳がん患者)に告げるのも違和感があった)
・ そして佐倉莉子(小川紗良)が乳がんの手術を決意するまでの経緯・・・。
ドラマ全編に通じるストーリーの連続性と、今回のテーマである乳がんのストーリーとが交錯し、目まぐるしくシーンが遷移するので感情移入に浸る暇もない。
そしてどんどん男性乳がん患者の役割と存在感が薄まっていく。
まだ第2話が終わったばかりで登場人物には謎が多く、今後のストーリー展開が期待されるところだが、今回の「男性乳がん」のテーマがなくてもこの脚本では継続して見る気が失せてしまったなぁ。
医療監修が勝俣範之先生だったのでちょっと期待していたけど、残念でした。(別に先生が悪いわけではないけどね。)
ちなみに、日本で初めて男性乳がんのガイドラインを書いたのが勝俣範之先生だった・・・というのは、今回のドラマがきっかけで初めて知ったことなので、ますます先生のことを尊敬した。
男性乳がんの治療は、「女性に準じて・・・」と書かれていることが多く、これまでも本格的に研究されていないし、これからも研究しようと思う人もいないんだろうねぇ。
女性に準じた治療で間違っていないのだからそれでいいんだろうけど、それでもこの5年くらいの間に乳がんのページに「男性乳がん」が併記されるようになり、国立がん研究センターで男性乳がんのデータを収集するようになったのは大きな進歩だと思うけどね。
さて、このブログはまさしく男性乳がんをテーマにしたものなので、単なる愚痴感想で終わらせるわけにはいかない。
タイトル通り、男性乳がん患者目線から見た感想を述べることにしよう。
ドラマを見た記憶に基づくものなので、順番がランダムなのと勘違い等があればご容赦ください。
過去記事にも書いてきたようなことが多いのだけど、もし記憶違いなどがあればお許しを。。。
1 マンモグラフィー検査
僕は乳エコーしかやらなかった。
男だからできないのか・・・と思って先生に聞いてみたけど、「できないことはないだろうけどねぇ」というような反応だったし、違う先生からは、「男性だからマンモグラフィーはやらなくてもいいでしょ」・・・と言われたことがある。
ブログのネタにもなるので一度くらいは経験してみてもいいなぁと思ったけど、その機会はなかったし、多分これからもないだろう。
ドラマであった1シーンのように、男がピンクリボンのステッカーが貼られたマンモグラフィー室を利用していれば、確かに奇異な視線で見られるだろうね・・・ってことは十分理解できる。
2 男の乳腺外来
女性患者に交じって男がポツンと一人だけ・・・という状況は、この病気になってから容易に想像できたことだし、恥ずかしいのでそれだけは全力で回避したかった。
初発の病院は約300床の中規模クラスの病院で、外科医が乳腺外来を兼ねていたので恥ずかしさを感じるようなことはなかった。
次のフォローしていただいていたクリニックでも、一人の先生が乳腺のほかに内科、外科、健康診断などをやっていたので、確かに女性の比率は多かったけど、男が待合室にいてもおかしくなかった。(・・・って言うか、男が混じっていてもおかしくないところを必死で探したのだ。)
再発を疑われて紹介状を持参し、現在の大学病院を受診した時は乳腺内分泌外科で診察を受けたけど、ここの待合いで待っている時が一番恥ずかしかった記憶がある。
でも、手術不能だったのですぐに現在の血液腫瘍内科に転科となり、恥ずかしい思いをしたのは最初の1回目だけですぐに問題はなくなったんだけどね。
3 ドラマの男性乳がん患者役って・・・
胸に工務店?の名前が入った土木作業員っぽいベストをいつも着ていたけど、これで荒っぽい男っぽさと乳がんとのアンバランスさを強調したかったのか、それとも働く男が仕事を途中で抜け出して治療を受けていることを見せたかったのか、いずれにせよ作業着なので清潔感もなく、違和感でしかなかった。
4 遺伝子検査
ドラマで男性乳がん患者を出してきたのは、遺伝子検査のことを言いたかったのだろうか。
ウチは母方の祖父が膀胱がんで亡くなったけど、決してがん家系ではなかった。
しかしはからずも男性乳がんになってしまったので、半分興味本位でカウンセリング受けてみたことがあったのだが、検査を進めてみようとまでは思わなかった。
それは・・・、
・ 費用が高い!
・ 僕には遺伝を気にしないといけない子供がいない!
・ 日本では予防的切除は認められておらず、例えこの検査でがんになる可能性が高いことが分かっても、検査を頻回にして早期発見するくらいしか役に立たない!
・・・というお話だったからだ。
1~2万円くらいのことだったらまだしも、これで何十万ものお金はかけられなかった。
5年前の話なので現在は違うかもしれないけど、お話を聞いてくださった先生も「勧めない」とおっしゃっていた。
当時のことはこの記事をご参照ください。
ドラマでは遺伝子検査を渋っていた男性乳がん患者が、医師の強い勧めもあって娘のことを考えて検査を決意する・・・というシーンがあったが、あまり現実的な描写ではないのではないだろうか?
5 男が乳がんになったことの戸惑い
自分の場合、戸惑いというのはなかったです・・・というか、部位はどこであれ、「癌」になってしまったという衝撃のほうが大きかった。
告知を受けてからの1か月間は毎日のように泣いていたし、病理検査の結果を見てさらに泣いた。
(なんで男なのに乳がんになったのだろう)・・・なんて考えだすのは、手術が終わって落ち着いてからのことで、それよりも、
(なんで僕のような善人がガンになったんだよー)・・・と空を見上げて世の中を恨んでいた。
しかし胸にしこりを感じ始めた時に、「オレ、乳がんかもー?」って冗談にして友人に触らせていたくらいだから、男が乳がんになんてなるわけがない・・・くらいには思っていたのだろう。
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ドラマの視聴率は、第1回が8.4%、第2回が7.7%だったらしい。
視聴率が低下したのは男性乳がんに興味がなかったから・・・かどうかは分からないが、いまだに男性乳がん患者は同性愛者がなるものという偏見が見受けられるほどだから、健康な人ほど興味が湧かないのかもしれないね。
前記事にも書いたけど、僕は大きく男性乳がんが取り上げられて世間に周知されることより、できればそっとしておいてほしい・・・と考えるほうだ。