ステージⅣでも健康診断を受けなければならないというのは、なんだかブラックジョークに思える。
こういう病気になったら任意にでもしてもらえればいいのだが、未受診だとまた総務部から怒られてしまうので今年も健康診断を受けてきた。
癌が分かってからこれで3回目の健診になる。
【2014年】
手術を受けた年はバタバタで健康診断を受ける機会をいつの間にか失ってしまっていた。
入院していたことは会社も分かっていただろうから、それで特に叱られるということはなかった。
【2015年(病気判明後1回目)】
丁度ハーセプチン9回目のころだった。
もう大きな病気はしたくないという思いがあったので積極的に人生初の半日人間ドック(全額自費)を受け、初めて胃カメラ(経鼻)を経験する。
【2016年 (病気判明後2回目)】
単身赴任中でまだ再発が分かっていなかった。
土地勘がなかったのでフォローをお願いしていた小さなクリニックで最低限の健診を受けたが、内容的には全く不十分で不満が残った。
【2017年 (転移判明後1回目)】
ステージⅣの身分で全額自費の人間ドックを受ける気にはなれず、今年は「生活習慣病予防健診」を受けてみようと思う。
これなら協会けんぽの補助金の対象になる。
我が社には集団健診ができる大きな会議室があるので会社で受ければ無料なのだが、
○ 片乳を見せたくない(同僚に見られる可能性があるし)
○ 検査項目が法定の最低限の内容なので不十分
で、同じ健診を受けるのなら自費であってもきちんと検査をしたいと思ったので、今年も病院で受けることを希望した。
今通っている大学病院では健康診断という類のものは一切やっていなかった。
大学病院というのはそういうものなのだろうか・・・。
昨年はインフルエンザの予防接種も打ってくれなかったしね。
健診結果も今の主治医である教授先生に共有してもらえれば・・・と思うのだけど、どちらにせよあの教授先生はそういうものには興味を示さないだろう。
なので今年は2015年の健診と同じく、僕が初発の手術を受けた病院で受けることにした。
自宅から歩いて5分だし、勝手知ったる病院の中は自分の庭のように迷うことがない。
2017.7.3
朝9:30、予約した時間ちょうどに健診センターで受付を済ませる。
指定された更衣室で ぴっと糊の効いた検査衣・・・とはいっても入院中に病棟で着るものと同じものだが、入院した時のことを思い出しながらそれに着替えた。
そういえば2年前の人間ドックの時は頭に1本の髪の毛もなかったのだが、健診だからとヅラを置いてきたのに、運悪く取引先の社員さんの健診にバッタリ遭遇してしまった。
知らんぷりしたのだが、マスクをして検査衣に帽子までかぶっていてもきっと僕だと分かったに違いない。
いやいや、看護師さんが「たいちさーん」って名前を呼んだのだから絶対にバレている。
幸いその社員さんとはその後顔を合わせる機会がなかったからよかったが、その時は生きた心地がしなかった。
さて、健診センター内ではとんとんとん・・・と検査が進む。
身長、体重、血圧、検尿、心電図、視・聴力検査、採血と、ここまで終わるとドクターの診察になる。
2年前は診察室に入った途端、「(男性乳がんって)珍しいね」と声を掛けられたが、今年はどんなものだろうか。
先生は偶然にも・・・というか健診センター専属の先生だから当たり前かもしれないが、2年前と同じ先生だった。
僕のことを覚えていたのかどうかは分からないが、今年は真っ先に血圧を指摘された。
ブログでは何度か記事にしたが、今回の健診では僕の聞き違えでなければ、140/130!と驚くべき高血圧だった。
これが本当なら拡張期と収縮期の差が10mmHgって、そんな数値ってあり得るのだろうか?
「2年前はそんなことなかったのにね・・・」と、前回の健診結果をPCのモニターに出してくる。
「ま、引き続き診ていきましょう!」と、わずか1分で診察は終わった。
人間ドックとは違い、安価な生活習慣病健診だとそんなものかと拍子抜けしてしまった。
僕の額のしこりに気づけば褒めてやろうと思っていたが、転移のことすら話題に出なかった。
診察のあとは検査衣のまま健診センターを出て、エレベーターに乗って放射線科へと向かう。
放射線科は外来も含めてかなり混雑していて40分ほど待たされたが、最初に胸部X-Pを撮影して、次に胃透視となった。
胃透視の検査は今回が初めてだったが、バリウムを飲んで普通にレントゲンを写すものだと思い込んでいて、びびりの僕にしては珍しくなんのチェックもしなかった。
ところがっ・・・!