乳がんを手術された方ならご存知だと思うが、僕も麻酔から目が覚めた時から持続吸引ドレーンで、術側の左脇の下に溜まった不要なリンパ液や血液などを抜かれていた。
事前に予習していたことだが、腋窩リンパ節の廓清がなければドレーンは1本、あれば2本で、僕は残念ながら2本だった。
先輩方のブログのとおり、点滴やら尿カテなど管が一つ外れるごとに元気になっていったのだが、僕の場合はドレーンがなかなか抜けず、また抜いた後も廃液がなかなか止まらなかった。

当時の日記を振り返ってみる。

術後1日目(入院4日目)・・・
尿カテ、右手の点滴が抜ける。

術後7日目(入院10日目)・・・
廃液の量もまだ多く、色も赤かったのだが、あまり長くドレーンを体内に留置していても感染症などの危険があるので抜いたほうがいいと主治医が判断し、病棟で抜いてくれた。
抜くときに痛みはないと予習していたが、ビビりの僕は恐ろしくて顔をそむけていた。
主治医の、「痛いよ」と言う声のあと、プチンと少し肉を切るような痛みと感覚があり、やがて来るであろう痛みに身構えようとしたらもう抜けていた。

術後8日目(入院11日目)・・・
消灯後、病衣が廃液で濡れているのに気づき、入院して初めてナースコールを押した。
ドレーンを抜いた跡から廃液が漏れ出していたようだ。
とりあえず、ドレーンを抜いた所に大人用のおむつを当てて廃液を抑える。
その後23:00過ぎ、トイレで小用を­しているときにぼたぼたと廃液が大量に床へ落ちたので、少しビビってトイレのナースコールを押す。
たまたま主治医が当直だったので応急処置をしてくれたが、もはや廃液をおむつでは押さえることができず、医療用ステープルで2カ所留められた。
そばにいた看護師さんが、
「うっわ。痛そう!」
と悲鳴をあげたとおり、肉をホッチキスで止めているようで顔をしかめるほど痛かった。

術後13日目(入院16日目・退院)・・・
120cc吸引。
主治医が、僕の左脇の下に牛の乳のようにタプンタプンに廃液がたまり始めたのを見ると、僕が今までに見たことがないような極太の注射器を持ってきた。
真っ青な顔をしていると、
「そんなに痛くないはずだよ」と穿刺。
(ほんとだ、全然痛くない。)
この時は分からなかったのだが、リンパ節を廓清したことで痛みを感じなくなっていたようだ。
このときは注射器を2回交換して、たっぷり120CCの廃液を抜いた。
術後から1週間が経過し、廃液が溜まる以外はすっかり元気になった僕は暇をもてあますようになり、早く退院したかった。
主治医は廃液が溜まるのでまだ入院しててほしかったようだが、半ば強引に退院してしまった。

余談だが、入院中はいつもドレーンバッグを点滴棒の持ち手のところにぶらさげて歩いていた。
肩から下げても全然よかったのだが、なぜかそうすることに恐怖を感じ、いつまでも点滴棒を使っていた。
ドレーンバッグを持って一般外来あたりを散歩すると、溜まった血のような液体を見て顔をしかめる人や、泣きそうになる子供がいて面白かった。

術後16日目・・・
140cc吸引
退院後、脇の下の廃液があまりに溜り過ぎて爆発するのではないかと心配になって、23時頃に救急で受診。
この時も主治医の先生が当直で、注射器を2回交換して吸引してもらった。
「ほら見てごらん。退院はまだ早いって言ったじゃん」
という主治医の無言のドヤ顔が少し嫌だった。

術後18日目・・・
外来で吸引(量不明)
 
術後21日目・・・
外来で50cc吸引、色がほぼ透明になった。

術後25日目・・・
外来で50cc吸引。

術後28日目・・・
外来で50cc吸引。
これが最後の吸引になった。