「コンコン」とノックをして教授先生の診察室の扉を開けると、開口一番、「何かあった?」と聞かれた。

ああ、そうだった。
2週間前の2回目のフェソロデックスを打ったその日の夜のこと。
僕は大変な腹痛に襲われたのだが、あれから痛みが出なかったのでほとんど忘れかけていた。
あの時は救急車を呼ぶかどうか迷ったほどの激痛だったけど、結局病院に電話して当直の先生のご指示どおり、ロキソニンでなんとか収まったのだ。
当直の先生がカルテに残してくれていたのを、教授先生が読んだのだろう。

冷たい教授先生のことだから、腹痛のことだって僕が言いだすまでは何も言わず、話題にしたところで「気のせい」で済まされるのだろうなって思っていた。
でも、すでに机の上にプリントアウトして置いてあったCTの予約票を見て、(ああ、さすがに心配してくれてるんだ)って、他の病院ならごく当たり前のことに感心した。

「イブランスの副作用じゃこんな腹痛はないだろうし、下痢はしてないんだろ?吐き気はあった?」と問診してくれたけど、どうも薬の副作用ではなさそうな感じ。
・・・とすれば。
「腹膜播種の可能性があるけど・・・。」
と言いながら、前回のCTをモニターに呼び出して見てもらったが、それらしいものはなかった。
最後は「変なものを食べたんじゃないの?」という冗談でこのお話は終わったが、2~3時間のたうち回るような腹痛ってやっぱ尋常ではないよね。
次回の診察日の後のCT検査なので、結果を聞くのは2か月後になるけど、楽しみ(?)に待っていることにしよう。

今週はイブランスの休薬週だったが、果たして好中球は回復しているだろうか。
白血球・・・(前回)2.4→(今回)4.0
好中球・・・(前回)9.8→(今回)45.7
素晴らしい!
赤血球と血小板にはまだLOWの記号がついていたけど、ほとんど誤差の範囲内。
このまま減薬せずに続けていけたらいいな。
CEAは10.8で思ったよりも下がっていなかったけど、ホルモン療法の効果はゆっくりらしいのであまり気にしていない。



というわけで、今回も3週間分のイブランスを処方してもらい、外来処置室へ向かった。
今日は、
・ 採血
・ ランマーク
・ ポートフラッシュ
・ フェソロデックス×2
と5本の注射を打ったが、来月はこれに造影剤の注射が加わる。
こういう注射の話を親しい人に話すと誰しもが「ゲッ」と顔をしかめるが、無理もない。
打たれている本人だって呆れているくらいなのだから。
あれだけ注射が嫌いな僕なのに、この病気が分かってから5年になるけど注射がなかった月は一度もなく、今や腕に採血タコができるほどになった。
こんなことを考えているといつにも増して注射が嫌になってきたが、逃げるわけにはいかない。

今日は電動リクライニングシートでの注射だった。
おまけに今日担当してくれた看護師さんはハッとするほどの可愛い人で、僕はこんな人の前で半ケツを晒さないといけないのだ。
それと・・・。
これは僕だけのジンクスかもしれないが、看護師さんが美人であるほど注射は痛い。

穿刺の瞬間、お尻は右も左もブルブルって震えて、「イタイヨ!」と無言で抗議していた。
刺入後、たっぷり時間をかけて薬液を注入してくれるのはいいけれど、爪で皮膚を思いっきりつねりあげられているような痛みがいつもより長く続き、僕は何度も全身に冷や汗をかくことになった。

自宅に帰ると、7月分の高額医療費の書類を作る。
1回目の診察・・・  82,240円
2回目の診察・・・193,090円
合計・・・275,330円
こんな医療費、とてもじゃないけど払っていけない。
前回の記事でもさらっと触れたけど、僕の標準報酬月額だとほとんど払い戻しがない。
「それだけお給料をもらっているんでしょ?」って思われるかもしれないが、ボーダーラインにいる者が一番損をする。
仮の話だが、標準報酬月額79万円と81万円とじゃ天国と地獄ほどの差があるのだ。
もちろん医療費のことはそれなりに覚悟していたけど、まさか自己負担金がこれほど高額になるとは思いもよらなかった。
旅行やお芝居なんて、…もはやそれどころではない。

僕は動いた。
一つは会社に頼んで給料を下げてもらい、標準報酬月額の区分を下げること。
これは人事部に相談すると、いくらでも相談に乗ってもらえた。
給料はなかなか上げてくれないけど、給料を下げる話なら大歓迎と言うことか。。。
通常、標準報酬月額は4月~6月の平均支給額をベースに決定され、9月から反映される(定時決定)。

しかし、給料が大幅に下がったなどの特別な事情があれば、7月~9月の平均支給額をベースに見直されて10月から反映されるらしい。(随時改定)
なので僕の給料は7月分から大幅に下げてもらい、以後の定期昇給を凍結してもらった。

そしてもう一つ。
機微な話になるのでこれまでの経緯も含めて多くを語ることができないが、教授先生は僕に余命6ヶ月の診断を下した・・・。

 

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また改めてご案内するけど、これからの僕のブログは、基本的に「アメンバー限定公開」でお届けしたいと考えている。

もともと僕に続く数少ない男性乳がん患者のためにと思って作ったブログなので、閉鎖的に運営することは全く本意ではない。

しかし、数少ない男性乳がん患者だけに正確に書こうとすればするほど僕の私生活が白日の下に晒される危険性が高くなってしまう。

ここは伏してご理解を賜りたいところである。

アメンバーの承認は、

○ ブログをされている方

○ プロフィールをきちんと書いておられる方

○ これまでに僕とメールやメッセージでやり取りのある方なら基本的にOK。

逆に、

○ 捨てアカと思われるようなプロフィールや記事の投稿がない方

○ 商売っ気のある方

○ その他、僕の主観でNGの方

は承認しないつもりにしている。

 

アメンバーのアカウントをお持ちじゃなくてこれまでご愛読いただいている方には大変心苦しいのですが、ご面倒でもアメーバーのアカウントを取得後、一言メッセージをいただけたらご承認させていただきます。

ホント申し訳ない。